巨大恐竜はどうやって体温を調節していたのか

長い首を持つ竜脚類などの巨大恐竜は、体温の過剰な上昇や脳の損傷を防ぐために特殊な冷却システムを発達させていたとする研究結果が、米オハイオ大学解剖学のRuger Porter氏らにより報告された。研究の詳細は、「The Anatomical Record1016日オンライン版に掲載された。

 研究論文の共著者で、同大学解剖学教授のLawrence Witmer氏は、「小型恐竜であれば、日陰に逃げ込んで体を冷やすことができただろう。しかし、大型恐竜には体温が上がり過ぎるのを防ぐ手立てはなかったはずだ」とし、「大型恐竜には、脳の温度を調節する特別なメカニズムが備わっていたに違いない。しかし、それが何なのかは分かっていなかった」と研究の背景について述べている。

 その答えは日常生活から得られた。エアコンの仕組みである。エアコンは、蒸発するときに周囲から熱を奪っていく液体の性質を利用して空気を冷やしている。人間が夏に汗を蒸発させることで熱を放出し体温調節を行うのと同じである。

 この理論が正しいか否かを調べるにあたり着目したのは、恐竜の子孫とされる鳥類と爬虫類である。Porter氏らは、鳥類と爬虫類の死体を取り寄せて、CTを用いて血液の流れを調べた。その結果、これらの動物では、鼻、口、眼の水分を蒸発させることで脳に供給される血液の温度を下げていることが分かった。同氏らはこの結果をもとに、さまざまな恐竜の頭蓋骨の化石を3Dでイメージ化して、恐竜の頭部に熱交換を行う部分が複数あったことを明らかにした。

 Porter氏によると、血管は、その痕跡が骨に残っているため有用であるという。「現代の鳥類や爬虫類の骨にみられる管や溝は、恐竜の化石に関連づけることができるものであり、骨に残るこうした証拠を用いれば、絶滅した恐竜の血流パターンを再構築でき、恐竜の温熱生理学や熱への対処法を知ることが可能になる」という。

 今回の研究に資金を提供した米国立科学財団のSharon Swartz氏は、「研究結果は、恐竜が、特殊な環境条件が強いる物理的な制約により進化したことを示すものだ。技術革新と生物学の専門知識を組み合わせることで、研究チームは化石の記録を直接読み解くことに成功し、それにより、恐竜の骨格の形状や機能がどのように進化したのかについて解明するための新たな糸口がもたらされた」と評価している。

[20191016/HealthDayNews]