薬剤耐性菌問題は依然として脅威

米疾病対策センター(CDC)は1113日、「米国における薬剤耐性菌の脅威」を更新し、米国では薬剤耐性菌を原因とする死亡者数は幾分か減ったものの、これらの耐性菌の拡大に歯止めがかかる兆しは見えていないことを報告した。

 報告書によると、これまでに進められてきた対策によって、米国における薬剤耐性菌の感染による死亡者数は18%減少し、薬剤耐性菌の院内感染による死亡者数は約30%減少した。この結果について米国医療疫学学会(SHEA)会長のHilary Babcock氏は「われわれが耐性菌に対して無力ではないことを示す素晴らしいデータだ。医療疫学者や感染予防の専門家、研究者や薬剤師など、さまざまな人たちが重要な感染予防・抗菌薬管理プログラムを通じて人々の命や健康を守り、病院内の環境の安全性を高めてきた結果だ」と説明する。

 しかし、今回発表された報告書では、依然として米国内で薬剤耐性を示す細菌や真菌に感染する人は年間280万人を超え、これらの薬剤耐性菌の感染による死亡者数も年間35,000人に上ることが明らかにされている。これは、米国では11秒に1人のペースで薬剤耐性菌感染が生じ、15分に1人のペースで薬剤耐性菌感染による死亡者が出ていることに相当するという。

 さらに、薬剤耐性菌の脅威が当初の予測よりも深刻であることも報告されている。CDCが初めて薬剤耐性菌の報告書をまとめた2013年には、薬剤耐性菌による年間死亡者数は23,000人と試算されていたが、今回の報告書ではその約2倍にあたる44,000人が薬剤耐性菌感染によって死亡しているとの推計値が示されている。

 そのほか、CDCは薬剤耐性菌の脅威のレベルを「緊急」「深刻」「懸念」の3つのカテゴリーに分類しているが、今回、新たにカンジダ・アウリス(Candida auris)と呼ばれるカンジダ属の真菌とアシネトバクター(Acinetobacter)と呼ばれる細菌が「緊急」のカテゴリーに加えられた。これらの菌は、免疫力が低下した入院患者に重篤な侵襲性感染症をもたらす危険性があるが、最も強力で広く使用されている抗菌薬や抗真菌薬への耐性を獲得しつつある兆候が示されているという。

 「カンジダ・アウリスは5大陸で同時に出現した。このことは、われわれが直面している問題の大きさを物語っている」とCDC局長のRobert Redfield氏は説明。また、カンジダ・アウリスに感染した人は3人に1人が死亡することも指摘している。

 なお、今回カンジダ・アウリスとアシネトバクターが「緊急」のカテゴリーに加わったことで、同カテゴリーに分類される脅威はカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridioides difficile)の3つから5つに増えた。

 National Association of County and City Health OfficialsNACCHO)のAdriane Casalotti氏は、「薬剤耐性菌の問題がなくなることはない。特定の耐性菌の抑圧に成功しても別の耐性菌が新たな問題になる」と話す。一方、CDCの薬剤耐性調整・戦略部門のMichael Craig氏は「耐性菌感染による死亡者数が減少しているということは、今用いている戦略が間違っていないということだ。医療機関に導入されている院内感染対策や、抗菌薬使用の適正化、適切な食品の取り扱いや安全な性行為、ワクチン接種や手指衛生は全て有効な対策だ」としている。

[20191113/HealthDayNews]

PPIで認知症リスクが1.3倍~メタ解析

プロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用と認知症リスクについて、中国・Anhui Medical UniversityYun Zhang氏らが、調査を行った。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版20191121日号の報告。

 英語と中国語のデータベースより、201812月までの文献を包括的に検索した。プールされたハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、変量効果モデルを用いて算出した。サブグループ解析と感度分析も実施した。不均一性の評価には、Cochran’s Q検定およびI2検定を用いた。出版バイアス評価には、Begg検定およびEgger検定を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

6研究、166,146例が抽出された。
・全体的な結果では、PPI使用による認知症リスクの有意な増加が認められた(HR1.2995CI1.121.49)。
・サブグループ解析では、PPI使用と認知症リスクとの有意な関連が、欧州の患者(HR1.4695CI1.231.73)および65歳以上(HR1.3995CI1.171.65)で認められた。
・フォローアップ期間5年以上では、プールされたHRは、1.2895CI1.121.46)であり、PPI使用患者の認知症リスクが1.28倍に増加していることが示唆された。
・地域的な影響については、欧州の患者の全体的なプールHR推定値は、1.4695CI1.231.73)であった。
・出版バイアスは認められなかった。

 著者らは「本結果では、PPI使用が認知症リスクを上昇させることが認められた。これらの調査結果を確認するためにも、高品質なコホート研究が求められる」としている。

黄砂が飛来すると胎盤の早期剥離が増える

東アジア内陸部の砂漠から飛来する黄砂が、アレルギー症状や呼吸器疾患、循環器疾患の発症・増悪に関係していることは多くの報告で示されている。今回は産科の救急疾患である常位早期胎盤剥離(以下、早期剥離)との関係が新たに報告された。黄砂が飛来した12日後は早期剥離の発生が1.41.6倍に増えるという。東邦大学医学部社会医学講座衛生学分野の道川武紘氏らの研究によるもので、詳細は「BJOGAn International Journal of Obstetrics and Gynaecology1026日オンライン版に掲載された。

 早期剥離は全妊婦の約1%に発生するとされ、本来は出産後に子宮壁から剥がれる胎盤が、胎児が母親の胎内にいる時期に剥がれてしまうこと。これが起きると妊婦には大量出血、胎児には酸素や栄養供給が絶たれるというリスクが生じ、母児双方の命にかかわる。今のところ発生原因はよくわかっていない。

 この早期剥離の原因について、東邦大学と九州大学および国立環境研究所の疫学研究グループは、環境という外的因子も関与しているのではないかと仮説を立てて研究を続けてきた。その一環としてさまざまな健康被害をもたらす黄砂に着目。日本産科婦人科学会が実施している周産期登録事業の登録データと、ライダーと呼ばれる黄砂観測装置のデータを利用した検討を行った。

 研究の対象は、ライダーが設置されている9都府県(北は宮城、南は長崎で東京や大阪も含まれる)にある113病院で20092014年に出産した妊婦3,014人。多胎児出産(双子や三つ子など)は除外した。早期剥離のリスク因子と考えられている年齢、喫煙、血圧、および日によって変動する気温や湿度、気圧といった気象要因の影響を調整した上で、黄砂と早期剥離の関連性を分析した。

 研究期間中の黄砂飛来日数は、15日(新潟県)~71日(長崎県)。早期剥離が発生した日付そのものは基礎データからはわからないため、先行研究を参考に早期剥離の発生から出産までの期間を1日以内と仮定し、出産日を起点に16日前の黄砂飛来状況を調査した。

 その結果、出産の12日前に黄砂が飛来していた場合、黄砂のない日に比べて早期剥離が1.4倍に増加していたことがわかった。黄砂飛来時には大気汚染物質(二酸化窒素や二酸化硫黄、光化学オキシダント)の濃度が高くなる傾向があるため、統計的にそれらを調整してもなお黄砂と早期剥離の関連性が認められた。さらに、妊娠35週以降の緊急分娩に絞った分析では黄砂飛来との関連性がより強くなり、黄砂がない日の1.6倍に早期剥離が増加していた。

 この研究は、黄砂が早期剥離を引き起こす機序にまで踏み込んだものではないが、道川氏らは黄砂に含まれている微生物や大気汚染物質の関与に触れている。例えば、黄砂とともに飛来する微生物の中にはグラム陰性桿菌も存在すると考えられ、そのグラム陰性桿菌の細胞壁を構成するリポ多糖は妊婦に炎症を引き起こし、早産の原因となることが知られているという。また、黄砂とともに飛来した大気汚染物質による炎症が早期剥離を増加させた可能性や、喘息をもつ妊婦の喘息症状が黄砂によって悪化し早期剥離につながった可能性も考えられるとしている。

[20191125/HealthDayNews]

心疾患患者の3人に1人はインフルエンザワクチンを接種せず

インフルエンザはときに命に関わる危険な病気であり、毎年のワクチン接種が重要になる。特に、心疾患患者は、インフルエンザワクチンを接種すると心筋梗塞などの発症や死亡を予防できることが明らかになっている。しかし、米メッドスター・ヘルスの内科レジデントであるGowtham Grandhi氏らの調査で、米国の心疾患患者の約3人に1人はインフルエンザワクチンを接種していないことが分かった。研究結果は、米国心臓協会の年次集会(AHA 2019111618日、米フィラデルフィア)で発表された。

 この研究は、20082015年の医療費パネル調査(MEPS)データを用いたもの。心筋梗塞や脳卒中などの既往がある40歳以上の男女15,000人以上を対象に、インフルエンザワクチンの接種率について調べた。

 その結果、過去1年間に、患者の約3人に1人はワクチンを接種していないことが分かった。ワクチンの未接種率は、医療保険に加入し、定期的に医療サービスを受けている患者では約30%だったのに対し、保険未加入の低所得層者では65%に上っていた。

 Grandhi氏は「心疾患患者は、インフルエンザに罹ると合併症や死亡リスクが高まる。インフルエンザワクチン接種の有益性について、心疾患患者への教育を徹底する必要がある」と述べている。

 一方、責任研究者である米ヒューストン・メソジスト病院、ドベイキー心臓血管センターのKhurram Nasir氏は「この研究結果は、インフルエンザワクチン接種率の格差に光を当てたものだ」と説明。「今後は、このような格差の原因となっている患者側と医療制度上の要因を明らかにし、これらの課題を克服するための介入法に重点を置いて研究を進めていくべきだ」と述べている。

 さらに、Grandhi氏は「心臓専門医とプライマリケア医、その他の臨床医は、インフルエンザの流行が始まる前に、患者とワクチン接種について話し合い、定期受診の中でワクチン接種を受けるように促していく必要がある」と述べ、「可能であれば、予約がなくても患者にワクチン接種を提供すべきだ」と付け加えている。

 なお、学会発表された研究結果は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

[20191113/HealthDayNews]



電子処方ツール導入によるベンゾジアゼピン処方への影響

電子処方ツール(e処方)は、処方プロセスの妥当性および医療の質に関して、いくつかのベネフィットが認められている。しかし、デジタル化の好ましくない影響である、対面式の直接的な会話を省く簡便かつ迅速な処方プロセスにより、ベンゾジアゼピン(BZD)などの乱用リスクが高い薬剤の処方を促進してしまう可能性がある。スイス・Regional Hospital of Bellinzona and ValliRosaria Del Giorno氏らは、5つの指導病院ネットワークにおいて、入院患者に対する新規BZD処方に対するe処方の影響を調査するため、パネルデータ調査を行った。Diagnostics20191115日号の報告。

 20147月~20194月までの観察期間中に、入院患者43,320例の分析を行った。新規BZD処方に対するe処方の影響を推定するため、固定効果モデルを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

e処方の導入により、新規BZD処方の有意な増加が認められた(絶対値:1.5%増、相対値:43%増[p0.001])。
・この関連性は、男性(絶対値:2.3%増、相対値:65%増[p0.001])、女性(絶対値:1.8%増、相対値:58%増[p0.01])、70歳以上(絶対値:1.6%増、相対値:59%増[p0.001])でも同様であった。
・時間依存独立変数で調整後も、e処方の導入により、同様に有意な影響が認められた。

 著者らは「e処方導入は、院内での新規BZD処方の有意な増加と関連が認められた。過剰処方や乱用リスクがある薬剤は、リスクを最小限にするためにも、e処方を慎重に使用する必要がある。これらの相互作用を分析し、質の高いケアを推進していくためには、ほかの環境や国でのさらなる研究が求められる」としている。

海洋由来オメガ3脂肪酸と大腸がん予防効果

オメガ3脂肪酸には植物由来と海洋由来があるが、本稿は海洋由来オメガ3脂肪酸の話題。米国・ハーバード公衆衛生大学院のMingyang Song氏らは、「Vitamin D and Omega-3 TrialVITAL試験」で事前に設定された補助的研究において、海洋由来オメガ3脂肪酸(11g)の摂取は大腸がん前がん病変リスクの減少と関連しないことを明らかにした。ただし副次解析で、ベースラインのオメガ3濃度が低い参加者やアフリカ系米国人に関しては有益性を示す結果がみられ、筆者は、これらの対象についてはサプリメントの有益性についてさらなる調査が必要であると述べている。JAMA Oncology誌オンライン版20191121日号掲載の報告。

 研究グループは201111月~20143月に、がんおよび心血管疾患の既往がない米国の一般集団25,871例(うちアフリカ系米国人5,106例)を登録し、海洋由来オメガ3脂肪酸1g/日(エイコサペンタエン酸[EPA460mgとドコサヘキサエン酸[DHA380mgを含む)およびビタミンD32,000 IU/日)を投与する群と、プラセボ群に無作為に割り付けた。

 主要評価項目は、大腸の通常型腺腫(管状腺腫、管状絨毛腺腫、絨毛性腺腫および高度異形成腺腫など)または鋸歯状病変(serrated polypSP)(過形成性ポリープ、鋸歯状腺腫およびsessile serrated polypなど)のリスクとした。追跡調査のアンケートでポリープの診断を受けたと報告した参加者(ポリープサブグループ)については、内視鏡および病理学的記録にて診断を確認。ロジスティック回帰分析を用い、年齢、性別、ビタミンD3治療群および内視鏡検査の使用について補正後、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出して評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・投与群とプラセボ群で患者背景は類似していた。女性50.6%、50.5%、黒人19.7%、19.8%、平均年齢は67.2歳、67.1歳。
・介入は予定どおり20171231日に終了。追跡期間中央値5.3年において、通常型腺腫が投与群294例、対照群301例(多変量OR0.9895CI0.831.15)、鋸歯状病変がそれぞれ174例、167例(OR1.0595CI0.841.29)が記録された。
・ポリープサブグループにおいて、大きさ、位置、多発性または組織型で関連はなかった。
・副次解析において、ベースラインの血漿中オメガ3指数が低い参加者で、海洋由来オメガ3脂肪酸の投与が通常型腺腫のリスク低下と関連していた(OR0.7695CI0.571.02、オメガ3指数による相互作用のp0.03)。
・サプリメントによる有益性は、アフリカ系米国人集団で示されたが(OR0.5995CI0.351.00)、他の人種/民族集団ではみられなかった(相互作用のp0.11)。

うつ病や統合失調症リスクに対する喫煙の影響

統合失調症やうつ病の患者では、一般集団と比較し喫煙率が高い。英国・ブリストル大学のRobyn E. Wootton氏らは、ゲノムワイド関連研究(GWAS)で特定された遺伝子変異を使用して、この因果関係を調べることのできるメンデルランダム化(MR)法を用いて検討を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019116日号の報告。

 統合失調症およびうつ病に対する喫煙の双方向の影響を調査するため、2つのサンプルにおけるMRを実施した。喫煙行動についてはGSCANGWAS and Sequencing Consortium of Alcohol and Nicotine use)コンソーシアムから喫煙開始のGWASを使用し、UK Biobank462,690サンプルより生涯の喫煙行動に関する独自のGWASを実施した。肺がんなどのポジティブコントロールアウトカムを用いて検証した。統合失調症とうつ病には、PGCPsychiatric Genomics Consortium)のGWASを使用した。

 主な結果は以下のとおり。

・喫煙は、統合失調症(オッズ比[OR]2.2795%信頼区間[CI]1.673.08p0.001)とうつ病(OR1.9995CI1.712.32p0.001)の両方のリスク因子であることが示唆された。
・この結果は、生涯の喫煙と喫煙開始の両方で、一貫して認められた。
・うつ病に対する遺伝傾向が喫煙を増加させる可能性が示唆されたが(β0.09195CI0.0270.155p0.005)、統合失調症では明らかではなく(β0.02295CI0.0050.038p0.009)、喫煙開始に対する影響は非常に弱かった。

 著者らは「喫煙と統合失調症やうつ病の関連性は、少なくとも部分的に、喫煙の因果効果であることが示唆された。このことは、メンタルヘルスに対する喫煙の有害な結果をさらに示すものである」としている。

米国中高生にフレーバー電子タバコが蔓延

2019年の米国の高等学校(high school)および中学校(middle school)の生徒における電子タバコ使用者の割合は高く(それぞれ27.5%、10.5%)、特定の銘柄の電子タバコ使用者の多くがフレーバー電子タバコを使用(72.2%、59.2%)している実態が、米国食品医薬品局(FDA)タバコ製品センターのKaren A. Cullen氏らの調査で明らかとなった。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2019115日号に掲載された。米国の青少年における電子タバコの使用率は、2011年から2018年に、実質的に増加しているという。青少年の電子タバコや他のタバコ製品の使用率の継続的な監視は、公衆衛生学上の施策や計画立案、規制の取り組みへの情報提供として重要とされる。

612学年19,018人の横断研究

 研究グループは、2019年の米国の高等学校および中学校の生徒における電子タバコの使用状況(使用頻度、銘柄、フレーバー製品の使用など)を調査する目的で、横断研究を行った(FDAと米国疾病予防管理センター[CDC]の助成による)。
 2019年度の全国青少年タバコ調査(National Youth Tobacco Survey)に参加した第612学年(高等学校:第912学年、中学校:第68学年)の米国人生徒19,018人を対象とした。調査期間は、2019215日~524日。

 参加者の自己申告に基づき、現在電子タバコを使用中(過去30日以内に1回以上使用)、頻回使用(過去30日間に20日以上)、現使用者が習慣的に使用している銘柄(JUULbluLogicMarkTenNJOYVuse、その他、なし)、特定銘柄の使用者(他のタバコ製品は使用しない)におけるフレーバー電子タバコの使用の有無と、使用しているフレーバーの種類を調査した。使用率の推定値は複雑抽出デザイン(complex sampling design)で重み付けした。

頻回(月に20日以上)使用者は160万人、毎日使用者は97万人

 調査には、高等学校の生徒197人(平均年齢16.1SD 3.0]歳、女性47.5%)と、中学校の生徒8,837人(12.72.8]歳、48.7%)が含まれた。学年別の参加者割合は全体として類似していた(範囲:第12学年12.9%~第7学年14.6%)。全体の回答率は66.3%だった。

 2019年の電子タバコの現使用率の推定値は、高等学校生が27.5%(95%信頼区間[CI]25.329.7)、中学校生は10.5%(9.411.8)であった。また、現使用者のうち、高等学校生の34.2%(31.237.3)、中学校生の18.0%(15.221.2)が頻回使用者であり、それぞれ63.6%(59.367.8)および65.4%(60.669.9)が特定の銘柄の電子タバコを使用していた。

 現使用者のうち、高等学校生の59.1%(95CI54.863.2)、中学校生の54.1%(49.159.0)が、過去30日間にJUUL(ニコチン塩ベースの電子タバコ製品)を習慣的に使用しており、それぞれ13.8%(12.015.9)および16.8%(13.620.7)は、習慣的に使用している電子タバコの銘柄はないと回答した。

 特定の銘柄の電子タバコの使用者のうち、高等学校生の72.2%(95CI69.175.1)、中学校生の59.2%(54.863.4)が、フレーバー電子タバコを使用しており、使用頻度の高いフレーバーは、果物(高等学校生66.1%[62.469.5]、中学校生67.7%[62.672.5])、メンソール/ミント(57.3%[53.361.3]、31.1%[25.637.2])、キャンディー/デザートなどの甘い物(34.9%[31.338.7]、38.3%[32.644.2])であった。

 なお、過去30日間に、電子タバコ以外のタバコ製品を使用したと答えた生徒の割合は、高等学校生が5.8%(95CI4.67.3)、中学生は2.3%(1.82.9)であり、電子タバコと合わせると、それぞれ31.2%(29.133.5)および12.5%(11.213.9)が、何らかのタバコ製品を使用していた。

 著者は、「これらのデータにより、2019年に米国の高等学校生410万人と中学校生120万人が電子タバコを使用したと推定される。このうち160万人が頻回使用者で、97万人は毎日使用しており、特定銘柄のフレーバー電子タバコの使用者は240万人と考えられる」としている。

金銭管理の問題はアルツハイマー病の予兆か

未払いの請求書がたまり、銀行口座の残高はマイナス、投資は先細り――。高齢者にこうした金銭管理の問題がみられたら、認知症やアルツハイマー病の予兆であるかもしれない。未診断で早期のアルツハイマー病患者は、適切な家族の援助を得ることができず、金銭管理で誤った決断を下してしまうリスクが高いことが、米ジョージタウン大学教授のCarole Gresenz氏らの研究で示された。研究の詳細は「Health Economics1024日号に発表された。

 今回の研究は、19922014年の出来高払い方式のメディケア請求データと50歳以上の米国人の健康に関する調査(Health and Retirement StudyHRS)のデータを用いたもの。HRSでは各世帯の金融資産や負債に関する調査も行われていた。

 研究では、家族にアルツハイマー病または関連する認知症(ADRD)と診断された人がいる2,777世帯を含む8,871世帯のデータを分析した。ADRDの患者がいる家庭のうち、家計管理を主に行っている人がADRDである家庭は73%を占めていた。その結果、早期のアルツハイマー病患者は、自分の資産や貯蓄、預金口座を適切に管理できなくなるため、資産の大幅な減少につながることが多いことが分かった。

 Gresenz氏は「アルツハイマー病は早期に診断されないと最悪の事態を招く可能性がある」と指摘。「アルツハイマー病のために金銭管理能力が低下することで、請求書の未払いやクレジットカードでの浪費、投資への関心が薄れるといった問題が生じる可能性がある。また、金銭感覚が失われた高齢者は詐欺や悪徳商法などの被害にも遭いやすい」と説明している。

 今回の研究には関与していないアルツハイマー病協会のRuth Drew氏は「アルツハイマー病が進行するに伴い、患者は誰でも金銭管理だけでなく、最終的には日常生活を送るためにも介助や介護が必要になる」と説明。自身の経験でも、多くの人からこのような問題について話を聞いているとしている。

 なお、Drew氏によれば、職場や家庭で金銭管理に責任を持つ立場にあった人が、自分の認知機能が低下していることに気付いていなかったという事例もあったという。「こうした変化に周りの人は気付かなかったり、気付いても家族に伝えられなかったりしたようだ。その間に金銭に大きな影響が及んでしまっていた。われわれが会った時には、患者の家族は、資産が予想以上に減ってしまった患者を介護しなければならない状況に陥っていた」と同氏は振り返る。

 また、Gresenz氏は「早期のアルツハイマー病患者がいる家族は、患者本人だけでなく家族も、預金や貯金、株式、債券など高齢者でも動かしやすい資産が大幅に減ってしまうリスクが高いことを知っておくべきだ」と強調。「家族は、高齢になった親の金銭管理能力を早めにチェックする方がよい。認知症の兆候がなくても、セーフティネットの存在を確認しておいてほしい」とアドバイスしている。さらに、「高齢者を守る上では金融機関にも重要な役割がある」と同氏は付け加えている。

 一方、前出のDrew氏は「アルツハイマー病や認知症に関しては、今後の計画を立てるのに早すぎるということはない」とし、高齢者自身には、信頼できるファイナンシャルプランナーと早めに話し合うことを勧めている。

[20191029/HealthDayNews]

長時間作用型の避妊パッチに実現性、米研究

皮膚に貼るだけで長時間にわたり避妊効果が続く「パッチ型避妊薬」の研究で有望な成績が得られたと、米ジョージア工科大学教授のMark Prausnitz氏らが「Science Advances116日号に発表した。このパッチ型避妊薬は、表面の多数の微小な針(マイクロニードル)が皮膚に刺さると、針に含まれた避妊薬が吸収されるというもの。従来の長期避妊法である子宮内避妊器具(IUD)やインプラントは医療機関で装着する必要があるが、この簡便なパッチ型避妊薬はこれらの代替となる可能性があるという。

 パッチ型避妊薬は、皮膚に貼って1分ほど上から押さえると、黄体ホルモン作用を持つプロゲスチン(レボノゲストレル)を含んだ微小な針が皮膚に残り、ホルモンが吸収される。皮膚に残った針はその後、分解されて消失する。ただし、今回報告されたのは動物実験と少人数の女性を対象に実行可能性を検証した初期段階の研究結果に過ぎない。

 Prausnitz氏は「既にさまざまな長時間作用型の可逆的避妊法があるが、私たちは、医療機関で施術する必要がない簡便な避妊法の開発を目指した」と説明。その理由の一つとして、同氏は、医療機関を受診しにくい発展途上国の女性でも使いやすい避妊法の必要性を挙げているが、パッチ型避妊薬は米国など医療資源が豊かな国でも魅力的な選択肢になる可能性があるとしている。

 一方、この研究には関与していない米国セクシャルヘルス協会のメディカルアドバイザーであるSusan Wysocki氏も、Prausnitz氏の考えに同意し、「保険が適用される避妊法は限られており、IUDやインプラントを装着できる医療機関が近隣にない女性もいる」と指摘。「女性によってニーズはさまざまであり、避妊法の選択肢が広がるのは歓迎すべきだ」としている。

 このパッチの表面には、ホルモン製剤のレボノゲストレルが充填された多数のマイクロニードルがあり、その根元は特殊な発泡性の材質で作られている。約1分間、パッチを皮膚に押さえつけると、この発泡性の層から針の部分が切り離され、針だけが皮下に残る。そして、残った針からレボノゲストレルが徐々に放出されるという仕組みだ。

 ラットを用いた実験では、このマイクロニードルによってヒトのホルモン血中濃度は、避妊効果が得られるレベルで1カ月以上維持されることが示された。次に、10人の女性を対象にホルモン剤が充填されていないパッチでテストを行い、痛みやマイクロニードルの分離に要する時間を検証したところ、痛みが問題となることはなく、微小な針は皮下にしっかりと埋め込まれることが確認された。

 なお、パッチの使用後、皮膚に赤みが見られたが、1時間以内に消失したという。また、女性10人中9人は、毎日ピルを飲むよりも、月に1回貼るだけで済むパッチ型の避妊薬を使いたいと回答していた。ただし、このパッチ型避妊薬の避妊効果はまだ検証されていないことに注意が必要だ。Prausnitz氏は、次の段階では、36カ月とさらに長期にわたり避妊効果が得られるような製剤の開発を試みる予定だという。

 一方、Wysocki氏は「避妊法は女性がコントロールできるかどうかが重要な鍵となる。自分で選択できる長時間作用型の避妊薬は多くの女性にとって魅力的だ」として、今後、研究が前進することに期待を示している。

[2019117/HealthDayNews]