アミロイドβの毒性機序解明

アルツハイマー病(AD)における病因蛋白アミロイドβの毒性機序の解明について、昭和大学がプレスリリースを発表した。

 今回、昭和大学の小野 賢二郎氏(昭和大学 医学部脳神経内科学部門 教授)、辻 まゆみ氏(薬理科学研究センター)らを中心とする研究グループは、アミロイドβの高分子オリゴマーであるプロトフィブリルが神経細胞膜を傷害する機序の一端を解明し、2019513日、米国実験生物学会連合学術誌The FASEB Journal誌オンライン版に掲載された。

ターゲットはアミロイドβ高分子オリゴマー

 アミロイドβは、主に40アミノ酸残基を含むアミロイドβ1-4042アミノ酸残基を含むアミロイドβ1-42がヒトにおいて産生されるが、とくにアミロイドβ1-42はより凝集性が高く毒性が強いため、AD病態の進行にとって重要であると言われている。

 アミロイドβモノマーは凝集して低分子オリゴマー、続いてプロトフィブリルのような高分子オリゴマー、そして最後に成熟線維を形成すると考えられている。これらの凝集体はAD患者の脳において神経機能障害を引き起こすが、最近、早期あるいは中間凝集段階であるオリゴマーがADの病因において重要な役割を果たすことが示唆されている1)。

高分子オリゴマーが細胞膜を傷害することで毒性を発揮

 今回の研究では、アミロイドβ1-42の高分子オリゴマーが、細胞膜上での活性酸素種(ROSReactive Oxygen Species)生成と脂質過酸化によって仲介される膜損傷を介して神経毒性を発揮し、その結果、膜流動性の低下、細胞内カルシウム調節異常、膜の脱分極、およびシナプス可塑性障害をもたらすことを明らかにした。これらの作用は低分子アミロイドβでは弱いことがわかった。

 最近、第II相臨床試験で、高分子アミロイドβオリゴマー抗体が、プラセボと比較して早期ADにおける認知低下を有意に遅らせ、アミロイド蓄積を減少させたことが報告されているが、今回の高分子アミロイドβオリゴマーが膜損傷を介して神経毒性を誘発するという研究結果によって、高分子アミロイドβオリゴマーがADの有効な疾患修飾療法の治療標的になる可能性があることが示唆された。

 これらの知見は、ADにおいてアミロイド斑を除去または分解するように開発された疾患修飾療法の最近の失敗に照らして重要な知見であり、現在世界中で行われているADの治療薬開発に応用できる可能性があるという。

 本研究は、昭和大学医学部脳神経内科学部門、薬理科学研究センター(木内 祐二氏ら)、同学歯学部口腔生理学(井上 富雄氏ら)、富山大学医学薬学研究部システム情動科学(西条 寿夫氏ら)、金沢大学ナノ生命科学研究所(中山 隆宏氏)、京都大学iPS細胞研究所(井上 治久氏ら)、カリフォリニア大学ロサンゼルス校神経学(デービッド・B テプロフ氏)との共同研究にて行われた。

女性医師だけの問題ではない…!?

これまでにも大規模な質的研究における母親差別、セクシャルハラスメント、給与やキャリアへの性差別の報告がいくつもあるが、今回の研究は英国とオーストララシアの女性医師を対象にして、外科研修プログラムを途中で辞めた(辞めざるを得なかった)要因をブロックで視覚的にまとめたものである。

スノーボール・サンプリング法による対象者はわずか12名で、インタビュアーのバイアスも除外しきれない中で逆に深く掘り下げることにより、新たな6つの要因を浮き彫りにしている。性差比較の研究結果の多くが先進国を含む世界中で同じ傾向にあることは残念ではあるが、悪しき要因改善を促す研究が世の中に出てくるようになったことは進歩なのかもしれない。

 ただこれは「women」に限ったことではないのではないか。たしかに、男性医師は外科専門医の男性比率が高く交流しやすいだろう。同性社会の中で精神衛生状態が悪いことも少ないだろう。

生物学的に妊娠出産がないからその時期のキャリアの中断もなければ、子育ては多くが(女性医師よりも)家族の協力を得やすいことが推測される。それでもハードな外科系を選択する男性医師は年々減少し、マンパワーに診療科間の不均等が生じているのも事実であり、しんどいとされる診療科では医師全体が過重労働になっている。

男性医師でも「病気などで休暇を取ることが難しい」「休暇の正当な理由についての区別が曖昧」などの環境は似たようなものではないだろうか。

だからこそ、「外科分野の研修プログラムは性別に重点を置くのではなく、多様な因子に気を配りながら、予期せぬ負の影響の可能性に留意した介入が必要となる」と述べている。外科研修プログラムの構造改革は、実は「men」にとっても重要なことだと暗に言っている。

 「医者は事務職ではない」という上司の一言で労働基準法は無視され、時短勤務どころか育休すらなかった世代から見ると今は隔世の感があるが、それでもまだまだ周囲の理解は難しい。

社会環境が整うには時間を要するが、相手の立場をあと一歩だけ慮り、チーム間のコミュニケーション・相互理解を深めれば、柔軟にキャリアを積める空気も生まれるだろう。今後sexual and gender minoritiesの声を拾ったデータも出てくるようになれば、某大学の入学式の祝辞が話題になることもない、生物学的性別を意識しない時代になるかもしれない。

Resilience」:柔軟性と適応力はどの分野でも必要なことである。MinoritiesのほうがResilienceは優れている可能性もある。

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