日本人NAFLD患者の種々のがん予測に亜鉛測定が有用

血清亜鉛(Zn)濃度の低下は肝性脳症や味覚異常など、さまざまな疾患に影響することが報告されている。しかしながら、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)患者における関連はほとんど報告されていない。今回、名古屋大学消化器内科学の伊藤 隆徳氏らは、血清中のZn濃度と総分岐鎖アミノ酸/チロシンモル比(BTRmolar ratio of total branched-chain amino acid to tyrosine)が、NAFLD患者の予後と関係することを明らかにした。著者らは、「血清中のBTRおよびZn濃度が、それぞれNAFLD患者の肝細胞がん(HCC)および他臓器がんの発生予測に有用」とコメントしている。NutritionCancer誌オンライン版2019821日号掲載の報告。

 本研究では、名古屋大学と大垣市民病院において19991月~201412月の期間に肝生検を受け、NAFLDと診断された363例のうち、基準を満たした179例を登録。NAFLD患者の悪性腫瘍の発生率に対する血清中のBTRZn濃度の影響を調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・被験者179例の内訳は、NAFL71例、NASH108例だった。
・平均年齢は53歳(四分位:4062歳)、女性82例(45.8%)、男性97例(54.2%)だった。
・被験者の各中央値はBTR6.7Zn78.0μg/dLだった。
・フォローアップ期間(中央値7.9年)中にHCC7例(3.9%)、他臓器がんは10例(5.6%)発生し、他臓器がんの内訳として乳がん・婦人科がん・大腸がんが多くを占めていた。
Bruntの分類による活動性は、Grade1107例(59.8%)、Grade264例(35.8%)、Grade38例(4.5%)であり、線維化は、Stage049例(27.4%)、Stage172例(40.2%)、Stage229例(16.2%)、Stage325例(14.0%)、そしてStage44例(2.2%)だった。
Cox比例ハザードモデルによる多変量解析により明らかとなったHCCのリスク因子は、肝線維化(F34、ハザード比[HR]24.29295%信頼区間[CI]2.802210.621、p=0.004)、BTR 5.0未満(HR5.46295CI1.09527.253、p=0.038)であった。一方で、他臓器がんのリスク因子としては、血清Zn濃度70μg/dL未満(HR3.50495CI1.01012.157、p=0.048)と病理学的肝内炎症(A23HR3.44595CI0.88613.395、p=0.074)が選択された。
・血清中のBTR低値(5.0未満)およびZn欠乏(70μg/dL未満)の患者では、HCC(p<0.001)と他臓器がん(p=0.026)の発生率がそれぞれ有意に高かった。

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