腸内細菌サプリが肥満者の健康向上に有益?

腸内細菌サプリメントが糖尿病や心疾患リスクが高い人に有益である可能性が、ルーヴェン・カトリック大学(ベルギー)のPatrice Cani氏らの研究により示された。過体重または肥満を有するメタボリックシンドロームの人が、アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)という腸内細菌のサプリメントを3カ月間摂取したところ、プラセボを摂取した人に比べ体重が減少したほか、総コレステロール値やインスリン感受性も改善したという。詳細は「Nature Medicine71日オンライン版に掲載された。

 数兆個の細菌から成る腸内細菌叢は、代謝や免疫防御から脳の機能まで多岐にわたり影響することが示唆されており、腸内細菌叢の組成は肥満や自己免疫疾患、うつ病などのリスクと関連づけられている。アッカーマンシア・ムシニフィラは腸内細菌の一種であり、肥満者や2型糖尿病患者の腸内に少ないことが知られている。Cani氏らは過去の研究で、アッカーマンシア・ムシニフィラの生菌を与えられたマウスでは、高脂肪食を摂取しても体重増加が抑えられることを発見していた。また、その後の研究で、アッカーマンシア・ムシニフィラを低温殺菌処理すると生菌のベネフィットが強化されることも示されている。

 今回の研究は、過体重または肥満で、インスリン抵抗性を有するボランティア32人を対象としたもの。12人を低温殺菌処理したアッカーマンシア・ムシニフィラのサプリメント摂取群、9人を生菌のアッカーマンシア・ムシニフィラのサプリメント摂取群、11人をプラセボ(非活性化)摂取群にランダムに割り付け、3カ月に及ぶサプリメント摂取の効果を検討した。

 その結果、低温殺菌サプリメント群はプラセボ群に比べ、体重が平均2.27kg減少し、インスリン感受性は30%向上し、総コレステロール値は9%低下したことが明らかになった。この結果を受けCani氏らは、「カプセルに詰めたアッカーマンシア・ムシニフィラはサプリメントとして安全に摂取できる上に、効果も期待できることが分かった。今後はより大規模な研究で検証してきたい」と語る。

 今回の研究には関与していない、米ニューヨーク大学准教授のKen Cadwell氏は「重要なのは、このサプリメントが安全であることだ。生菌とは異なり、低温殺菌処理された細菌は腸内でコロニーを形成しない。実際、今回の研究で、腸内細菌叢の組成に変化が認められた人はいなかった。より大規模で長期的な研究を実施する価値がある」と述べている。

 米イリノイ大学のElena Barengolts氏も、サプリメントの安全性が示されたことを評価するとともに、「多くの人が体重を減らすことに苦心している」として、減少量は少なくても食生活を変えることなく減量した点にも研究の価値を見出している。その一方で、「そうはいっても、健康的な食生活と運動にかわるサプリメントは存在しない」ことも強調する。Cani氏もこれに同意を示し、「アッカーマンシア・ムシニフィラのサプリメントは、生活習慣の変更と標準的な投薬治療を補強する形で使用されるものになるだろう」との見方を示している。

[201971/HealthDayNews]

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