長時間作用型の避妊パッチに実現性、米研究

皮膚に貼るだけで長時間にわたり避妊効果が続く「パッチ型避妊薬」の研究で有望な成績が得られたと、米ジョージア工科大学教授のMark Prausnitz氏らが「Science Advances116日号に発表した。このパッチ型避妊薬は、表面の多数の微小な針(マイクロニードル)が皮膚に刺さると、針に含まれた避妊薬が吸収されるというもの。従来の長期避妊法である子宮内避妊器具(IUD)やインプラントは医療機関で装着する必要があるが、この簡便なパッチ型避妊薬はこれらの代替となる可能性があるという。

 パッチ型避妊薬は、皮膚に貼って1分ほど上から押さえると、黄体ホルモン作用を持つプロゲスチン(レボノゲストレル)を含んだ微小な針が皮膚に残り、ホルモンが吸収される。皮膚に残った針はその後、分解されて消失する。ただし、今回報告されたのは動物実験と少人数の女性を対象に実行可能性を検証した初期段階の研究結果に過ぎない。

 Prausnitz氏は「既にさまざまな長時間作用型の可逆的避妊法があるが、私たちは、医療機関で施術する必要がない簡便な避妊法の開発を目指した」と説明。その理由の一つとして、同氏は、医療機関を受診しにくい発展途上国の女性でも使いやすい避妊法の必要性を挙げているが、パッチ型避妊薬は米国など医療資源が豊かな国でも魅力的な選択肢になる可能性があるとしている。

 一方、この研究には関与していない米国セクシャルヘルス協会のメディカルアドバイザーであるSusan Wysocki氏も、Prausnitz氏の考えに同意し、「保険が適用される避妊法は限られており、IUDやインプラントを装着できる医療機関が近隣にない女性もいる」と指摘。「女性によってニーズはさまざまであり、避妊法の選択肢が広がるのは歓迎すべきだ」としている。

 このパッチの表面には、ホルモン製剤のレボノゲストレルが充填された多数のマイクロニードルがあり、その根元は特殊な発泡性の材質で作られている。約1分間、パッチを皮膚に押さえつけると、この発泡性の層から針の部分が切り離され、針だけが皮下に残る。そして、残った針からレボノゲストレルが徐々に放出されるという仕組みだ。

 ラットを用いた実験では、このマイクロニードルによってヒトのホルモン血中濃度は、避妊効果が得られるレベルで1カ月以上維持されることが示された。次に、10人の女性を対象にホルモン剤が充填されていないパッチでテストを行い、痛みやマイクロニードルの分離に要する時間を検証したところ、痛みが問題となることはなく、微小な針は皮下にしっかりと埋め込まれることが確認された。

 なお、パッチの使用後、皮膚に赤みが見られたが、1時間以内に消失したという。また、女性10人中9人は、毎日ピルを飲むよりも、月に1回貼るだけで済むパッチ型の避妊薬を使いたいと回答していた。ただし、このパッチ型避妊薬の避妊効果はまだ検証されていないことに注意が必要だ。Prausnitz氏は、次の段階では、36カ月とさらに長期にわたり避妊効果が得られるような製剤の開発を試みる予定だという。

 一方、Wysocki氏は「避妊法は女性がコントロールできるかどうかが重要な鍵となる。自分で選択できる長時間作用型の避妊薬は多くの女性にとって魅力的だ」として、今後、研究が前進することに期待を示している。

[2019117/HealthDayNews]

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