多発性硬化症の発症メカニズム、解明進む

ダブリン大学トリニティ・カレッジ(アイルランド)実験免疫学教授のKingston Mills氏らは、多発性硬化症(MS)のモデルマウスを用いた実験で、MSの炎症を引き起こすサイトカインの一種であるインターロイキン17IL-17)の新たな役割を発見したと、「Immunity24日オンライン版に発表した。同氏らは「この知見は、MSや乾癬、関節リウマチなどの自己免疫疾患に対し、より効果的な治療法の開発につながるものだ」と期待を示している。

 MSは、免疫細胞が脳や脊髄の中枢神経系(CNS)の組織に侵入し、神経を損傷した結果、さまざまな神経症状が現れる自己免疫疾患だ。MSの患者数は世界で約230万人、アイルランドでは9,000人を超えるとされる。しかし、その原因はいまだに明らかになっておらず、根本的な治療法も見つかっていない。

 マウスのMSモデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)においてのこれまでの解析では、MSは、IL-17を産生する「ヘルパーT細胞」と呼ばれる免疫細胞が、CNSの神経線維を覆っている髄鞘を損傷することで起こるというメカニズムが示されている。なお、IL-17阻害薬は、乾癬の治療では既に承認されており、MS治療に関しても、再発寛解型MS患者を対象とした早期臨床試験から有望であることが報告されているという。

 Mills氏らが今回、EAEを解析した結果、MSの発症に際して、IL-17にはこれまで知られていなかった別の役割があることを突き止めた。IL-17を欠損したマウスやIL-17阻害薬を投与したマウスにEAEを誘発すると、自己免疫疾患を引き起こしにくいことが分かった。

 Mills氏は「IL-17は、疾患の原因となる免疫細胞をリンパ節に引き寄せて活性化することで、免疫細胞がCNSの組織に侵入して神経障害を起こしていることが分かった。IL-17は、疾患発症の引き金となる免疫反応の開始に重要な役割を果たしている」と説明。一方で、今回は基礎研究に過ぎず、現段階ではヒトにも当てはまるとは断言できないとしている。

 共著者の一人で同大学生化学・免疫学部のAoife McGinley氏は「重要なことに、今回の研究結果から、IL-17阻害薬が血液脳関門を通過しなくてもMS治療に効果を発揮する可能性が示唆された」と述べている。その上で、「再発寛解型MSの治療ターゲットとして、IL-17の重要性に新たな可能性が見出された。また、MS以外にも乾癬や関節リウマチなど他の自己免疫疾患の治療においても、IL-17阻害薬には大きな可能性があることが強調された」と付け加えている。

[202025/HealthDayNews]



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