肺がん患者の多くが推奨される治療を受けていない

米国では、肺がん患者のうち推奨される最低限の治療を受けているのは10人当たり6人にとどまることが、44万件以上の肺がん症例を対象に行った解析により示された。ガイドラインで推奨されている治療を受けるか否かには人種や年齢との関連が認められ、黒人と高齢者で治療を受ける確率が低かったという。詳細は、「Annals of the American Thoracic Society111日オンライン版に掲載された。

 肺がん治療には、外科手術、化学療法、放射線療法などがあり、NCCNNational Comprehensive Cancer Network)作成のガイドラインでは、肺がんの種類とステージによってさまざまな治療の組み合わせが推奨されている。治療によって余命を延ばせるとともに、QOL(生活の質)を向上させることもできる。

 肺がん治療のアドヒアランスには、人種・民族と年齢により差があることが過去の研究において指摘されている。今回、米ミシガン大学呼吸器科医であるDouglas Arenberg氏は、こうした人種や年齢による差が、患者や腫瘍、医療提供者の特徴を考慮しても認められるのか否かを調べるため、全米がんデータベース(NCDB)で2010年から2014年に診断された441,812件の肺がん症例のレビューを実施した。

 その結果、ガイドラインに則った治療を受けている患者は全体の62.1%であり、治療をいっさい受けていない患者は21.6%、残りの患者は推奨よりも低強度の治療を受けていることが明らかになった。また、ガイドラインに則った治療を受けている割合が最も低いのは、進行非小細胞肺がん患者であることも分かった。

 そのほか、黒人の患者が最低限の治療を受ける率は、白人患者と比べると78%であった。一方、80歳以上の患者が最低限の治療を受ける率は、50歳未満の患者と比べると12%であった。

 こうした結果を受けArenberg氏は、「大いに憂慮すべき結果だ。しかし、これまでの研究がそうだったように、医療格差があることを示すことはできても、それがなくならない理由を解明することはそれほど簡単なことではない」と話す。また、例えば、病状が重すぎてより積極的な治療を施せないケースがあることなどを踏まえ、「低強度の治療の方が医学的に適切ということもある。しかし、今回利用したNCDBのデータベースには、患者の好みや希望、あるいは病勢といったことに関する情報は含まれていない」として、今回の研究の限界についても述べている。

 その上で、研究グループは、全ての肺がん患者が確実に最善の治療を受けられるようにするための第一歩は、治療を受けられないリスクがある層を特定することだと結論付けている。

[2019117/HealthDayNews]

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