1日1個の卵で心疾患リスクは上昇しない

11個の卵は健康に良いのか悪いのか――。長年議論されてきたこの問題に終止符が打たれるかもしれない。卵を11個食べても心臓に悪影響はないことが、マクマスター大学(カナダ)公衆衛生研究所(PHRI)の研究チームが実施した大規模研究で示された。この論文の筆頭著者であるMahshid Dehghan氏は「ほとんどの人において、たとえ心血管疾患や糖尿病の既往歴があっても、11個程度の卵の摂取で心血管疾患リスクや死亡リスクが増大することはない」と述べている。詳細は「American Journal of Clinical Nutrition121日オンライン版に掲載された。

 この研究は、PHRIが実施した3件の大規模国際研究のデータを解析したもの。解析対象者は、6大陸50カ国の総計177,000人以上に及んだ。

 その結果、卵の摂取量と死亡リスクや心血管疾患リスクとの間に有意な関連は認められなかった。また、卵の摂取量と血液中の脂質やその構成成分、あるいはその他のリスク因子との関連も認められなかった。これらの結果を受けてDehghan氏は「対象者の大半で卵の摂取量が1日に1個以下だったことを考えると、この程度の摂取量は安全だと言えるだろう」とし、「これらはゆるぎない結果であり、健康な人にも血管疾患のある人にも当てはまる」と話している。

 卵は必須栄養素を安価に摂取できる食品だが、一部の栄養ガイドラインは、卵により心疾患リスクが増大し得るとして、摂取量を週3個未満に抑えるよう助言している。しかし、卵と健康に関するこれまでの研究では、統一見解は得られていない。その理由について、研究チームの一人であるPHRISalim Yusuf氏は、「従来の研究は、ほとんどが相対的に小規模ないし中規模のものであった上に、対象者の国籍も限られていたからだ」と説明する。それに対し、今回の研究は、50カ国のさまざまな所得水準の人々を対象にしているため、得られた結果も多くの人に当てはまるのだという。

 なお、今回の研究は、さまざまな州政府保健機関や心の健康に関係する非営利団体の支援を受けたが、卵業界からの資金援助は受けていないという。

 今回の研究結果の報告を受けて、米サンドラ・アトラス・バス心臓病院のGuy Mintz氏は、「非常に大規模な研究から、卵を11個食べても心血管に影響はないことが明らかになった」と述べる。同氏は、卵は優れた栄養源であるとし、今回の研究において、既に心疾患のある人や服薬中の人にも有害な影響は認められなかった点を強調している。

 一方、米コーエン小児医療センター小児内分泌学部門の管理栄養士であるAudrey Koltun氏は、「これまでは、卵の栄養価について患者から質問を受けても答えるのが難しかった」と振り返る。そして、「確かに卵のコレステロール値は高いが、その一方で、必須ビタミンやミネラル、非常に良質のタンパク質などが豊富に含まれている。その上、安価であり、砂糖や着色料、保存料、人工香料も加えられていない」と卵の長所を挙げ、「今回の研究により、卵が心血管に悪影響を及ぼさないことが科学的に示された。今後は、卵に関する質問にきちんと答えることができる」と話している。

[202023/HealthDayNews]



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