子どもの行動に「腸内細菌叢」が影響か

学齢期の子どもの行動上の問題には、腸内細菌が関与している可能性があることが、米オレゴン州立大学微生物学准教授のThomas Sharpton氏らによる研究で示唆された。行動上の問題を抱える子どもと問題がない子どもとでは、腸内細菌叢の組成に違いが見られたという。一方、このような腸内細菌叢の違いには、食べ物だけが影響するわけではないことも示された。研究結果の詳細は「mBio121日オンライン版に掲載された。

 Sharpton氏らは、子どもの行動と腸内細菌叢の関係を調べるため、57歳の40人の小児から採取した便検体を分析し、腸内細菌叢の組成を調べた。その結果、腸内細菌叢の組成は学齢期の子どもの行動と強く関連することが分かった。

 また、家族と強い絆で結ばれている子どもと家族との絆が弱い子どもでは、腸内細菌叢に違いが見られることも明らかになった。このことから、Sharpton氏らは「腸内細菌と子どもの行動との関連には、家族との関係が大きく影響する可能性が示された」としている。

 ただし、Sharpton氏は「この研究は因果関係を証明するものではない」と強調。子どもの行動上の問題が腸内細菌叢を変化させている可能性もあると説明している。さらに、「この研究では、腸内細菌叢の変化は食事による影響では説明できなかった」と同氏は付け加えている。

 腸内細菌叢と小児の行動との関係に着目した研究は、これが初めてではない。例えば、20195月には、米テキサス小児病院のグループは、消化器症状のある自閉症の小児の腸内細菌叢は、自閉症ではない兄弟姉妹や血縁関係のない小児とは異なるという研究結果を報告している。ただし、この研究では、自閉症であることを示す明らかな腸内細菌叢のパターンは見つけられなかった。

 Sharpton氏は「今後、今回の研究結果が大規模研究でも確認されれば、腸内細菌叢から得られる情報に基づいて子どもの行動上の発達を予測する方法を見つけられるかもしれない」と説明。また、このような情報を活用することで、早期からのより効果的な介入につなげられる可能性があるとしている。

 この報告を受けて、米ノーザン・ウエストチェスター病院の小児科部門長であるMaryann Buetti-Sgouros氏は「脳と腸内細菌は関連するという説を支持する研究結果だが、今回は決定的な答えは得られなかった。ただ、今後の研究課題は見えてきたといえる」と話している。

 また、同じく専門家の一人で、米コーエン小児医療センターの発達・行動部門長のAndrew Adesman氏も「学齢期の子どもであっても、腸内細菌叢の影響は消化管だけにとどまらないとする新たな根拠が得られた」と述べている。一方、同氏は、これらの因果関係は明らかになっておらず、今後さらなる研究が必要とした上で、「腸内細菌叢の研究はまだ始まったばかりだ。特に小児における腸内細菌叢の臨床的な重要性を明らかにするためには、少なくとも10年はかかるだろう」と話している。

[2020120/HealthDayNews]







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