1日10分の運動でも認知機能の維持につながる可能性

1日わずか10分の運動で認知機能を良好に維持できる可能性が、フラミンガム研究から報告された。米ボストン大学のNicole Spartano氏らが発表した研究で、詳細は「Alzheimer’s & DementiaTranslational Research & Clinical Interventions10月号に報告された。

 フラミンガム研究は、米マサチューセッツ州で1948年から行われている大規模疫学研究。当初からの参加者に加えその子孫も対象とし、健康状態や生活習慣について現在も追跡が続けられている。Spartano氏らは同研究の参加者2,770人を対象に、中年(平均年齢48.7±8.6歳)および高齢(同71.3±7.6歳)のグループ別に身体活動量や強度と認知機能の関係を検討した。

 その結果、いずれのグループも1日約1020分の中等度~高強度の身体活動を行っている人で、良好な認知機能との関連が認められた。また、中年グループでは、わずか10分の中等度~高強度の身体活動を行っている人でも言語記憶が良好だった。高齢グループでは、身体活動の強度ではなく、総活動量が認知機能の高さとより強く関係していた。

 身体活動と認知機能の関連を調査した先行研究と今回の研究が異なる点として、身体活動を正確性に欠ける自己申告で評価するのではなく、加速度計を用いて正確さを期した点が挙げられる。しかし観察研究であるため、身体活動と認知機能の因果関係の解明に踏み込んだ検討はできていない。ただしSpartano氏は、「今回の研究結果は運動によってアルツハイマー病などの認知症を抑制できるかどうかを示すものではないが、身体活動が早期の認知機能低下の予防に役立つことを示唆するものだ」と述べている。

 もう1つ重要なポイントとして、同氏は「今回の知見は、米国保健福祉省(HHS)の運動に関するガイドラインの推奨を満たすのが難しい、あるいは不可能と思われる高齢者にとって、特に重要だ」と指摘している。ちなみに同ガイドラインでは、1週間に150分以上の中等度の有酸素運動を推奨している。

 この点に関しては今回の研究には関与していない研究者からも前向きに評価するコメントが寄せられている。例えば米タフツ医療センターのRichard Dupee氏は「1週間に150分の運動を行うことができない高齢者を励ます知見だ」としている。また本論文の査読を担当した米スポールディング・リハビリテーション病院のRoss Zafonte氏によると、「認知機能を保つには、人付き合いや社会参加を続けることも重要」という。

 身体活動と認知機能の関連を巡る今後の研究の方向性としてSpartano氏は、「認知機能を維持・向上させるのに各年齢層でどの程度の運動量が適切なのかなどがまだ明らかでない」と指摘。また、フラミンガム研究の参加者はおもに白人の米国人であるため、ほかの人種や民族でも同様の結果が得られるかどうか検討する必要があると述べている。

[2019116/HealthDayNews]

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