大気汚染で加齢黄斑変性リスク上昇か

自動車の排出ガスを原因とした大気汚染が加齢に伴う眼疾患のリスクを高めている可能性が、中国医薬大学(台湾)のSuh-Hang Hank Juo氏らが実施した研究により示された。二酸化窒素と一酸化炭素への曝露量が多いと、高齢者の失明の主な原因となっている加齢黄斑変性(AMD)を発症するリスクが約2倍になったという。研究の詳細は「Journal of Investigative Medicine820日オンライン版に発表された。

 AMDは、加齢により網膜の中心にある黄斑と呼ばれる部分に異常が生じる疾患である。黄斑には視細胞がたくさん集まっていて、視機能で重要な働きをしている。米国眼科学会(AAO)によると、AMD50歳以上の中高年で高頻度にみられ、徐々に視野の中心部が見えにくくなる。しかし、有効な治療法は今のところないという。

 AMDのリスク因子としては過体重および肥満、飽和脂肪酸の摂取過多、喫煙、高血圧などが挙げられる。Juo氏らは今回、大気汚染物質である二酸化窒素と一酸化炭素もAMDのリスク因子であるか否かについて調べるため、台湾の20002010年の国民健康保険データと大気環境データを用いた研究を実施した。対象は、50歳以上の男女約4万人で、このうち約1,400人が11年にわたる追跡期間中にAMDを発症した。

 二酸化窒素と一酸化炭素への曝露量で4つのグループに分け、年齢や性別、世帯収入、併存疾患など他のリスク因子を調整して解析した結果、二酸化窒素への曝露量が最も多い群では、最も少ない群と比べてAMDを発症するリスクが91%高かった。また、一酸化炭素への曝露量が最も多い群では、最も少ない群と比べてAMDの発症リスクが84%高かった。新規にAMDと診断された例の割合が最も高かったのは、一酸化炭素への曝露量が最も多い群で、5.8%だった。

 Juo氏らは、AMDと大気中の高レベルの二酸化窒素および一酸化炭素が有意に関連することを初めて示したものだと研究の意義を強調する一方で、今回の研究により因果関係が証明されたわけではないことや、研究では考慮されなかった他のAMDのリスク因子が存在することを認めている。それでもなお、大気汚染は呼吸器疾患や心疾患など複数の疾患と関連していることが、これまでの研究で明らかにされていると主張している。

 米レノックス・ヒル病院の眼科医であるMark Fromer氏も、大気汚染に関連する疾患のリストには眼疾患も含まれていると指摘。「自動車の排出ガスによる大気汚染レベルが高いと、角膜の表面に眼疾患が生じ、ドライアイを招くことが報告されている。排出ガスによる大気汚染物質は結膜炎のリスクを高める可能性があることも分かっている」と説明している。その上で、同氏は「AMDには環境的要因と遺伝的要因の両方が関与していることが明らかにされており、大気汚染によってAMDリスクが上昇する可能性があることを示したJuo氏らの研究結果には十分納得できる」と話している。

[2019821/HealthDayNews]

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