バーンアウトで不整脈リスクが上昇か

やらなければならないことは山ほどあるのに時間が全然足りず、疲労困憊という人は、バーンアウト(燃え尽き症候群)に注意した方が良いかもしれない。バーンアウトの状態にある人は心房細動のリスクが高いとする大規模研究の結果が、米南カリフォルニア大学のParveen Garg氏らにより報告された。Garg氏は「一般的にバーンアウトと呼ばれる活力の消耗は、炎症レベルの上昇や体の生理的なストレス反応の増強に関連している。そのような状態が慢性的に続くと、心臓の組織に深刻な影響を及ぼし、最終的に不整脈の発症につながる可能性がある」と説明している。この研究結果は「European Journal of Preventive Cardiology113日オンライン版に発表された。

 心房細動は最もよく見られる不整脈であり、心房細動があると血栓が形成されやすくなるため、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが高まることが分かっている。心房細動のリスク因子としては、精神的な苦痛との関連も示唆されているが、過去の研究では結論の一致を見ていない。また、バーンアウトと心房細動との関係を評価した研究は存在しない。

 そこで、Garg氏らは、研究開始時の19901992年に心房細動がなかった11,445人の男女を対象に、バーンアウト、怒り、抗うつ薬の使用、社会的サポートについて調査し、中央値で23.4年にわたって追跡。心房細動の発症について調べた。なお、Garg氏によると、バーンアウトは通常、職場や家庭で持続的な強いストレスにさらされることが原因で起こるもので、気分の落ち込みや罪悪感、自尊心の低下などを特徴とするうつ病とは異なるという。

 その結果、因果関係が証明されたわけではないが、バーンアウトのレベルが最も高い群では、バーンアウトの症状がほとんどないか、まったくない群と比べ、追跡期間中に心房細動を発症するリスクが20%高いことが示された。一方、怒りの感情や抗うつ薬の使用、社会的サポートの不足といったバーンアウト以外の心理的な問題と心房細動との間に関連は認められなかった。

 Garg氏は「怒りや社会的サポートに関しては過去の研究結果と一致している。だが、抗うつ薬の使用については、心房細動リスクの上昇と関連していたとする2件の研究結果が報告されている」と指摘し、今後、さらなる研究で検証する必要があるとしている。しかし、バーンアウトが心臓の健康状態に与える影響については「今回の研究によって、バーンアウトを放っておくと有害となり得ることが明確になった」と話している。

 この研究には関与していない2人の心疾患の専門医たちも、Garg氏と同様の見解を示している。その一人で米レノックス・ヒル病院の循環器医Satjit Bhusri氏は、「心の状態と心臓の状態は強く関連している。精神的なストレス下にあるとき、心臓は正常なリズムで反応することもあれば異常なリズム、つまり心房細動で反応することもある」と説明する。

 一方、米スタテン・アイランド大学病院のMarcin Kowalski氏は、「医師と患者はストレスが不整脈を引き起こす要因となり得ることをもっと自覚する必要がある」とし、「ストレスを抱えている患者には、バーンアウトに陥らないよう助言すべきだ」と強調。さらに、「今後の研究でストレスの軽減による不整脈リスクの低下が示されることに期待している」と話している。

[2020114/HealthDayNews]