歯磨きやフロス使用は脳卒中予防につながる?

歯周病がある人では、動脈硬化が進行し、脳の血管の一部が閉塞して発症する脳梗塞のリスクが高まる可能性があることが、米サウスカロライナ医科大学臨床神経学部長のSouvik Sen氏らが行った2件の研究から示された。歯周病と他のリスク因子を同時に治療すると、脳動脈内のプラーク蓄積や血管閉塞が抑えられ、結果として脳梗塞の予防に役立つ可能性があるという。これらの研究結果は、国際脳卒中学会(ISC 202021921日、米ロサンゼルス)で発表された。

 Sen氏らは今回、アテローム性動脈硬化症の発症や進行には、炎症が明らかに強く関与していると見られる点に着目。歯周病と脳血管の閉塞や動脈硬化によって引き起こされる脳梗塞との関連について調べた。

 最初の研究では、20152017年に脳卒中を発症した患者265人(平均年齢64歳、男性56%)を対象に、歯周病の有無と特定のタイプの脳卒中との関連を調べた。

 その結果、歯周病のある患者では、歯周病のない患者と比べて脳梗塞を発症する確率が2倍であることが分かった。また、歯周病のある患者では、視力や協調運動などの脳機能を制御する大脳後部の血管に梗塞を起こす確率が3倍に上っていた。さらに、歯周病は、脳の大血管に梗塞を起こした患者で多く見られたが、その他の部位に脳梗塞を起こした患者ではそれほど多くはなかった。

 次の研究では、脳卒中の既往がない成人1,145人(平均年齢76歳、女性55%)を対象に、MRI画像を用いて脳動脈の閉塞を評価した。その結果、参加者の10%では、脳動脈に50%以上の重度の狭窄が認められた。また、歯肉炎のある人では、ない人と比べて脳動脈に重度の狭窄が見られる確率が2倍であった。さらに、年齢や高血圧、高コレステロールなどのリスク因子で調整すると、歯肉炎のある人では、脳動脈に重度の狭窄が見られる確率が2.4倍であった。

 これらの研究結果は、歯周病が脳梗塞の原因であることを証明するものではない。しかし、Sen氏は「診療に当たる医師は、歯周病は炎症を伴う細菌感染症であることを十分に認識し、患者と協力して治療に取り組むことが重要だ」と強調。現在、歯周病を治療すると脳卒中リスクが低下するのか否かを調べる研究に取り組んでいるという。

 なお、学会発表された研究結果は、一般に査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

[2020213/HealthDayNews]

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です