飲酒時の電動キックボードで重傷事故が多発、米研究

飲酒したら自動車を運転しないのは当然だが、電動キックボードにも乗らないほうがよいようだ。電動キックボードを運転中に発生した脳出血や顔面骨折などの重傷例のうち、多くは飲酒や薬物使用が原因であったことが、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)臨床外科准教授のLeslie Kobayashi氏らの研究で明らかになった。手軽に楽しめることで人気の電動キックボードだが、「電動式のモーターを備えた乗り物であることを忘れてはならない」と同氏は注意を呼び掛けている。研究の詳細は「Trauma Surgery and Acute Care Open829日オンライン版に掲載された。

 Kobayashi氏らによれば、電動キックボードは昔からあるが、米国では2017年に複数の企業がシェアリングサービスを開始したことがきっかけで、環境にも優しい移動手段として人気に火がついた。サービス開始から1年も経たないうちに、米国成人のほぼ4%が運転したと回答しているという。

 Kobayashi氏らは今回、20179月から201810月の間に、米国3カ所の外傷センターに搬送された103人の電動キックボード運転中の重傷例について調べた。負傷者の65%は男性で、平均年齢は37.1歳、多くが旅行者であった。

 米国では現在、65を超える都市で電動キックボードを利用できるが、法規制は運転する場所で異なる。例えば、カリフォルニア州では、18歳以上であればヘルメット着用の義務はなく、制限速度は時速約56キロとされている。しかし、今回の研究では、負傷者の98%はヘルメットを着用していなかったことが明らかになった。

 Kobayashi氏は「電動キックボードは構造上、自転車や他の電動スクーターよりも危険性が高い可能性がある」と指摘。「通常、キックボードの足場は幅が狭く、ハンドルの高さは腰の位置にある。そのため、少しでも盛り上がった道路上を通ると、身体がハンドルを超えて前に飛び出してしまうこともある」とし、ヘルメット着用の重要性を強調している。

 また、負傷者の79%がアルコール検査を受け、うち48%は血中アルコール濃度が酒気帯び運転の基準値を超えていた。さらに、60%が薬物検査を受け、うち52%は大麻やメタンフェタミン、アンフェタミンなどの薬物を使用していたことも分かった。なお、負傷者の3人に1人は手術を要し、6人は長期的な介護やリハビリテーションを必要とした。追跡期間中に死亡例は確認されなかった。

 Kobayashi氏らは、電動スクーターのセグウェイに関する事故は、20年間で135件の報告にとどまることを指摘。電動キックボードを安全に運転するためには、「路上に出る前に、安全な場所で十分に練習し、飲酒後の使用は避けるべきだ」と、同氏は助言している。

 専門家の一人で、米ニューヨーク・プレスビテリアン/ワイルコーネル医療センターの救急医であるBrenna Farmer氏は「電動キックボードに乗るときは、ヘルメットだけでなく、手首やひじにプロテクターを着用すべきだ」と強く勧めている。一方、米ノーザン・ウェストチェスター病院のJames Dwyer氏は、負傷者に薬物やアルコールの使用者が多かったことに驚いたとし、「アルコールや薬物を使用すると反射神経が鈍ったり、協調運動が困難になったりする。バランスが大事なキックボードでは、これらの点が特に問題になるのではないか」との見方を示している。

[2019829/HealthDayNews]

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