テストステロン補充で男性の血栓リスクが2倍に

テストステロン補充療法により血栓リスクが高まる可能性を示した研究結果が、「JAMA Internal Medicine1111日オンライン版に発表された。過去6カ月以内にテストステロン補充療法を受けた男性では、同療法を受けていない男性と比べて深部静脈血栓症(DVT)のリスクが2倍であることが示されたほか、DVTリスクの上昇は性腺機能低下症の有無にかかわらず認められ、高齢男性よりも中年男性の方がリスクの上昇が顕著であったという。

 米国では21世紀の初めにテストステロン値が低い男性に対するテストステロン補充療法が急増し、その処方件数は2001年から2013年までに300%以上も増加した。しかし、2014年に米食品医薬品局(FDA)が、同療法による心筋梗塞や脳卒中のリスク上昇を警告したことを機に、このブームは終息した。

 それでも、2016年の時点でテストステロン補充療法を受けている30歳以上の男性は100万人を超えていた。また、性腺機能低下症の症状がない男性にも依然として同療法が処方されていることを示唆するエビデンスも示されている。

 今回、米ミネソタ大学のRob Walker氏らは、約4万人の男性の20112017年の保険請求データを用いて、テストステロン補充療法とDVTの関連について検討した。

 Walker氏らがデータを解析した結果、性腺機能低下症はないがテストステロン補充療法を受けていた男性では、6カ月以内にDVTを発症するリスクが2.3倍に上昇していた。一方、性腺機能低下症と診断されている男性では、同リスクは2倍に上昇していた。

 また、統計学的な有意差は認められなかったものの、特に中年男性でDVTリスクが高いことが示唆された。「性腺機能低下症のない男性のうち65歳以上の男性では約1.5倍のリスク上昇であったが、65歳未満の男性では約3倍のリスク上昇が認められた」とWalker氏は説明している。

 この研究結果を踏まえWalker氏は、「体重の増加や性機能の低下など、加齢に伴う正常な変化や症状の改善を期待してテストステロン補充療法を受けようとしている男性は、慎重に検討すべきだ。こうした男性は、テストステロン補充療法よりも、医師による処方なしで健康状態の向上を見込める行動変容や生活習慣の改善を試した方が良いだろう」と話す。

 今回の報告について、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のUmesh Gidwani氏は、「テストステロンには赤血球数を増加させる作用があるため、血液の濃度が高まり、血流が遅くなる。また、血栓の形成に関わる血小板を活性化させることも分かっている」として、テストステロンには血液凝固能を亢進させる作用がある点を指摘する。その上で、「性腺機能低下症がない男性に対するテストステロン製剤の使用は控えた方が無難である可能性を示した研究結果だといえそうだ」との見方を示している。

 Walker氏もこれに同意し、「性腺機能低下症の治療でテストステロン補充療法を受ける必要がある男性では、血栓が見られないか注意深く経過観察を行うべきだ」と付言している。

[20191112/HealthDayNews]