健康の秘訣は良好な人間関係? AHAニュース

80年代のロックミュージシャン、ヒューイ・ルイスは「愛の力は不思議なもの 君の人生だって救ってくれるかもしれない」と歌ったが、実際に愛には、人を健康で長生きさせる力があるようだ。

 支え合う相手がいること、特に結婚が健康に有益であることは、これまで数々の研究で示されてきた。2017年に「Journal of the American Heart Association」に発表された研究では、未婚の心疾患患者は既婚の心疾患患者に比べ、約4年後に心筋梗塞を起こすか、心血管疾患により死亡する率が52%高いことが示された。国立健康統計センター(NCHS)によると、既婚者の死亡率は、結婚経験のない人、離婚した人、配偶者と死別した人に比べて低いという。そのほか、恋人の写真を見るだけで、気分や痛みの制御に関わる脳の領域が活性化することや、パートナーのことを考えることが血糖値にプラスの影響を及ぼし、活力の上昇をもたらすことを報告する研究もある。

 ハーバード成人発達研究は、1938年から2つのグループの男性を追跡している。この研究を率いるRobert Waldinger氏が、研究成果に関して行ったTED講演「What makes a good life?(人生を幸せにするものは何?)」は、数千万回以上再生されている。この研究で明らかになったことの中で特に興味深いのは、中年期の安定した人間関係は、30年後の健康と幸福を予測する因子としては、コレステロール値よりも強力であるということだ。「この研究から分かったことは、“良好な人間関係が幸福と健康をもたらす”というメッセージにほかならない」と同氏は主張する。

 では、なぜ良好な人間関係が健康に良いのか。Waldinger氏は、良好な人間関係が、恐怖や怒りを感じたときに生じる闘争・逃走反応を和らげてくれるという仮説を述べている。「嫌なことがあった日でも、家に帰ってそのことを話せる相手がいれば、気持ちが軽くなっていくのを感じるだろう。聞き上手で励ましてくれる人ならなおさらだ」と同氏は話す。手を握ったり抱きしめたりといったスキンシップもストレスホルモンを低減させることが、研究で明らかにされている。

 米ブリガム・ヤング大学心理学・神経科学教授のJulianne Holt-Lunstad氏は、ストレスの緩和にとどまらず、支えとなるパートナーがいることで、運動やより良い食生活を心がけ、必要なときは医者に行くといった具合に、健康的な生活が促されている可能性があると指摘する。彼女が率いた別の研究では、結婚の効果はその質によって左右されることも分かった。幸せな結婚生活を送っている人は、未婚者に比べ血圧が低かったが、結婚生活がうまくいっていない人は独身者よりも血圧が高いという結果が得られたからだ。「結婚であれ何であれ、良好な人間関係というものは、信頼と安心で成り立っている。それには、相手が自分のニーズに応えてくれるのと同じように、自分も相手のニーズに応える必要がある。一方通行の関係は良好とは言えない」と同氏は説明している。

 Waldinger氏によると、必ずしも結婚や同居をしていなくても、必要なときに支えてくれる人がいると分かっていることが重要だという。根底に愛情があれば、言い争いが結婚の破綻につながることはないことも、同氏が以前行った研究から分かっている。「幸せな結婚のあり方はそれぞれに違っている。大切なのは、相手との相性ではないだろうか。人との関係において、頻繁な連絡や親密性を重視する人もいれば、そうしたことをさほど重視しない人もいる」と同氏は述べている。

 一方、Holt-Lunstad氏は、「人間関係は、体の健康、特に心臓に大きな影響を及ぼすことをもっと多くの人が知るべきだ」と述べ、「運動や禁煙が与える影響に関してはすっかりメッセージが広まった感があるが、今後は人間関係が与える影響についても同様に伝えていく必要がある」と付け加えている。

[2020
25/American Heart Association] 

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