「平熱37度」はもはや常識ではない?

欧米では長らく、平熱の目安は摂氏37度と考えられてきた。しかし、米スタンフォード大学医学部教授のJulie Parsonnet氏らの研究で、米国成人の体温は19世紀から下がり続けていることが明らかになった。同氏は「子どもの頃に教わった“平熱37度”は、もはや常識ではない」と述べている。研究の詳細は「eLife17日オンライン版に掲載された。

 平熱の目安は、1851年にドイツの医師が37度とすることを提唱して以来、それが一般的とされてきた。しかし、近年では、その基準は高すぎるとする研究報告が相次いでいる。例えば、約35,000人の英国成人を対象とした最近の研究では、平均体温は約36.6度であると報告されている。

 今回の研究は、南北戦争の退役軍人の兵役記録や医療記録から収集した18621930年のデータと、19711975年に実施された米国国民健康栄養調査(NHANES)データ、米スタンフォード大学病院の患者データベースから収集した20072017年のデータを用いたもの。1862年から2017年の間に測定された計677,423件の体温データを分析した。

 その結果、2000年代に生まれた男性の平均体温は、1800年代初期に生まれた男性よりも0.59度低かった。一方、2000年代に生まれた女性の平均体温は、1890年代に生まれた女性よりも0.32度低いことが分かった。全体として、米国人の体温は10年ごとに0.03度低下していることが明らかになったという。

 Parsonnet氏らは、米国人の平均体温が下がった理由の一つとして、代謝を上げる炎症が減ったことを挙げている。「感染症などで炎症が起こると、代謝を上げて体温を上昇させるタンパク質やサイトカインが産生される」と同氏は説明する。しかし、過去200年の間に、医療の進歩や衛生状態の改善、食生活や生活水準の向上により、公衆衛生面が劇的に改善したことで、こうした炎症を起こすことが減ったと考えられるとしている。

 また、住環境が快適になったことも、体温が低下した一因である可能性がある。19世紀とは違い、現代の住居では、セントラルヒーティングやエアコンがあたりまえのものとして設置されており、快適な暮らしが送れるようになった。そのような環境では、体温を維持するために、より多くのエネルギーを消費する必要もなくなったことは大きいという。

 Parsonnet氏は「200年前と比べ、室温や微生物との接触、入手できる食品などを含めた生活環境は大きく変化した。われわれ人間は、生理学的な変化を遂げていると言える」と話している。

[202018/HealthDayNews]



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