再発予防目的でスタチンを服用する人はわずか、米研究

心筋梗塞や脳卒中の既往がある人は、スタチンを服用すると再発リスクを半減できるとされる。しかし、米インターマウンテン医療センター心臓研究所のHeidi May氏らが行った調査から、これらの既往があっても処方通りにスタチンを服用している人はわずか6.4%に過ぎないことが明らかになった。この研究結果は、米国心臓病学会(ACC 201931618日、米ニューオーリンズ)で発表された。

 この研究は、19992013年の間に心筋梗塞や脳卒中などのアテローム性動脈硬化症と初めて診断され、診断から12カ月以内にスタチンを処方された18歳以上の患者5,468人を対象としたもの。対象患者の平均年齢は57歳で、男性が約80%を占めていた。研究では、服薬アドヒアランスの指標として、調査期間におけるスタチンの処方日数の割合(proportion of days coveredPDC)を算出し、分析した。

 その結果、5年間の追跡期間を通してPDC80%以上と服薬アドヒアランスが良好だった患者の割合は、全体のわずか6.4%(351人)にすぎず、その大半は男性であることが分かった。また、これらの患者では、服薬アドヒアランスが不良だった患者に比べて、死亡または心筋梗塞、脳卒中などの主要心血管イベント(MACE)を発症するリスクが48%低かった。

 一方、この研究では、対象患者の25%は初回に処方されたスタチンを調剤してもらっておらず、25%は2回目の処方薬を調剤してもらっていないことも明らかになった。

 主任研究者であるMay氏は「スタチンが心血管イベントの再発予防に有効であることは、多くの研究で示されている。スタチンを処方通りに服用している人がこれほど少ないことには驚かされた」と述べている。

 では、一体なぜこれほど多くの人が処方通りにスタチンを服用しないのだろうか。May氏らは、今回の研究ではその理由までは明らかにされていないが、スタチンの有効性が十分に理解されていないことや、副作用への懸念、服薬を長年続ける必要はないと誤解している、既に多剤併用していることを心配している、などを理由として挙げている。

 また、May氏らの施設では退院時に患者指導を行い、十分な情報提供を行っていたほか、薬剤費は90日分で10ドル程度(約1,100円)であることから、患者教育の不足や医療費が原因である可能性は低いと考えられたという。これらを踏まえ、同氏は「今回の研究から、患者には処方された通りに服薬を継続するよう指導を続けることの必要性が浮き彫りになった」と述べている。

 今回の研究には携わっていない、米ノーザン・ウェストチェスター病院循環器科部長のJames Catanese氏は「患者が薬を処方通りに服用しない理由はさまざまであり、また、患者は服用していないことを医師には伝えたがらない」と指摘する。しかし、スタチンを服用すれば心筋梗塞や脳卒中の再発リスクを大きく下げられることから、同薬を処方通りに服用することの重要性を強調している。

 May氏は「処方薬は決められた通りに服用するほど予後は良くなる。現在は体調が良くても、スタチンは服用し続ければ数年後に起こりうる問題を予防してくれる」と述べている。また、Catanese氏は「携帯電話のアラーム機能を活用するなどで、毎日の服用を習慣づける必要がある」と助言している。

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