血清BDNF濃度、短時間睡眠を伴う不眠と関連か

神経系から分泌されるタンパク質である脳由来神経栄養因子(BDNF) は、神経細胞の発生・成長・維持・修復に働くが、ヒトの睡眠の調節にも関与することが示されている。今回、京都大学の降籏 隆二氏らは、血清BDNF濃度と睡眠障害との関連について短時間睡眠を伴う不眠(insomnia with short sleep duration:ISS)に着目し、横断研究を実施した。その結果、ISSが血清BDNF濃度の低下と関連している可能性が示された。Sleep Medicine20204月号に掲載。

 本研究の対象は、東京の総合病院1施設に勤務する看護師から登録された女性577人(35.45±10.90歳)。20151112月に、血清BDNF濃度を測定し、自記式質問票により不眠(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒)の有無、睡眠時間を調査した。ISSは、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒のいずれか1つがあり、睡眠時間が6時間未満のものとした。

 主な結果は以下のとおり。

577人のうち、21.3%が不眠と回答し、41.4%が短時間睡眠(6時間未満)であり、最終的にISSとされたのは12.5%だった。
ISS群は、非ISS群と比較して血清BDNF濃度が有意に低かった。
・短時間睡眠を対象とした解析では、不眠のある群では、不眠のない群と比較して有意に血清BDNF濃度が低下していたが、正常睡眠時間(6時間以上)では不眠の有無による血清BDNF濃度の差は認められなかった。

 著者らは「本研究は、ISSでは血清BDNF濃度が低下することを示した初めての研究であり、これらの結果が睡眠の悪化とBDNFの病態生理学的な関連性を解明するかもしれない」としている。