新生児の腸内細菌叢に分娩方法が影響か

新生児の腸内細菌叢に分娩方法が影響することが新たな研究で示唆された。

研究を実施した英ウェルカム・トラスト・サンガー研究所のTrevor Lawley氏らによると、帝王切開で生まれた子どもの腸内細菌は、その子どもが生まれた病院内で見られる細菌を反映したものであったのに対し、経腟分娩で生まれた子どもの腸内細菌の組成は母親の腸内環境に類似していたという。詳細は「Nature918日号に掲載された。

 Lawley氏らは今回、英国の病院で経腟分娩または帝王切開で生まれたおよそ600人の健康な新生児および175人の母親から便を採取し、そこから得た1,679サンプルの腸内細菌について、DNAシークエンシングとゲノム解析を用いて調べた。新生児の糞便試料は、生後4721日目に採取したほか、数例では1歳まで採取した。

 その結果、経腟分娩で生まれた子どもの腸内細菌叢は、帝王切開で生まれた子どもの腸内細菌叢に比べ、母親の腸内細菌叢に由来する常在細菌が豊富であることが分かった。

Lawley氏は「新生児の腸内細菌叢の遺伝情報を解析した研究としては最大規模である今回の研究において、経腟分娩中に母親から子どもに細菌が受け継がれるなど、分娩方法が新生児の腸内細菌に大きな影響を与えることが分かった」と結果についてまとめている。

 ただし、Lawley氏らは「分娩方法が違っていても、1歳までには全ての子どもが類似した腸内細菌叢を持つようになる」と強調。また、出生時に見られた腸内細菌叢の違いが、長期的には健康にどのような影響を与えるかは不明だという。

 研究グループの一人で英バーミンガム大学のPeter Brocklehurst氏は「生後数週間は乳児の免疫系の発達に重要な時期だが、詳しいことはほとんど分かっていない」とした上で、「出生時の腸内細菌叢の違いがその後の健康問題をもたらすのかどうかを明らかにするため、この研究を長期的に追跡していく必要がある。

それによって、出生から間もない時期における腸内細菌叢の役割が解明され、健康的な腸内細菌叢の形成を促す治療法を開発できる可能性がある」と話している。

 また、今回の研究の上席著者である英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのNigel Field氏は「乳児は成長する過程で食べたり飲んだりしたものや、周囲のさまざまな物から細菌を取り込むため、腸内細菌叢も徐々に似通ったものになってくる。

離乳後には帝王切開で生まれた子どもと経腟分娩で生まれた子どもの腸内細菌叢の違いはほとんど見られなくなる」と説明している。

 一方、英国王立産婦人科医協会(RCOG)バイスプレジデントのAlison Wright 氏は、「帝王切開はほとんどの場合、命を救うための手術として実施されており、それが母子にとって最善の方法であると考えられる。

新生児における腸内細菌叢の役割や腸内細菌叢に影響を与える要因には不確かなことが多く、今回の研究結果を受け、必要な帝王切開までをも回避するべきではない」と話している。

[2019918/HealthDayNews]



経膣分娩においての新生児と母体の接触が、母体の腸内細菌を新生児に受け渡す大切な意味を持つという事実には驚かされます。

このことを考えると、帝王切開術における出産というものを省みることも重要な事なのかもしれません。(しかし、経膣分娩では新生児の生命の危機がある場合などの帝王切開術などはやもうえないことなのかもしれませんが…)