脳卒中後の回復に「脳磁気刺激装置」が有用

不眠症や睡眠薬使用に関連する交通事故のリスクおよび、これらのリスク因子が性別や年齢によってどのような影響を受けるか、カナダ・ラヴァル大学のCharles M. Morin氏らが調査と検討を行った。Sleep誌オンライン版2020229日号の報告。

 対象は、不眠症の有無を問わない3,413人の成人(平均年齢:49.0歳、女性の割合:61.5%)。対象者の睡眠パターン、睡眠薬の使用、交通事故について、5年間連続して毎年調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・交通事故の重大なリスクは、不眠症(HR1.2095CI1.001.45)および日中の倦怠感(HR1.2195CI1.011.47)で認められた。
・不眠症またはその結果として起こる昼間の問題は、報告された交通事故の40%に対し、何らかの影響を及ぼしていることが示唆された。
・睡眠薬の慢性的な使用(HR1.5095CI1.171.91)および定期的な使用(HR1.5895CI1.162.14)は、高い事故リスクと関連していた。同様に、不眠症および日中の過度な眠気を報告した若い女性において関連が認められた。

 著者らは「不眠症や睡眠薬の使用は、それらによって残存する昼間の倦怠感や集中力の低下などにより、交通事故の重大リスクと関連している。不眠症や日中の過度な眠気を報告する若い女性では、とくに注意が必要であることが示唆された」としている。





Facebookが「食べ過ぎOK」のライセンスになる?

良くも悪くも、ソーシャルメディアが食生活に影響している可能性が、英国の研究者らによって報告された。ソーシャルメディア上の仲間が健康的な食生活を送っていると感じた場合は野菜や果物を多く食べ、その反対のケースではスナック菓子などのジャンクフードを余計に食べる傾向があるという。詳細は「Appetite118日オンライン版に掲載された。

 英アストン大学の博士課程の学生Lily Hawkins氏らは、Facebookを使っている大学生369人(平均年齢22.1歳、平均BMI23.7)を対象に、食習慣と嗜好に関する横断調査を実施した。研究参加者に毎日自分が飲食した、果物、野菜、スナック菓子、加糖飲料の摂取量の報告を求め、それらの摂取量とBMI、およびソーシャルメディア上でのつながりとの関連を検討した。

 その結果、ソーシャルメディアで自分の仲間が果物や野菜という健康的な食品を食べていると知った場合、その摂取量のおよそ5分の1に相当する量を、自分が普段食べている量にプラスして摂取することがわかった。その一方、自分の友人がスナック菓子や加糖飲料という非健康的な食品を飲食していると知った場合、その量の3分の1に相当する量を余計に食べていた。参加者の食習慣とBMIには有意な関連は見られなかった。

 Hawkins 氏は、「この知見は人々が摂取する食品を選択する際、社会的なつながりのある仲間から、思った以上に影響を受けていることを表している。われわれは他人の摂食行動を無意識に観察しているようだ」と述べている。その上で同氏は、「オンラインでつながっている人々の食習慣が互いに影響することがエビデンスとして示された。これは、食生活を健康的なスタイルに微調整するツールとして、ソーシャルメディアを利用できる可能性を示唆するものだ」と、本研究の発展性に触れている。

 ただし今回の検討からは、健康的な食品の摂取についてだけでなく、非健康的な食品の摂取についても、オンライン上で互いに影響を及ぼしあっている様子が認められた。この点について同氏は、「ソーシャルメディアは時に『食べ過ぎても良い』という“過食のライセンス”としても機能してしまうようだ」と述べ、注意すべき側面としている。

 研究グループでは今後、ソーシャルメディアを介した食習慣の影響が体重の変化として現れるかどうかを検証する、長期観察研究を行う予定という。

[2020210/HealthDayNews]

多発性硬化症の発症メカニズム、解明進む

ダブリン大学トリニティ・カレッジ(アイルランド)実験免疫学教授のKingston Mills氏らは、多発性硬化症(MS)のモデルマウスを用いた実験で、MSの炎症を引き起こすサイトカインの一種であるインターロイキン17IL-17)の新たな役割を発見したと、「Immunity24日オンライン版に発表した。同氏らは「この知見は、MSや乾癬、関節リウマチなどの自己免疫疾患に対し、より効果的な治療法の開発につながるものだ」と期待を示している。

 MSは、免疫細胞が脳や脊髄の中枢神経系(CNS)の組織に侵入し、神経を損傷した結果、さまざまな神経症状が現れる自己免疫疾患だ。MSの患者数は世界で約230万人、アイルランドでは9,000人を超えるとされる。しかし、その原因はいまだに明らかになっておらず、根本的な治療法も見つかっていない。

 マウスのMSモデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)においてのこれまでの解析では、MSは、IL-17を産生する「ヘルパーT細胞」と呼ばれる免疫細胞が、CNSの神経線維を覆っている髄鞘を損傷することで起こるというメカニズムが示されている。なお、IL-17阻害薬は、乾癬の治療では既に承認されており、MS治療に関しても、再発寛解型MS患者を対象とした早期臨床試験から有望であることが報告されているという。

 Mills氏らが今回、EAEを解析した結果、MSの発症に際して、IL-17にはこれまで知られていなかった別の役割があることを突き止めた。IL-17を欠損したマウスやIL-17阻害薬を投与したマウスにEAEを誘発すると、自己免疫疾患を引き起こしにくいことが分かった。

 Mills氏は「IL-17は、疾患の原因となる免疫細胞をリンパ節に引き寄せて活性化することで、免疫細胞がCNSの組織に侵入して神経障害を起こしていることが分かった。IL-17は、疾患発症の引き金となる免疫反応の開始に重要な役割を果たしている」と説明。一方で、今回は基礎研究に過ぎず、現段階ではヒトにも当てはまるとは断言できないとしている。

 共著者の一人で同大学生化学・免疫学部のAoife McGinley氏は「重要なことに、今回の研究結果から、IL-17阻害薬が血液脳関門を通過しなくてもMS治療に効果を発揮する可能性が示唆された」と述べている。その上で、「再発寛解型MSの治療ターゲットとして、IL-17の重要性に新たな可能性が見出された。また、MS以外にも乾癬や関節リウマチなど他の自己免疫疾患の治療においても、IL-17阻害薬には大きな可能性があることが強調された」と付け加えている。

[202025/HealthDayNews]