乳がん治療、ガイドラインに従わないときの生存率

乳がん治療において、ガイドラインで推奨される治療を受け入れない乳がん患者もいる。もしガイドラインに従わない場合、生存率にどの程度影響するのだろうか。今回、シンガポールゲノム研究所のPeh Joo Ho氏らは、大規模な乳がん患者集団において推奨治療の非順守の予測因子および生存率への影響を検討した。その結果、ガイドラインで推奨された手術や放射線療法を順守しない場合、全生存が2倍以上悪化し、ガイドラインによる適切な治療に従うことの重要性が強調された。また、高齢患者でも同様の結果が得られ、推奨治療により恩恵を受ける可能性が示唆された。Scientific Reports2020128日号に掲載。

 本研究の対象は、200515年にシンガポールで乳がんと診断された患者のうち、転移のない乳がん患者19,241例で、3,158例(16%)が診断後10年以内に死亡した(生存期間中央値:5.8年)。シンガポールの公立病院では、一般にNCCNガイドラインとザンクトガレン2005コンセンサスに従っている。ロジスティック回帰を用いた治療非順守と因子との関連、パラメトリック生存モデルフレームワークを用いた治療非順守が全生存に及ぼす影響を検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・治療非順守率が最も高かった治療は化学療法(18%)であった。
・化学療法、放射線療法、内分泌療法が順守されない予測因子は、年齢、腫瘍の大きさ、リンパ節転移、サブタイプ(放射線療法を除く)であった。
・手術拒否に関連する因子は、年齢とサブタイプであった。
・治療非順守は、手術(ハザード比[HR]2.2695%信頼区間[CI]1.802.83)、化学療法(HR1.2595%CI1.111.41)、放射線療法(HR2.2895%CI1.942.69)、内分泌療法(HR1.7095%CI1.412.04)において全生存が悪化した。
・ガイドラインが通常適用されない高齢患者でも同様の結果が得られた。