60万人以上の未成年者の親が「オピオイド依存」、米研究

米国では、18歳未満の子どもを持つ親のうち60万人以上がオピオイド鎮痛薬による薬物依存を抱えているという実態が、米シンクタンク、アーバン・インスティテュートのLisa Clemans-Cope氏らの研究で明らかになった。これは未成年者の親のほぼ1%に相当し、そのほとんどは治療を受けていないことも分かった。さらに、約400万人の未成年者の親はアルコール依存などの物質使用障害を抱えており、精神疾患を併存している人も多かったという。研究の詳細は「Annals of Family Medicine5/6月号に掲載された。

 この研究は、20152017年に実施された「薬物使用と健康に関する全米調査(U.S. National Survey of Drug Use and HealthNSDUH)」のデータを分析したもの。その結果、調査期間中に、18歳未満の子どもと暮らす親のうち約44,500人は薬物依存を抱えていることが分かった。このうち必要な治療を受けていたのは3人に1人に満たなかった。

 また、オピオイド依存がある親の約20%は、「過去1年以内に自殺念慮または自殺行動を起こした経験がある」と回答し、4人に1人は「大うつ病エピソードやその他の重度の精神疾患を経験した」と報告していた。

 これらの結果から、米国では、未成年者と暮らす親のうち約420万人がオピオイド以外の物質使用障害を、約623,000人(未成年者の親の0.9%)がオピオイド依存を抱えており、これらの多くは重複していると推定されたという。

 Clemans-Cope氏は「子どもを持つ親にとって、オピオイド危機は精神衛生上の危機でもある」とし、「親のオピオイド依存に自殺リスクが高い行動が伴うと、家庭には危機的な状況がもたらされる」と述べている。一方、この研究には関与していない米依存症センター(Center on Addiction)のLinda Richter氏は「親が依存症の家庭で育つ子どもは、物質使用や薬物依存、精神面や行動上の問題リスクが高いことが知られている」と指摘している。

 また、Clemans-Cope氏は「われわれ医療者は、親が抱える依存症や精神面の健康問題を突き止め、適切な治療を行い、それぞれの家庭が必要とする社会的支援を提供する必要がある」と付け加えている。

 しかし、今回の調査では、薬物依存の治療を受ける人はごく少数であることも明らかになった。その理由として、Clemans-Cope氏は「多くの人は自分が抱えている問題が治療できるもので、治療効果が高いことを知らないためではないか」と説明する。また、治療を受けることに抵抗感が強い人が多いことや、プライマリケア医によるスクリーニングが不十分であることに加え、医療保険や治療アクセスの問題も事態を悪化させる要因だとしている。

 Richter氏は、国内のオピオイド依存者は200万人に上るとして、「これほど多くの親が、オピオイド依存を抱えながら子育てをしていることは驚くに当たらない。しかし、多くの子どもがそのような家庭環境で育っている現状は受け入れがたい」と述べている。また、同氏は、特にオピオイド依存は治療薬もあるため、保険でカバーし、経験を積んだ医療者による治療を受けられるようにしていく必要があるとしている。

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