遠隔オリゴ転移再発乳がんの予後および予後因子/日本癌治療学会

進行乳がん(ABC)のガイドラインの定義によるオリゴ転移がん(OMD)がNon-OMDNOMD)と比べて有意に予後良好であり、通常の再発乳がんの予後因子である「遠隔転移巣の根治切除の有無」「転移臓器個数」「転移臓器部位」「無病期間(DFI)」「周術期の化学療法の有無」がOMDにおいても予後因子であることが示唆された。がん研有明病院/隈病院の藤島 成氏が第57回日本癌治療学会学術集会(102426日)で発表した。

 一部の進行乳がんにおいて長期予後が得られる症例があり、そのような症例としてOMDHER2陽性乳がんが挙げられる。ABCのガイドラインにおけるOMDの定義は、転移個数が少なくサイズが小さい腫瘍量の少ない転移疾患とされており、その転移個数は5個以下となっているが、転移臓器の個数は定義されていない。OMDの転移臓器の個数は1つにすべきというドイツのグループからの意見もあり、その定義について議論されている。今回、藤島氏らはABCのガイドラインの定義によるOMDの予後を評価し、さらにOMDの予後因子を検討した。

 対象は、がん研有明病院で原発性乳がんの手術を受け200514年に遠隔再発を来した患者612例のうち、重複がん、両側乳がん、追跡不能例を除いた437例。ABCのガイドラインに基づき分類したOMDNOMDの予後を比較し、さらにOMDの予後因子を分析した。脳転移および転移個数5個以下でも根治切除不能と判断した症例はNOMDに分類した。

 主な結果は以下のとおり。

OMD133例、NOMD304例であった。
・再発時年齢中央値、DFI中央値、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体、HER2の発現は両群に有意差はなかった。
・サブタイプ別では全体として両群に有意差はなかったが、トリプルネガティブ(TN)についてOMD10.5%、NOMD20.4%と、OMDのほうが少なかった。
・転移部位について、肝転移、肺転移では両群に差はなかったが、骨転移、遠隔リンパ節転移はNOMDよりOMDで少なかった(どちらもp0.01)。
・再発後の初回全身療法はNOMDで化学療法が有意に多く(p0.01)、OMDは内分泌療法が有意に多かった(p0.01)
OMD症例の14例(10.5%)に遠隔転移巣の根治切除術が実施されており、14例中13例が1臓器のみの転移であった(肺転移:9例、肝転移:3例、骨転移:1例、子宮・卵巣:1例)。
・追跡期間中央値は40ヵ月(範囲:0150)、遠隔再発後の全生存期間(OS)中央値は、OMD76ヵ月)がNOMD33ヵ月)よりも有意に予後が良好だった(p0.01)。
OMDにおけるサブタイプ別のOS中央値は、luminal92ヵ月、luminal/HER2126ヵ月と、HER259ヵ月、TN52ヵ月より予後良好な傾向が認められた。
OMDにおけるOSに関する単変量比例ハザードモデル解析によると、ER陽性(p0.02)、周術期の化学療法なし(p0.01)、遠隔転移巣の根治切除あり(p0.04)、1臓器のみの転移(p0.01)、DFI 2年以上(p0.01)、肝転移なし(p0.04)、サブタイプがluminalもしくはluminal/HER2p0.03)が有意な予後良好因子であった。再発時年齢が50歳未満も予後良好な傾向がみられた(p0.07)。
・多変量比例ハザードモデル解析によると、周術期の化学療法なし(p0.04)、遠隔転移巣の根治切除あり(p0.03)、1臓器のみの転移(p0.01)、DFI 2年以上(p0.01)、肝転移なし(p0.05)が有意な予後良好因子であった。
・予後良好因子が2個以下と3個以上で分類すると、遠隔転移後のOS中央値は3個以上が106ヵ月で、2個以下の34ヵ月に比べて有意に予後が良好であった(p0.01)。

 藤島氏は、「ABCのガイドラインに基づいてOMDNOMDに分類すると、OMDは有意に予後良好である。しかし、OMD患者の予後は臨床的因子によって異なるため、OMD患者の中でも臨床的因子を考慮した異なる治療戦略が必要ではないか」と述べた。

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