多飲症と抗精神病薬との関連

山梨県立北病院の桐野 創氏らは、多飲症と抗精神病薬との関連を明らかにするためシステマティック・レビューを行った。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2019828日号の報告。

 抗精神病薬により誘発または改善された多飲症に関する臨床研究および症例報告を含み、MEDLINEEmbasePsycINFOよりシステマティックに検索した。

 主な結果は以下のとおり。

・二重盲検ランダム化比較試験(RCT1件、single-arm試験4件、横断研究1件、ケースシリーズ3件、ケースレポート52件を含む61件が抽出された。
・二重盲検RCTでは、多飲症の改善において、オランザピンとハロペリドールとの間に有意な差は認められなかった。
single-arm試験では、2件においてクロザピン治療中に多飲症の改善が認められたが、他の2件ではリスペリドンによる改善が認められなかった。
・横断研究では、低ナトリウム血症が第1世代抗精神病薬(FGA)で26.1%、第2世代抗精神病薬(SGA)で4.9%認められた。
・ケースシリーズでは、2件においてクロザピンの多飲症改善効果が認められた。他の1件において、FGAで治療された多飲症患者は、統合失調症(70.4%)および精神遅滞(25.9%)であることが示唆された。
・ケースレポートでは、90例中67例(75.3%)が統合失調症と診断された。
・多飲症発症前に抗精神病薬治療を開始した83例の使用薬剤は、FGA75例(90.3%)、リスペリドンが11例(13.3%)であった。とくに、ハロペリドール治療が24例(28.9%)と多かった。
・抗精神病薬治療後に多飲症が改善した40例では、SGA36例であり、主にクロザピン(14例、35.0%)で治療されていた。

 著者らは「多飲症と抗精神病薬との関連は、高品質なエビデンスが不足しているため因果関係は不明なままであるが、ドパミンD2受容体に対する親和性の高い抗精神病薬は、多飲症リスク増加と関連している可能性がある。また、クロザピンは多飲症治療に有効である可能性がある」としている。

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