腎交感神経除神経術は心房細動アブレーション治療

慢性膵炎患者の治療では、早期の外科治療は内視鏡による初期治療と比較して、1.5年の期間を通じて疼痛の緩和効果が優れることが、オランダ・アムステルダム大学のYama Issa氏らDutch Pancreatitis Study Groupが行った「ESCAPE試験」で示された。研究の成果は、JAMA2020121日号に掲載された。疼痛を伴う慢性膵炎患者では、薬物治療および内視鏡治療が不成功となるまで、外科治療は延期される。一方、観察研究では、より早期の外科治療によって、疾患の進行が抑制され、より良好な疼痛管理と膵機能の保持が可能と報告されている。

疼痛緩和効果を評価するオランダの無作為化試験

本試験は、高血圧合併発作性心房細動症例に対して、発作性心房細動に対するカテーテルアブレーション単独治療と、アブレーション治療に腎交感神経除神経術を加えた併用治療のいずれが介入後の発作性心房細動再発抑制に有用であるかを検証したmulticentersingle-blindrandomized clinical trialである。

 主評価項目は、介入後12ヵ月の心房性頻脈再発率と降圧度である。登録された302例中、283例にて試験が遂行された。12ヵ月後に心房性頻脈を認めない症例数は、アブレーション治療単独では148例中84例(56.5%)、アブレーション治療+腎交感神経除神経術併用では154例中111例(72.1%)であった(ハザード比0.57p0.01)。さらに降圧の度合いも併用群で有意に大きかった(両群の収縮期血圧降圧の差13mmHg)。

 本試験の背景は、心房細動発症には血圧上昇や自律神経機能異常が関与し、腎交感神経除神経術は降圧および交感神経機能異常改善に有用なことである。

1.
本試験の臨床的意義
 現在、アブレーション治療後の心房細動再発率は1030%とされ、さらなる治療法の発展が望まれている。本研究は、心房細動アブレーション治療と腎交感神経除神経術の併用が術後心房性頻脈再発率改善に有用であることを示唆する。

2.
本試験の限界
 2-1:高血圧のスクリーニングと血圧評価
 本試験で高血圧合併の定義は、“収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧80mmHg以上、またはその両方で、少なくとも1つの降圧薬を服用していた”と記載されている。しかし、変動する血圧の評価は慎重を要する。現在、腎交感神経除神経術の降圧効果を検証する臨床研究が多数実施されている。それらの研究では、血圧評価は血圧変動性や白衣現象の影響を除外するため24時間血圧測定などが実施されている。しかし、本研究では、こうした血圧評価方法が実施されておらず、介入前後の血圧評価が十分でない。
 2-2:腎交感神経除神経の確実性
 これまで実施された腎交感神経除神経術の降圧効果を検証する臨床研究では、除神経の確実性検証の必要性が指摘されていた。本試験において、腎交感神経除神経術後の腎交感神経電気刺激による昇圧反応を評価することより除神経の確実性が検証されたのは腎交感神経除神経術施行例全体の57%であった。
 2-3:アブレーション治療後の心房性頻脈再発率
 通常、アブレーション治療後の心房性頻脈の再発率は30%未満である。本研究では再発率が40%を越えており、その背景を確認する必要がある(アブレーション単独施行群で血圧コントロールが不十分であったことなど)。

3.
今後の方向性
 3-1:併用療法は侵襲的で高額である。上述のごとく、本試験は血圧の評価および治療が十分でない症例が含まれていた可能性がある。今後、発作性心房細動合併高血圧症例において、アブレーション治療単独実施後に、高血圧専門医による家庭血圧や24時間血圧測定を用いた確実な血圧をコントロールが腎交感神経除神経術併用と同等に心房性頻脈の再発率を抑制するかを検証する必要がある。
 3-2:上述のごとく、血圧だけでなく交感神経機能異常自体が心房細動発症に関連する。本試験の結果は、正常血圧例でもアブレーション治療と腎交感神経除神経術の併用が再発予防に有用である可能性がある。




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