「月経カップ」は利便性、安全性ともに高い

女性の間で人気が高まりつつある「月経カップ」は、使い捨てタイプの生理用ナプキンやタンポンと同じくらい使いやすく、安全性も高いことが、英リバプール熱帯医学研究所のPenelope Phillips-Howard氏らが行った研究で明らかになった。研究結果の詳細は「Lancet Public Health717日オンライン版に掲載された。

 Phillips-Howard氏らは今回、世界中で計3,319人の成人女性や女児を対象に実施された43件の研究を対象にメタ解析を実施し、月経カップの有益性と安全性について調べた。

今回の研究の背景について、同氏は「世界で19億人に上る女性が、年間平均で計65日間も生理用品を使っているにもかかわらず、製品間の使い勝手や安全性を比較した質の高い研究はほとんど行われていなかった」と説明。そのため、研究では、月経カップを使用した際に経血が漏れる程度や安全性、受け入れやすさなどを他の生理用品と比較したとしている。

 月経カップは、経血を吸収する生理用ナプキンやタンポンとは異なり、腟に挿入して経血を溜めておき、412時間ごとに溜まった経血を捨てるというもの。

医療用シリコンやゴム、ラテックス製のものが多く、長くて10年間使用できるため、頻繁に購入する必要がないというメリットがある。

 それでは、月経カップの安全性や有益性はどうだろうか?
 Phillips-Howard氏らによると、使用時の経血漏れの程度については、月経カップとナプキンやタンポンの間に差はないことを示した研究が4件、ナプキンやタンポンと比べて月経カップの方が有意に少ないことを示した研究が1件あることが今回のレビューから分かったという。

 また、月経カップの使用に伴う感染症リスクの上昇も認められなかった。4件の研究では、月経カップを使用しても腟内細菌叢への有害な影響はみられなかった。

さらに、追跡期間中に腟内や子宮頸部を調べた複数の研究で、月経カップの使用による組織損傷も認められなかった。

 ただし、一部の女性は月経カップの取り外しが難しいと報告していた。また、月経カップの使用に伴う痛みは5人、腟の傷は3人、アレルギー反応または発疹は6人、尿路症状は9人がそれぞれ報告していた。さらに、月経カップ使用後のトキシックショック症候群が5人にみられたが、「全体の使用者数が不明だったため、同症候群のリスクを他の生理用品と比較することはできなかった」とPhillips-Howard氏らは説明している。

 安価で安全かつ有益な生理用品は、世界中の女性で必要とされている。Phillips-Howard氏らは、月経は学校生活や職業生活に大きく影響するほか、質の悪い生理用品を使うと尿路や生殖器の感染症リスクが高まり、貧困から生理用品を買えない女性は性的暴力や抑圧のターゲットになりやすいことなども問題点として挙げている。

 一方、この論文の付随論評を執筆した米ジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のJulie Hennegan氏は、「今回の研究から、月経カップが安全かつ費用対効果の優れた選択肢になることが明らかになった」と述べた上で、「月経カップの認知度はあまりにも低いことも分かった」と指摘。

今回の研究では、初経に関するオンライン教材で、月経カップを紹介していたのはわずか30%にとどまっていたことにも言及している。

 ただし、専門家の一人で、米レノックス・ヒル病院の産婦人科医であるJennifer Wu氏は、使用後のトキシックショック症候群がみられたことから、「月経カップに全くリスクがないわけではない」と注意を呼び掛けている。また、現時点では安全な使用時間は不明だとして、「月経カップは腟内に挿入したまま放置せず、68時間ごとに取り出して空にすべきだ」と助言している。

[2019717/HealthDayNews]Copyright



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