緑の多い公園で過ごす

都市部で生活していると、時に心がすさみ、落ち込むこともある。しかし、木立に囲まれた公園でひと時を過ごすことで、都市生活によるストレスは軽減され得ることが、米バーモント大学環境・天然資源学のAaron Schwartz氏らの研究で示唆された。研究の詳細は、「People and Nature820日オンライン版に掲載された。

 Schwartz氏らは今回、Twitterの利用者4,688人が公園で過ごしている間、あるいは公園に行く前後に投稿したツイートを3カ月間にわたって収集した。投稿者が訪れた公園は合計160カ所で、全てサンフランシスコ市内に位置していた。収集されたツイートの分析には、ツイートに使用されている単語から投稿者の幸福度を計測する「ヘドノメーター」と呼ばれるツールを使用した。

 Schwartz氏らが、ヘドノメーターによって公園に行く前と行った後のツイートを分析して比べた結果、公園で過ごす時間は、ヘドノメーターで測定した人々の幸福度がピークを迎えるクリスマスの時期と同程度に人々を幸せな気分にすることが明らかになった。ただし、ツイートの投稿者が公園で過ごした時間の長さは調べていないため、短い滞在でも気分に変化があるのかどうかは不明だという。

 また、この研究では最も高い幸福感をもたらしたのは木々の生い茂った緑豊かな大きな公園であることも明らかになった。これに対し、都市部の舗装された広場のような公園で過ごすことによる幸福度は最も低く、近隣にある小さな公園で過ごした場合の幸福度は中程度だった。

 この結果について、Schwartz氏は、「大きな公園では、バーベキューや静かでゆったりとした散歩など小さな公園ではできない活動を楽しむことができるのが一因ではないか」と考察。また、大きな公園ではストレスの多い都市の環境から切り離された感覚を得られるほか、多様な生物に触れ合うことが精神衛生に良い影響を与える可能性もあるとしている。ただし、規模や緑の多さなどに関係なく、全般的にどの公園でも幸福度の上昇が認められ、一度幸福度が高まるとその状態が14時間続くことも示されたという。

 今回の報告を受け、米ゴールデンゲート大学のKit Yarrow氏は「多くの人は無意識のうちに自然を求めている」と指摘。自然が幸せな気分をもたらす要因として、空気が良くなる、視覚的な美しさに精神的にも感情的にも覚醒する、人間には自然の一部でありたいという根本的なニーズがある―ことなどを挙げている。

 さらにYarrow氏は近年、生活のさまざまな場面でデジタル化が進んだため、公園で得られる幸福感が増したのではないかとの見方を示し、「都市計画で住民の幸福感や健康増進、地域社会のつながりを目指すなら、この研究結果を心に留めておくべきだ」と話している。

 Schwartz氏もYarrow氏に同意し、都市部の緑化は住民の精神的な健康に有益であるだけでなく、二酸化炭素排出量の削減、大気汚染の緩和などにもつながると指摘。その上で、「都市部の人口が増える中、住民に自然と触れ合う機会を提供することは人々の心身の健康に不可欠だ」と話している。

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