お腹の脂肪が心筋梗塞の再発リスク増加と関連

一度心筋梗塞を発症した患者は、腹部の脂肪が多いと、再度心筋梗塞を起こしやすいとする研究結果が、「European Journal of Preventive Cardiology121日オンライン版に掲載された。

 腹部肥満により初回の心筋梗塞リスクが上昇することはこれまでの研究で明らかにされていたが、今回の研究では、2度目のリスクも高まることが示された。研究論文の著者であるカロリンスカ大学病院(スウェーデン)のHanieh Mohammadi氏は、「予防薬をきちんと飲んでいても、あるいは血液検査の結果が正常値でも、心筋梗塞や脳卒中の予防のためには標準的な腹囲を維持することが重要だ」と述べている。

 この研究は、初回の心筋梗塞を起こしたスウェーデンの患者22,882人(男性16,950人、女性5,932人)を対象に、腹部肥満と心血管イベント再発との関連を追跡調査したもの。追跡期間の中央値は3.8年だった。なお、心血管イベントとは、致死的・非致死的な心筋梗塞や脳卒中など動脈血栓により引き起こされたものとし、また、腹部肥満は、腹囲が男性では94cm以上、女性では80cm以上と定義した。対象者の大半(男性の78%、女性の88%)は、腹部肥満であった。

 その結果、腹部肥満は、喫煙、糖尿病、高血圧、コレステロール、BMIといった他のリスク因子とかかわりなく、致死的・非致死的な心筋梗塞や脳卒中と独立して関連することが明らかになった。

 また、心筋梗塞の再発リスクは、女性よりも男性で高かった。Mohammadi氏らはこの点について、今回の研究では女性の数が少なかったため、このリスク差を説明するには研究を重ねる必要があるとした上で、可能性のある理由として、女性の腹部肥満は大半が比較的害の少ない皮下脂肪によるものであるのに対し、男性の腹部肥満の多くは有害な内臓脂肪によるものである可能性があることを挙げている。

 腹部脂肪が危険であるのは、高血圧、高血糖、糖尿病、コレステロール値の上昇など、動脈血栓を促進させる症状に関連するためだとMohammadi氏は説明する。しかし、今回の研究では、腹部肥満自体が独立したリスク因子であることが示された。「つまり、腹部肥満にはまだ知られていない有害なメカニズムが存在する可能性があるということだ」と同氏は指摘する。

 Mohammadi氏は「腹部肥満には、健康的でバランスの取れた食事と定期的な運動によって対処できる」と述べる。また、再発リスクの高い心筋梗塞患者を特定するために、臨床現場で腹囲を測定することも勧めている。

 今回の報告を受け、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)心臓病学教授のGregg Fonarow氏は、「体重を落とすだけで心筋梗塞の再発リスクを低減できるとは言い切れない。心筋梗塞を起こしたことがある患者が、腹部脂肪を減らすことで再発リスクを下げることができるのかどうかは、臨床試験で検証していく必要がある」と指摘している。

 一方、この研究の付随論評を執筆した、サンタ・クルス病院(ポルトガル)のDaniel Matos氏は、「現在のところ、減量や食事と生活習慣の改善以外に腹部肥満を標的とする治療法はない。しかし、将来的に肥満解消に有効な治療法が開発されれば、心筋梗塞後の患者の転帰を改善できる可能性がある」と話している。

[2020121/HealthDayNews]



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