食事療法による糖尿病CVDリスク低下に新たなエビデンス、AHAニュース

食生活と心血管疾患(CVD)リスクとの関連はよく知られているが、食事療法が糖尿病患者の心血管アウトカムを改善することを示したエビデンスは意外に少ない。そんな中、地中海食やDASH食、米国糖尿病学会(ADA)が推奨する食事療法が、閉経後2型糖尿病女性のCVDのリスクを有意に低下させるという、米カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)のAndrew Odegaard 氏らの報告が「Journal of the American Heart Association919日オンライン版に掲載された。

 Odegaard 氏らは、閉経後女性における疾患予防策を探る大規模長期研究「女性の健康イニシアチブ(Women’s Health Initiative)」のデータを用いて、食生活とCVDリスクの関係を検討。糖尿病を成人後に発症し、研究登録時にはCVDの既往がなかった女性5,809人(平均年齢64.0±6.9歳、BMI31.9±6.8)を解析対象とした。被験者から得た食事に関する詳細な質問票に基づき、4種類の食事評価スコアを用いて食生活の質を評価した。

 4種類の食事評価スコアのうち3種類は、地中海食、高血圧予防のためのDASH食、ADAの推奨食で、いずれも果物や野菜、種実類、豆類、全粒穀物、多少の乳製品の摂取を促し、添加糖分や赤身肉、加工肉の摂取を減らすよう推奨している。もう1種類はパレオ食(旧石器時代食)で、肉や果物、ナッツ類、野菜を重視し、穀物や乳製品、添加糖分、アルコールの摂取を控えるというもの。

 平均12.4±5.3年の追跡期間中に、10.9%が冠動脈性心疾患、6.4%が脳卒中を発症した。4種類の食事評価スコアのそれぞれを5群に分け、スコアが最小の群と最高の群でCVDリスクを比較すると、スコアが高い群ではDASH食で31%、ADA推奨食で29%、地中海食で23%、有意なリスク低下が認められた。パレオ食のみ有意差が見られなかった。

 Odegaard 氏は、これまでの食事に関する推奨事項の多くは非糖尿病の一般の人を対象とする大規模調査から得られたものであり、2型糖尿病患者を対象とした食生活とCVDに関する研究は乏しいことを指摘し、今回の研究で得られた知見について「2型糖尿病患者のCVDリスクを低下するためのアプローチとして、食事に関する現行の推奨事項を支持するものだ」と述べている。

 また米スタンフォード大学の臨床研究コーディネーターでナースプラクティショナーのCindy Lamendola氏は、この研究には関与していないが、「本研究によって2型糖尿病患者に対する食事療法の有用なエビデンスが追加された」とのコメントを寄せている。同氏は、「さまざまなダイエットの流行に翻弄されている一般の人々にとって、この研究で示された知見は安心を与えるだろう。また閉経後2型糖尿病患者への重要なメッセージにもなるだろう」と述べている。

[2019
919/American Heart Association]