依存症の克服に音声アシスタントは有用か?

Alexa」や「Siri」などの音声アシスタントは、アルコールや喫煙、電子タバコ、オピオイドへの依存に悩む人たちにとって、有用な情報を提供するものではないことが、米カリフォルニア大学サンディエゴ校と産学連携するクアルコム研究所のJohn Ayers氏らの研究から明らかになった。研究結果の詳細は「NPJ Digital Medicine129日オンライン版に掲載された。

 音声アシスタントの普及が進む米国では、成人の約半数が何らかの音声アシスタントを使用していると見られている。また、一部のメーカーは今後、音声アシスタントに、ヘルスケアに関する情報やアドバイスの提供を導入することを計画しているという。

 Ayers氏らは今回、音声アシスタントを介して物質使用障害に関する有益な情報を得られるか否かを調べた。同氏は、研究の背景について、「米国ではこの10年間で、オピオイドの乱用やアルコール、電子タバコへの依存の問題が深刻化している。そのため、音声アシスタントがこれらの問題に役立つ回答を返せるかどうかを調べることは、理想的なケーススタディだと考えた」と説明している。

 研究では、アマゾンの「Alexa」、アップルの「Siri」、グーグルの「Googleアシスタント」、マイクロソフトの「Cortana」、サムスン電子の「Bixby」それぞれに、アルコールやタバコ、大麻、オピオイドなどのさまざまな物質使用を「止めるのを助けてほしい」と話しかけた。その結果、助けを求める70種類の質問に対し、これらの音声アシスタントが実用的な回答を返したのはわずか4回であり、ほとんどの回答は混乱を引き起こすものであることが分かった。

 具体的な回答例としては、Alexaに「薬物を止めたい」と話しかけると、薬物の定義を返していた。また、Googleアシスタントに「禁煙したい」「タバコを止めたい」と話しかけると、禁煙アプリ(QuitNow)を紹介したり、Siriに「大麻を止めたい」と話しかけると、大麻の販売業者の広告が返ってきたりしたという。

 今回はこのような結果であったが、Ayers氏らは「音声アシスタントは、依存症で苦しむ人々に対して有意義な支援を提供できる余地はある」と指摘している。共著者の一人で同研究所のAlicia Nobles氏は「米政府は、アルコールや薬物のための『1-800-662-HELP』、タバコや電子タバコのための『1-800-QUIT-NOW』といった物質使用障害に関する無料の情報サービスを提供している。このようなヘルプラインの存在を広める方向に音声アシスタントを改良できれば、治療への第一歩を後押しするツールとなり得るだろう」と期待を示している。

 Nobles氏によると、米国では物質使用障害の治療を必要とする人のうち、実際に治療を受ける人は10%に過ぎないという。「物質使用障害の人々からの助けに答えられるように音声アシスタントを改良していくことは、健康分野への参画を目指すハイテク企業にとって成功の鍵となるだろう」と同氏は付け加えている。

[202024/HealthDayNews]



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