不眠症や睡眠薬使用と交通事故~コホート研究

不眠症や睡眠薬使用に関連する交通事故のリスクおよび、これらのリスク因子が性別や年齢によってどのような影響を受けるか、カナダ・ラヴァル大学のCharles M. Morin氏らが調査と検討を行った。Sleep誌オンライン版2020229日号の報告。

 対象は、不眠症の有無を問わない3,413人の成人(平均年齢:49.0歳、女性の割合:61.5%)。対象者の睡眠パターン、睡眠薬の使用、交通事故について、5年間連続して毎年調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・交通事故の重大なリスクは、不眠症(HR1.2095CI1.001.45)および日中の倦怠感(HR1.2195CI1.011.47)で認められた。
・不眠症またはその結果として起こる昼間の問題は、報告された交通事故の40%に対し、何らかの影響を及ぼしていることが示唆された。
・睡眠薬の慢性的な使用(HR1.5095CI1.171.91)および定期的な使用(HR1.5895CI1.162.14)は、高い事故リスクと関連していた。同様に、不眠症および日中の過度な眠気を報告した若い女性において関連が認められた。

 著者らは「不眠症や睡眠薬の使用は、それらによって残存する昼間の倦怠感や集中力の低下などにより、交通事故の重大リスクと関連している。不眠症や日中の過度な眠気を報告する若い女性では、とくに注意が必要であることが示唆された」としている。



オピオイド中止によって増大するリスクとは?/BMJ

オピオイド治療を受けている退役軍人保健局の患者では、処方の中止により過剰摂取または自殺による死亡リスクが増大し、治療期間が長い患者ほど死亡リスクが高いことが、米国退役軍人局精神保健自殺予防部のElizabeth M. Oliva氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ202034日号に掲載された。米国では、オピオイドの過剰摂取やオピオイド使用障害による死亡の増加に伴い、オピオイド処方関連リスクの軽減戦略が求められており、リスクがベネフィットを上回った時点での治療中止が推奨されている。その一方で、長期の治療を受けている患者では、治療中止後の有害事象(過剰摂取による死亡、自殺念慮、自傷行為、薬物関連イベントによる入院や救急診療部受診)の増加が報告されている。

140万例の観察研究

 研究グループは、オピオイド治療の中止またはオピオイド治療の期間と、過剰摂取または自殺による死亡の関連を評価する目的で、観察研究を行った(米国退役軍人局精神保健自殺予防部の助成による)。

 対象は、201314年の会計年度(2012101日~2014930日)に、米国の退役軍人保健局の施設を受診し、オピオイド鎮痛薬の外来処方を受けた退役軍人の患者1394,102例であった。過剰摂取の薬物には、オピオイドのほか、鎮静薬、アセトアミノフェン、その他の薬物中毒が含まれた。オピオイド治療を中止した患者と、継続した患者を比較した。

 多変量Cox非比例ハザード回帰モデルを用いて、過剰摂取または自殺による死亡(主要アウトカム)を評価し、主な共変量としての治療期間別(30日以下、3190日、91400日、400日以上)のオピオイド中止の交互作用を検討した。

開始後と中止後最低3ヵ月間は、リスク低減の取り組み強化

 全体の平均年齢は約60歳、女性が約8%で、ほぼ半数が既婚者、61%が都市部居住者であった。また、半数強が3つ以上の医療診断を受けており、アルコール使用障害の診断は約10%、ニコチン使用障害の診断は約22%の患者が受けていた。最も頻度の高い精神疾患は、うつ状態と心的外傷後ストレス障害だった。

 799,668例(57.4%)がオピオイド治療を中止し、594,434例(42.6%)は治療を継続した。2,887例が、過剰摂取(1,851例)または自殺(1,249例)により死亡した。オピオイド治療の期間が30日以下の患者は32.0%、3190日は8.7%、91400日は22.7%、400日以上は36.6%であった。

 オピオイド治療中止と治療期間には交互作用が認められ(p0.001)、治療期間が長い患者ほど治療中止後の過剰摂取または自殺による死亡リスクが高いことが示唆された。治療を中止した患者における過剰摂取または自殺による死亡リスクのハザード比(他のすべての共変量を参照値として比較)は、治療期間30日以下が1.673190日が2.8091400日が3.95400日以上は6.77であった。

 過剰摂取または自殺による死亡リスク増加の他の独立の関連因子として、長時間作用型/短時間作用型オピオイドの処方(トラマドールとの比較)、医療診断数、精神疾患の診断、薬物使用障害(ニコチンを除く)などが挙げられた。一方、高齢、女性、既婚は低リスクの独立の関連因子だった。

 また、生命表の記述的データでは、過剰摂取または自殺による死亡はオピオイドの開始と中止の双方の直後に増加し、発生率が低下するまで約312ヵ月を要すると示唆された。

 著者は、「オピオイド治療の開始後および中止後は、それぞれ少なくとも3ヵ月間は、リスク軽減の取り組み(患者モニタリング、自殺および過剰摂取の防止)を強化する必要がある」と指摘している。

慢性膵炎に伴う疼痛に対して内視鏡的治療か早期の外科的治療か?

「慢性膵炎に伴う腹痛」に対する治療に関しては、最初に内科的保存治療(脂肪制限食+禁酒+NSAIDs、制酸剤+高用量膵酵素)が施行され、その無効例に対して砕石目的のESWLと主に狭窄部の拡張を目的とした内視鏡的治療(ステント装着および結石除去)が優先され、内視鏡的治療の無効例や再発例に対して外科的治療を選択することが一般的とされていたが、最近報告された観察研究やRCTの結果から外科的治療の有用性が見直されており、今回実施されたオランダの多施設共同RCTの結果、内視鏡的治療を先行して行う方法に比べて早期に実施する外科的治療のほうが、優れた疼痛緩和効果を示したことが再確認されている(Issa Y, et al. JAMA. 2020;323:237-247.)。

 日本の『慢性膵炎診療ガイドライン2015』において「ESWLを含む内視鏡的治療は、慢性膵炎の腹痛に対して短期的にはきわめて有効であり長期的にも有効性を示すため、行うことを提案する」と、早期の内視鏡的治療を施行する有用性が記述されている。一方で「膵管の強い狭窄や屈曲蛇行などにより内視鏡的治療が容易ではないと予測される症例では起こりうる偶発症や治療期間も考慮に入れたうえで、当初より外科的治療を含めて治療方針を慎重に検討する必要がある」、さらに「慢性膵炎における膵管ステント治療の継続期間は1年前後をひとつの基準とし、無効例や腹痛が再燃する症例では外科的治療を考慮することを提案する」と、症例によっては早期の外科的治療を推奨している。以上、短期的な内視鏡的治療の有用性は明らかであるが、長期的な視野に立てば、症例によって、早期の外科的治療が考慮されるべきだと思われる。

 「本論文において内視鏡的治療群の多くで内視鏡的手技が難しいために膵管の拡張を得られなかった」という成績は重要である。わが国の診療現場においても、種々の内視鏡的治療成績は技術的な施設間や術者間の格差に大きく影響されることが明白であり、今後、内視鏡的手術などの一定以上の専門技術を要する手技の有用性を検討する場合に、「施設間・術者間の技術格差」因子を加味する方法を考慮しなければならない場合もあると思われた。




がん患者が過剰摂取しやすいサプリメントは?

多くのがん患者は、がん診断後に栄養補助食品を使い始める傾向にある。そのため、がんではない人と比べ、どのような栄養補助食品が、がんサバイバーの総栄養摂取量に寄与しているかを検証する必要がある。今回、米国・タフツ大学のMengxi Du氏らは「がんではない人と比較した結果、がんサバイバーへの栄養補助食品の普及率は高く、使用量も多い。しかし、食品からの栄養摂取量は少ない」ことを明らかにした。研究者らは、「がんサバイバーは食品からの栄養摂取が不十分である。栄養補助食品の短期~長期的使用による健康への影響について、とくに高用量の摂取では、がんサバイバー間でさらに評価する必要がある」としている。Journal of Nutrition誌オンライン版2020226日号掲載の報告。

 研究者らは、がんサバイバーの総栄養摂取量のうち栄養補助食品から摂取されている栄養素を調べ、がんではない人との総栄養摂取量を比較する目的で、200316年の米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した成人がんサバイバー2,772人と、がんではない31,310人を調査。栄養補助食品の普及率、用量および使用理由について評価した。

 主な結果は以下のとおり。
・がんサバイバーとがんではない人の栄養補助食品の普及率は70.4vs.51.2%と、がんサバイバーで高かった。同じく、マルチビタミン/ミネラルの普及率は48.9vs.36.6%で、ビタミン系11種類、ミネラル系8種類の使用の多さが報告された。
・全体的に、がんサバイバーは栄養補助食品からの栄養摂取量が有意に多く、大部分の栄養素は食品からは取れていなかった。
・がんサバイバーは、がんではない人と比較して食品からの栄養摂取量が少ないため、葉酸、ビタミンB6、ナイアシン、カルシウム、銅、リンの摂取量が不十分な人の割合が高かった(総栄養摂取量<平均必要量[EAREstimated Average Requirement]または栄養所要量[AIAdequate Intake])。
・その一方で、がんサバイバーはビタミンD、ビタミンB6、ナイアシン、カルシウム、マグネシウムおよび亜鉛を栄養補助食品から多く取っていることから、これらを過剰摂取(総栄養摂取量≧許容上限摂取量[ULtolerable upper intake level])している割合も高かった。
・栄養補助食品を摂取するほぼ半数(46.1%)は、管理栄養士・栄養士に相談せずに独自に摂取していた。

寝室の環境と不眠症との関係~RHINE-IIIの横断研究

交通騒音は睡眠障害リスクを高めるといわれているが、不眠症状に対する交通関連の大気汚染の影響については、あまり知られていない。スウェーデン・ウプサラ大学のEmma Janson氏らは、交通への近接状況および交通騒音と不眠症との関連について調査を行った。Journal of Clinical Sleep Medicine誌オンライン版202025日号の報告。

 対象は、Respiratory Health in Northern EuropeRHINE)研究に含まれる、194573年に北欧州の7つの医療センターで生まれた男女からランダムに選択された。寝室での交通騒音、寝室の窓からの交通近接状況、不眠症状についての情報を、自己報告により収集した。交通関連の大気汚染への曝露は、寝室の窓からの交通近接状況を代替として用いた。不眠症状は、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒について評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・調査対象者は、12,963例であった。
・交通騒音は、3つの不眠症状と正の相関が認められた。
 ●入眠障害 OR3.5495CI1.856.76
 ●中途覚醒 OR2.9595CI1.625.37
 ●早朝覚醒 OR3.2595CI1.975.37
・交通騒音を伴わない交通への近接は、入眠障害(OR1.6295CI1.451.82)との関連が認められた。

 著者らは「不眠症のリスク因子として、交通騒音の影響がさらに認められた。騒音がなくとも交通への近接状況は、入眠障害リスクの増加との関連が認められた。不眠症が、交通騒音や交通関連の大気汚染の両方と関連している可能性が示唆された」としている。

アルツハイマー病の認知機能やBPSDに対するスギの香りの影響

秋田大学の高橋 裕哉氏らは、嗅覚神経刺激によりアルツハイマー病(AD)患者の認知症状が改善するかについて、検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版202029日号の報告。

 嗅覚機能障害のないAD患者を抽出するため、スティック型嗅覚同定能力検査を実施した。次に、これらの患者を介入群(19例)と対照群(17例)にランダムに割り付けた。嗅覚神経刺激の効果を評価するため、介入群には、スギからのアロマ成分を添加した消毒エタノールを用い、対照群にはアロマ成分を添加しないエタノールを用いた。両群ともに、8週間の介入を行い、治療前後の認知機能および行動機能の評価を行った。評価には、Neuropsychiatric InventoryNPI)、Zarit介護負担尺度日本語版(J-ZBI)、アルツハイマー病評価尺度認知行動(ADAS-cog)を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・介入群は、対照群と比較し、4週目と8週目のNPIスコアおよびJ-ZBIの有意な改善が認められた。
ADAS-cogのスコアでは、有意な差は認められなかった。

 著者らは「スギの香りは、アルツハイマー病患者の周辺症状(BPSD)を改善し、介護負担を軽減する可能性がある。この介入は、その有効性に加え、手順がシンプルで侵襲性が低いため、価値のある非薬物療法となりうる可能性が示唆された」としている。

「適度な運動」の効果を高めるには「脳への衝撃」が必要?

ウォーキングやジョギングによって脳に物理的な軽い衝撃が繰り返されることで、脳の働きが改善する可能性が報告された。国立障害者リハビリテーションセンター病院の澤田泰宏氏らの研究によるもので、「iScience131日オンライン版に掲載された。

 適度な運動は、身体疾患はもちろんアルツハイマー病やうつ状態などの精神疾患の予防にも有効。ただし、運動がなぜ精神面に好影響を及ぼすのかはよく分かっていない。澤田氏らは、運動により生じる脳への適度な物理的衝撃が、運動効果の一部に関与しているとの仮説を立て、以下の実験を行った。

 まず、実験動物(マウス、ラット)を2群に分け、1群には1日に30分間、20m/分の速度で運動させ、もう1群は運動をさせない対照群とした。20m/分という負荷はラットの場合、適度な運動強度であることが先行研究で報告されている。

 これを7日間続け、最後の運動から3時間後に前頭前皮質(大脳の一部)に高用量のセロトニン(脳内の神経伝達物質の1つ)を投与して幻覚を引き起こし、幻覚によって生じる首を振る動作の回数を計測した。すると、運動をさせた群は運動をさせていなかった群に比べて、首振りの回数が有意に少なかった(P0.027)。

 この実験では運動をさせた群のマウスに加速度計をつけ、頭部にかかる衝撃を計測した。その結果、人間が時速7km程度の軽いジョギングをしているときに頭にかかる衝撃と同レベルの約1Gの力がかかっていることが分かった。

 そこで次に、運動させないマウスに麻酔をかけ、頭部へ上下方向に1Gの力を1秒間に2回、機械的に与えるという実験を行った。前記の実験と同様、1日に307日間続けた後セロトニンを投与したところ、対照群よりも首振り回数が有意に少なく(P0.035)、頭部へ物理的な衝撃をかけたことで運動をしたのと同じような効果が脳にもたらされたと考えられた。

 続いてマウスの脳を解剖したところ、運動をさせていたマウスでは、前頭前皮質の神経細胞でセロトニン2A受容体が、細胞の表面から細胞内へと移動(内在化)し、セロトニンに対する応答性が低下していることがわかった。また、頭部に1Gの力を与えたときのラットの脳の様子をMRIで確認すると、脳内の間質液が1 μm/秒で流動していた。そこでこの状態を、培養細胞を用いた実験で再現したところ、やはりセロトニン2A受容体の内在化が起こった。

 最後に、マウスの前頭前皮質にハイドロゲルを注入して、脳内間質液の流動を阻害するという実験を行った。その結果、頭部に1Gの力を1307日間与えたマウスでも、セロトニン投与後の首振り運動が抑制されず、セロトニンA2受容体の内在化も起きないことが確認された。

 これら一連の結果を踏まえ、研究グループでは「運動がもたらす効果の少なくとも一部には、頭部にかかる適度な衝撃が関与している」とまとめている。またこの知見が将来的には、加齢や下肢の障害のために身体活動を十分行えない人にも健康維持・増進効果をもたらす可能性もあるとしている。

[2020225/HealthDayNews]



性的パートナーの数が多い人はがんリスクが高い?

これまでの人生で性的関係を持った人の数が多い人は、がんリスクが高い可能性があるとする研究結果を、英アングリア・ラスキン大学のLee Smith氏らが「BMJ Sexual & Reproductive Health213日オンライン版に発表した。生涯の性的パートナーの数が10人以上の人は、それよりも少ない人と比べて、がんと診断される率が高かったことが示されたという。

 Smith氏らは、英国の50歳以上の男女を長期にわたって追跡調査しているELSAEnglish Longitudinal Study of Aging)研究のデータを利用して、性的パートナーの数と自己報告に基づくがんの診断との関連について検討した。研究参加者は、20122013年に性的パートナーの数に関する質問に回答した5,722人(男性2,537人、女性3,185人)。平均年齢は64歳で、約4人中3人が既婚者だった。また、性的パートナーの数が01人と報告した人の割合は、男性で28.5%、女性で41%弱、10人以上と報告した人の割合は、男性で22%、女性で8%弱であった。

 解析の結果、性的パートナーの数を10人以上と報告した女性は01人と報告した女性に比べ、がんと診断されていた率が91%高かった。男性でも同様の傾向が認められ、性的パートナーの数を10人以上と報告した男性は01人と報告した男性に比べ、がんと診断されていた率が69%高く、また、24人と報告した人に比べ57%高かった。

 この結果についてSmith氏は「以前の研究で、一部の性感染症(STI)がいくつかの種類のがんのリスクを上昇させ得ることが報告されていたため、このような結果が出ることは予想していた」と話す。そして、「実際、性的パートナーの数が多いほどSTIに罹患する確率は高まる」とした上で、「性的パートナーの数が多い人でがんリスクが上昇する主な要因はSTIである可能性が高い。一方、我々の研究では、性的パートナーが多い人には喫煙や飲酒などのがんリスクを高め得る行動が多く見られる傾向があった」と説明している。

 また、性的パートナーの数とがんリスクとの関連に男女差が認められた点については、「男性よりも女性でがんリスクが高いという結果は興味深い。これは、HPVによるリスクの上昇度は、男性の陰茎がんよりも女性の子宮頸がんの方が高いことからも分かるように、女性では一部のSTIとがんがより強く関連しているからではないか」と考察している。

 この研究には関与していない、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学産婦人科・生殖科学准教授のKonstantin Zakashansky氏は「興味深い研究ではあるが、性体験とがんの診断歴はいずれもデリケートな問題であるため、研究参加者が正確に回答したかどうか疑問が残る。また、記憶に頼った回答である点からも不正確さは免れず、結果に歪みが生じている可能性もある」として、今回の研究から有意義な結論を導き出すことは難しいとの考えを示している。

 米国がん協会(ACS)のMia Gaudet氏は、Zakashansky氏の指摘に同意しながらも、「既にHPVB型肝炎ウイルスなどががんリスクを高めることは知られているが、今回の研究結果は全般的にそれを支持するものであり、今後、さらに検討する必要性が示されたといえる」とコメント。また、「セクシュアルヘルスはタブー視されることが多く、これまで十分に検討されてきたとは言えない。今回の研究は完璧ではないが、この研究分野について情報を得る際には有用だ」と話している。

[2020213/HealthDayNews]



二日酔いにロキソプロフェンは本当に効くのか

二日酔い症状の緩和にロキソプロフェンナトリウム(以下、ロキソプロフェン)が効くという言説。医療関係者ならば耳にしたことがあるかもしれないが、医学的に妥当なのだろうか。

 今回、原 正彦氏(日本臨床研究学会 代表理事)が、二日酔いの症状緩和に対するロキソプロフェンの有効性を、医師を被験者としたランダム化二重盲検プラセボ対照試験で検証したところ、頭痛を緩和する一方で全身倦怠感と吐き気は改善しないことが示された。Alcohol誌オンライン版で202033日に報告。

 本試験は20177月~185月に実施。合計229人の医師がエントリーし、150人の被験者が二日酔い後の服薬を行ったところで終了した。被験者は、ロキソプロフェン群(n74)またはプラセボ群(n76)に無作為に割り付けられた。

 主要エンドポイントは、試験薬服用前および服用後3時間における全身倦怠感の重症度の差とし、視覚的アナログ尺度(VAS)により評価した。副次エンドポイントは、頭痛と吐き気の重症度の違い、有害事象の発現率とした。被験者の年齢中央値は34歳(四分位範囲:3039歳)、92.0%は男性であり、両群間のベースラインの患者背景は同等だった。

 主な結果は以下のとおり。

・全身倦怠感の緩和において、ロキソプロフェン群とプラセボ群の間に統計学的に有意な差はみられなかった(VAS改善度の中央値:24[四分位範囲:1449vs.19935]、p0.07)。
・頭痛は、ロキソプロフェン群で有意に緩和された(251050vs.10230]、調整差分:1495%信頼区間:821p0.001)。
・吐き気の緩和に有意差はなく(7027vs.10024]、p0.68)、心窩部不快感などの有害事象の発現率も、両群間で同等だった(2.7vs.3.9%、p0.25)。

 結果として、ロキソプロフェンは二日酔い後の頭痛を和らげるのに有効と考えられたが、全身倦怠感や吐き気は軽減しなかった。

 原氏は、「試験中に数人の被験者から『渡された試験薬が実薬かプラセボか、事前にわかってしまうのではないか?』という声が寄せられ、(二重盲検のため)試験終了までドキドキしていたが、試験終了後にキーオープンを行い統計学的に評価したとき、試験薬の同定確率には群間差が認められなかったので安堵した」とコメントしている。

糖尿病でも運動していれば介護リスクは糖尿病でない人と同レベル―新潟大

糖尿病患者は介護が必要になるリスクが高いものの、運動を続けていれば糖尿病でない人と変わらない程度にリスクが低下する可能性が報告された。新潟大学医学部血液・内分泌・代謝内科の曽根博仁氏、藤原和哉氏らが、新潟県三条市の医療ビッグデータを解析した結果、明らかになった。詳細は「BMJ Open Diabetes Research & Care125日オンライン版に掲載された。

 研究グループでは、三条市の特定健診と診療報酬請求および介護保険データを統合し、生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)および生活習慣(運動習慣の有無、現喫煙)と、介護保険の利用状況との関連を検討する後方視的コホート研究を行った。運動習慣の有無は「中等度の運動を週に230分以上、1年間継続していること」で判定した。

 20122015年に健診を受け、少なくとも2年間追跡可能だった3998歳の11,469人のうち、心血管疾患の既往がなく要介護認定を受けていない9,673人(うち男性4,420人)を3.7年(中央値)追跡。すると追跡期間中に165人が要介護認定を受けた(うち要支援49人)。

 要介護状態の発生に関連する可能性のある既知の因子を統計的に調整した上でリスク因子を検討すると、加齢(5歳ごとのハザード比2.48P0.001)やBMI18.5未満(ハザード比1.63P0.043)とともに、糖尿病(同1.74P0.013)と運動習慣がないこと(同1.83P0.001)が有意な因子として抽出された。

 続いて、前記3種類の生活習慣病と運動習慣の有無を加えた、計4つのリスク因子の保有数と要介護リスクを検討。リスク因子を1つも保有していない人に比較し、1つ保有している人はハザード比1.34P0.365)、2つの人は同1.95P0.036)、3つの人は同2.11P0.031)で、4つ全てを保有している人は同3.93P0.003)であり、2つ以上保有している場合のリスク上昇は統計的に有意だった。

 次に、対象全体を糖尿病の有無と運動習慣の有無で4群に分け、糖尿病がなく運動習慣がある人の要介護リスクを基準に、他の3群のリスクを比較した。すると、運動習慣がない人では糖尿病がある場合に有意に高リスク(ハザード比3.20P0.001)であるのはもちろん、糖尿病がなくても有意なリスク上昇(同1.82P0.003)が認められた。ところが、運動習慣がある人では糖尿病であっても有意なリスク上昇は認められなかった(同1.68P0.244)。

 曽根氏は、「我々は以前、日本人糖尿病患者の大規模研究で、運動が糖尿病患者の死亡率を低下させる可能性を示したが、今回さらに、運動が介護リスクを非糖尿病者並みに改善し、健康寿命を延伸できる可能性も示せた。また、BMI18.5未満が要介護の独立したリスク因子であったことから、フレイルによる要介護発生を防ぐために、運動介入とともに栄養介入も重要と考えられる」と述べている。

[2020217/HealthDayNews]