体重と生活習慣の変化が非アルコール性脂肪肝の発症や改善に影響

生活習慣の改善または悪化と、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の発症または寛解が有意に関連することがわかった。禁煙や体重の増加でNAFLDの発症が増え、減量および男性では運動を始めることで寛解が増えるという。名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科の吉岡直輝氏、石上雅敏氏らの縦断研究の結果であり、詳細は「Scientific Reports116日オンライン版に掲載された。

 NAFLDはいわゆる「脂肪肝」のうち、アルコール摂取はない、あるいは障害を起こすほどの量ではない人の肝臓に脂肪が蓄積する病気で、メタボリックシンドロームの影響が肝臓に現れている状態と考えられている。進行すると非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を発症し、肝がんのリスクが高まる。国内では近年ウイルス性肝炎が減っているのに対し、NAFLDNASHの増加が問題になっている。

 今回の研究の対象は、名古屋第一赤十字病院で200918年に健診を2回以上受けた3,121人のうち、ウイルス性肝炎やアルコール性肝疾患患者を除外した1,421人。主な背景は、初回健診時年齢53.0±11.9歳、男性50.0%、脂肪肝指数(FLI30以上30.4%で、NAFLDの割合は34.1%だった。なお、喫煙者(全体の15.6%)や就寝前2時間以内に夕食を食べる人(21.5%)ではNAFLDが有意に多く、運動習慣のある人(23.1%)では有意に少なかった。

 追跡期間(4.6±2.8年)中に、ベースライン時はNAFLDでなかった人の11.1%がNAFLDを発症し(年率2.4/年)、NAFLDだった人の26.2%に寛解が見られた(同5.7/年)。

 NAFLD発症と関連する因子として多変量解析により、男性(調整オッズ比2.07)、追跡期間(同1.11)、脂質異常症(同2.39)とともに、喫煙者の禁煙(同2.86)が抽出された。

 NAFLD寛解と関連する因子は、追跡期間(同1.12)と減量(同2.83)だった。性別に解析した場合は男性において、運動を開始すること(同2.38)も寛解と有意に関連していた。

 次に、体重の変化量との関連を見ると、追跡期間中の体重増加量が大きいほどNAFLD発症が増え、体重減少量が大きいほど寛解が増えるという有意な関連が認められた。ベースライン時にNAFLDであった人の中で、年率1/年以上の体重減少を維持できた人の約40%にNAFLDの寛解が見られた。なお、追跡期間中に禁煙した人は、非喫煙者や新たに喫煙を開始した人に比べ、体重が1/年以上増加した割合が有意に高かった。

 就寝前に食事を取ることはNAFLDと関連の深い生活習慣として知られ、今回の検討でも前述のように、ベースライン時ではNAFLD群で夕食を就寝前2時間以内に食べる人が有意に多かった。ただし、追跡期間中にこの生活習慣が変化した場合でも、その変化はNAFLD発症や寛解と独立し関連する因子ではなかった。

 これらを踏まえ研究グループでは、「体重の変化はNAFLDの発症・寛解の双方と相関している。禁煙は、恐らく体重増加を介してNAFLD発症を増やすと考えられる。一方、運動の開始は男性においてはNAFLD寛解と有意に関連している」と結論をまとめている。

[202023/HealthDayNews]



血清BDNF濃度、短時間睡眠を伴う不眠と関連か

神経系から分泌されるタンパク質である脳由来神経栄養因子(BDNF) は、神経細胞の発生・成長・維持・修復に働くが、ヒトの睡眠の調節にも関与することが示されている。今回、京都大学の降籏 隆二氏らは、血清BDNF濃度と睡眠障害との関連について短時間睡眠を伴う不眠(insomnia with short sleep duration:ISS)に着目し、横断研究を実施した。その結果、ISSが血清BDNF濃度の低下と関連している可能性が示された。Sleep Medicine20204月号に掲載。

 本研究の対象は、東京の総合病院1施設に勤務する看護師から登録された女性577人(35.45±10.90歳)。20151112月に、血清BDNF濃度を測定し、自記式質問票により不眠(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒)の有無、睡眠時間を調査した。ISSは、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒のいずれか1つがあり、睡眠時間が6時間未満のものとした。

 主な結果は以下のとおり。

577人のうち、21.3%が不眠と回答し、41.4%が短時間睡眠(6時間未満)であり、最終的にISSとされたのは12.5%だった。
ISS群は、非ISS群と比較して血清BDNF濃度が有意に低かった。
・短時間睡眠を対象とした解析では、不眠のある群では、不眠のない群と比較して有意に血清BDNF濃度が低下していたが、正常睡眠時間(6時間以上)では不眠の有無による血清BDNF濃度の差は認められなかった。

 著者らは「本研究は、ISSでは血清BDNF濃度が低下することを示した初めての研究であり、これらの結果が睡眠の悪化とBDNFの病態生理学的な関連性を解明するかもしれない」としている。



納豆やみその摂取量と死亡率が逆相関―JPHC研究

発酵性大豆食品を多く食べる人ほど死亡率が低いというデータが報告された。ただし、非発酵性の大豆食品も含めた解析では、関連が有意でないという。国立がん研究センターなどの多目的コホート(JPHC)研究グループの研究によるもので、詳細は「BMJ129日オンライン版に掲載された。

 今回の研究の対象は、1990年と1993年に全国11カ所の保健所管轄区域に住んでいた4069歳の成人のうち、がんや循環器疾患の既往がない92,915人(うち男性42,750人)。大豆製品の摂取量で全体を五分位に分け、2012年まで平均14.8年間追跡した。

 研究開始から5年後に行った食事調査アンケートの回答から、総大豆食品、発酵性大豆食品(納豆とみそ)、非発酵性大豆食品、および豆腐の摂取量を計算し、総死亡(全死因による死亡)、がん死亡、循環器疾患死亡などとの関連を性別に検討した。解析に際しては、年齢、地域、肥満度、喫煙・飲酒・身体活動習慣、糖尿病・高血圧、健診受診状況、女性の月経の有無・ホルモン剤の使用、食品摂取状況、総エネルギー摂取量を統計的に調整し、影響を取り除いた。

 その結果、総大豆食品摂取量と総死亡リスクの関連については、有意な関連が認められなかった。一方、発酵性大豆食品の摂取量との関連は、男性(傾向性P0.05)、女性(同0.01)ともに摂取量が多いほど総死亡リスクが低下するという関連が認められた。

 大豆食品の細分類別の検討では、女性において、納豆(同0.001)、および、みそ(同0.03)の摂取量が多いほど総死亡リスクが低い傾向があった。しかし男性では有意な傾向が見られなかった。豆腐に関しては男性、女性ともに有意な傾向が見られなかった。

 次に、死亡原因との関連を見ると、がん死亡リスクに関しては男性、女性ともに大豆製品摂取量と有意な関連が見られなかった。その一方で循環器疾患死亡との関連は、男性において、発酵性大豆食品(納豆とみそ)の摂取量および納豆の摂取量、女性においては納豆の摂取量と有意な関連が認められた。

 具体的には、男性において発酵性大豆食品の摂取量が最も少ない第1五分位群(13.4g/日未満)に比べ、摂取量が最も多い第5五分位群(50.2g/日以上)の循環器疾患死亡のハザード比は0.8218%リスクが低かった。同様に、納豆を摂取しない群に比べ、摂取量が最も多い群(26.2g/日以上)のハザード比は0.7624%リスクが低かった。女性では、納豆を摂取しない群に比べ、摂取量が最も多い群のハザード比は0.79だった。

 総大豆食品摂取量は死亡リスクとの関連が見られず、発酵性大豆食品の摂取量との関連は有意という結果について、研究グループでは「発酵性大豆食品は加工の過程で、大豆に含まれている成分の消失が少ないことが理由の1つではないか」と考察している。

[202023/HealthDayNews]

統合失調症患者の再入院減少のための長時間作用型持効性注射剤の実際の効果

抗精神病薬の長時間作用型持効性注射剤(LAI)と経口剤の有効性に関する比較は、さまざまな方法論的な問題により明確になっていない。韓国・健康保険審査評価院のHye Ok Kim氏らは、統合失調症患者の再入院に対するLAIと経口抗精神病薬との比較を実施した。Annals of General Psychiatry2020114日号の報告。

 200817年の統合失調症入院患者75,274例を対象に、LAIと経口抗精神病薬の再入院に対する予防効果を比較するため、被験者内分析を実施した。再入院率は、非薬物療法、経口剤単独療法、LAI療法で比較を行った。各入院エピソードについて、入院前の治療の状態に従って比較を行った。

 主な結果は以下のとおり。

132,028件の入院エピソードについて分析を行った。
・総観測期間255,664患者年の間に発生したアウトカムイベントは、101,589件であった。
LAI療法と経口剤単独療法の比較において、LAI療法の再入院の発生率比(IRR)は0.710.640.78p0.001)であった。
LAI療法の初回入院のIRRは、0.740.650.86)であり、入院回数が2回目(IRR0.650.530.79])、3回目(IRR0.560.430.76])、4回目(IRR0.420.310.56])と増えるにつれ、IRRの減少が認められた。

 著者らは「実臨床におけるLAI療法は、経口剤単独療法と比較し、統合失調症患者の再入院率を29%低下させることが示唆された。さらに、入院を繰り返す患者において、再入院率を58%低下させた。LAIは経口抗精神病薬と 比較し、再入院回数が多い統合失調症患者において、再入院リスクの低減により寄与する」としている。

災害診療に影響大なエネルギー、電気よりも…

病院などの医療・福祉施設は、災害時に診療機能の継続が急務となる。また、高齢者を含む災害弱者を預かる責務を負うため、電気や水道、ガスなどのライフライン確保が求められる。この時、災害時の病院を稼働させるために忘れてはならないものーそれは石油である。

 2020123日、「防災の専門家と考える自然災害時の施設のリスクと備えを学ぶセミナー」が開催され、野口 英一氏(戸田中央医科グループ災害対策室長)が「自然災害時の社会的重要インフラ機能障害と対応策-業務機能継続の観点から-」について講演した(主催:全国石油商業組合連合会)。

電気復旧、早くても714日は要する

 気象庁が公開する、気象庁震度階級関連解説表(震度階とライフライン・インフラ等への影響1))には、『震度5弱程度以上の揺れがあった地域では、停電が発生することがある』と、統計的データに基づいた内容が示されている。

 これを踏まえ、野口氏は過去の事例として、1995年に発生した阪神淡路大震災時の診療機能に係る被害状況(診療可能状況 神戸市内等182病院)2)を提示。「震災当日は手術や人工透析など、水道設備が必要な部門ほど対応に苦慮していた」と当時を振り返り、診療機能の低下要因として、上水道や電気、そしてガスの供給不能を挙げた。

 当時は水道や都市ガスの完全復旧に約2ヵ月以上も要した。それに比べ、電気は震災後7日目に復旧するという目を見張る早さだったという。しかし、ほかの災害時にも同様の復旧が見込めるわけではなく、たとえば、201910月に発生した台風19号による被害では、電気の復旧に約2週間も要している。このことから、同氏は「阪神淡路大震災当時は電力会社の活躍が大きかった。しかし、ほかの震災では電力不足が一番の問題であった」と述べ、災害時に備えて「復旧までの期間は自家発電装置活用による施設ごとの対応が重要」と強調した。

医療機器を稼働させるのに必要な電力量は?

 災害時に電力が必要な医療活動はさまざまあるが、とくにトリアージや救急患者の手術などが優先活動として挙げられる。同氏は「トリアージには1kVA、救急患者手術には30kVA、救急患者入院には12kVAの電力を要する」とし、この状況下で利用される医療機器について「シリンジポンプは家電製品と同レベルの消費電力なので問題ないが、X線の平均消費電力は医療機器で最も高く、IH調理器の約12倍に相当する。」とコメント。一方で、被災者や入院患者の状態に最も影響するのは空調設備であるものの、「これが一番制限されてしまう」と述べた。

発電に必要なのは石油

 災害時の電力供給に重要な役割を担うのが自家発電装置であるが、これを稼働させるには石油の備蓄も重要である。仮に自家発電装置で72時間も電力を持続させるには、施設内に大型の石油保管用地下タンクが必要となる。都市部で地下タンクの設置は厳しいため、最寄りの石油販売業者から取り寄せなければならないが、これに対し同氏は「東日本大震災時は石油出荷拠点のほとんどが被災し、出荷不可能な日が続いた」と述べ、「災害時の石油需要は医療施設だけではない。緊急車両や災害対応車両用、避難所の給油・暖房用としてもニーズがある。医療施設には給油の優先ルールがないため、本来であれば自施設での72時間分の燃料備蓄が望まれる。しかし、消防法の規制などで備蓄が難しい場合には、外部から確実に調達できる方法が必要であり、そのためには日頃から地域の石油販売業者との関係性が大切」と、罹災に備えた地域交流の重要性を訴えた

緑茶をよく飲む人は長生きできる?

緑茶をよく飲む人は健康で長生きできる可能性が高いことを示唆する大規模研究の結果が報告された。中国医学科学院のXinyan Wang氏らが10万人超の中国の成人を対象に実施した研究で、緑茶を週3回以上飲んでいた人では飲む習慣がない人に比べ、心筋梗塞や脳卒中になる率が低く、50歳の時点での余命も約1年長いことが明らかになったという。研究結果の詳細は、「European Journal of Preventive Cardiology18日オンライン版に掲載された。

 この研究は、中国における動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクの予測を目的とするプロジェクト(China-PAR)に登録された中国の成人を対象にしたもの。解析の対象となった10902人は、研究開始時に心血管疾患やがんに罹患していなかった。研究チームは質問票を用いて、対象者の飲茶習慣のほか、生活習慣や病歴などに関する情報を集めるとともに、体重、血圧、コレステロール値を測定し、緑茶の摂取量と心血管疾患および全死亡リスクとの関連を調べた。

 中央値で7.3年に及ぶ追跡期間中に、心筋梗塞や脳卒中などのASCVDイベントが3,683件生じた。緑茶を週3回以上飲む人は、まったく飲まない人や飲む回数が週に3回未満の人に比べ、心疾患や脳卒中の発症リスクが20%低く、致死的な心疾患や脳卒中による死亡リスクが22%低く、全死亡リスクが15%低かった。さらに、緑茶を週に3回以上飲む人では50歳の時点で、冠動脈心疾患や脳卒中を発症するまでの期間が1.41年長く、余命も1.26年長いことも明らかになった。

 これらの結果を踏まえWang氏らは、「緑茶、紅茶、白茶はいずれも同じチャノキに由来するが、紅茶に比べると緑茶はフラボノイドと呼ばれる抗酸化物質の含有量が多い。また、実験では、緑茶抽出物が炎症を鎮め、血管および心臓の細胞の機能を向上させることも示されている」と説明している。

 これまで多くの研究で、緑茶は健康的なコレステロール値や体重、心疾患および一部のがんのリスク低減と関連することが示されてきた。しかし、今回の研究も含め、いずれも観察研究であり、緑茶自体にベネフィットがあることを証明するものではない。

 米セントルイス大学のWhitney Linsenmeyer氏は、今回の研究では食事全般、運動習慣、喫煙、教育レベルなどが考慮されているが、「それでもあらゆる因子をコントロールすることは不可能だ」と研究の限界を指摘する。その一方で、同氏は「緑茶による健康効果はさまざまな国における研究で多数報告されており、臨床試験によるエビデンスもいくつか存在する」と述べ、イラン人女性を対象にした最近の研究で、緑茶を1日に3杯飲んだ群では、8週間にわたり体重、血圧、血糖値、コレステロール値の改善が認められたことを例に挙げている。

 こうした状況を踏まえLinsenmeyer氏は、「緑茶は抗酸化物質が豊富なノンカロリーの飲料であり、好きな人はどんどん飲むべきだ」と話す。ただし、カフェインが含まれているため、相互作用を起こす薬を飲んでいる人や不眠症の人は注意が必要である。

 一方、Academy of Nutrition and DieteticsAND)の元代表であるConnie Diekman氏も、現時点で緑茶に何らかの疾患を予防する効果があるとは言い切れないとしつつ、「少なくとも緑茶に害はないため、カロリーのない水分補給として積極的に飲むことを勧めている」と話している。

[202019/HealthDayNews]

お腹の脂肪が心筋梗塞の再発リスク増加と関連

一度心筋梗塞を発症した患者は、腹部の脂肪が多いと、再度心筋梗塞を起こしやすいとする研究結果が、「European Journal of Preventive Cardiology121日オンライン版に掲載された。

 腹部肥満により初回の心筋梗塞リスクが上昇することはこれまでの研究で明らかにされていたが、今回の研究では、2度目のリスクも高まることが示された。研究論文の著者であるカロリンスカ大学病院(スウェーデン)のHanieh Mohammadi氏は、「予防薬をきちんと飲んでいても、あるいは血液検査の結果が正常値でも、心筋梗塞や脳卒中の予防のためには標準的な腹囲を維持することが重要だ」と述べている。

 この研究は、初回の心筋梗塞を起こしたスウェーデンの患者22,882人(男性16,950人、女性5,932人)を対象に、腹部肥満と心血管イベント再発との関連を追跡調査したもの。追跡期間の中央値は3.8年だった。なお、心血管イベントとは、致死的・非致死的な心筋梗塞や脳卒中など動脈血栓により引き起こされたものとし、また、腹部肥満は、腹囲が男性では94cm以上、女性では80cm以上と定義した。対象者の大半(男性の78%、女性の88%)は、腹部肥満であった。

 その結果、腹部肥満は、喫煙、糖尿病、高血圧、コレステロール、BMIといった他のリスク因子とかかわりなく、致死的・非致死的な心筋梗塞や脳卒中と独立して関連することが明らかになった。

 また、心筋梗塞の再発リスクは、女性よりも男性で高かった。Mohammadi氏らはこの点について、今回の研究では女性の数が少なかったため、このリスク差を説明するには研究を重ねる必要があるとした上で、可能性のある理由として、女性の腹部肥満は大半が比較的害の少ない皮下脂肪によるものであるのに対し、男性の腹部肥満の多くは有害な内臓脂肪によるものである可能性があることを挙げている。

 腹部脂肪が危険であるのは、高血圧、高血糖、糖尿病、コレステロール値の上昇など、動脈血栓を促進させる症状に関連するためだとMohammadi氏は説明する。しかし、今回の研究では、腹部肥満自体が独立したリスク因子であることが示された。「つまり、腹部肥満にはまだ知られていない有害なメカニズムが存在する可能性があるということだ」と同氏は指摘する。

 Mohammadi氏は「腹部肥満には、健康的でバランスの取れた食事と定期的な運動によって対処できる」と述べる。また、再発リスクの高い心筋梗塞患者を特定するために、臨床現場で腹囲を測定することも勧めている。

 今回の報告を受け、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)心臓病学教授のGregg Fonarow氏は、「体重を落とすだけで心筋梗塞の再発リスクを低減できるとは言い切れない。心筋梗塞を起こしたことがある患者が、腹部脂肪を減らすことで再発リスクを下げることができるのかどうかは、臨床試験で検証していく必要がある」と指摘している。

 一方、この研究の付随論評を執筆した、サンタ・クルス病院(ポルトガル)のDaniel Matos氏は、「現在のところ、減量や食事と生活習慣の改善以外に腹部肥満を標的とする治療法はない。しかし、将来的に肥満解消に有効な治療法が開発されれば、心筋梗塞後の患者の転帰を改善できる可能性がある」と話している。

[2020121/HealthDayNews]



ベンゾジアゼピンやZ薬と認知症リスク

高齢化とともに、ベンゾジアゼピン(BZD)やZ薬の使用は大幅に増加する。しかし、BZDZ薬は、認知症発症リスクに対する懸念事項となっている。台湾・国立陽明大学のLi-Yen Tseng氏らは、BZDZ薬の半減期や併用を考慮し、その後の認知症発症リスクを評価するためコホート研究を実施した。Neurotherapeutics誌オンライン版2019124日号の報告。

 対象は、台湾の全民健康保険研究データベースより抽出した、200312年に経口BZDまたはZ薬を新規で処方された65歳以上の高齢者。すべてのBZDは、さらなる比較を行うため、長時間作用型(20時間以上)または短時間作用型(20時間未満)に分類した。データは四半期ごとに集計した。薬剤の処方開始日から、死亡、認知症発症またはフォローアップ期間終了(20121231日)のいずれか早いものまでを集計期間とした。フォローアップ期間中に発生した、血管性認知症を除くすべての認知症イベントを特定した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者は、26502例。
・短時間作用型BZD(調整オッズ比[aOR]1.9895%信頼区間[CI]1.892.07)およびZ薬(aOR1.7995CI1.681.91)の使用患者は、長時間作用型BZDaOR1.4795CI1.371.58)の使用患者よりも認知症リスクが高かった。
BZDまたはZ薬を2つ以上併用した患者は、これらの薬剤の単剤使用患者よりも認知症リスクが高かった(aOR4.7995CI3.955.81)。

 著者らは「BZDZ薬の使用は、認知症発症リスクを増加させる。とくに、短時間作用型BZDZ薬および併用は注意が必要である。これらの結果を明確にするためにも、さらなる介入研究が求められる」としている。

1日4杯のコーヒーで体脂肪が減少

もし、あなたの今の目標が「やせること」であるなら、コーヒーを飲むと良いかもしれない。コーヒー摂取によって体脂肪が減る可能性があるとする新たな研究が報告された。詳細は「American Journal of Clinical Nutrition1231日オンライン版に掲載された。

 この研究は本来、コーヒーがインスリン抵抗性を改善し得るか否かを検討することが目的だった。シンガポール国立大学のDerrick Johnston Alperet氏らは、3569歳の過体重の成人126人をランダムに2群に分け、1群は1日に4杯のカフェイン入りインスタントコーヒーを摂取する群(62人)、他の1群はプラセボを摂取する群(64人)として24週間介入。その結果、グルコースクランプ法で評価したインスリン感受性は群間差が見られなかった(P0.53)。

 ところが意外なことに、24週間後の体脂肪量はコーヒー摂取群がプラセボ群よりも-3.7%有意に低い値だった(P0.006)。この変化についてAlperet氏は、「脂肪の減少は食生活や運動などの、いわゆるライフスタイルが変更された影響によるものではないようだ」と述べている。同氏は、コーヒー摂取による体脂肪の減少は、カフェインが代謝プロセスを亢進させた結果と考えており、それによってコーヒーを摂取していない状態に比べてより多くのエネルギーが燃焼され、体脂肪の減少につながった可能性を考察している。

 では、カフェイン入りコーヒーを14杯、長期間飲み続けることにリスクはないのだろうか。この点について同氏はリスクでないと考えている。このくらいの量はこれまでに報告されてきた研究の標準的な量であり、多くの報告から、米国では平均的に14杯、ヨーロッパでは平均17杯のコーヒーが摂取されていると見られるという。

 一方、栄養と食事のアカデミー(AND、旧米国栄養士会)の元理事長のConnie Diekman氏は、「この研究で用いられた14杯のコーヒーという量はかなり多くお勧めできない」と述べている。「カフェイン摂取が多いと食欲が抑制される可能性がある。さらに、過剰なカフェイン摂取は全身に影響し、頭痛、いらいら感、心拍数の増加、胃の不調の原因となる」という。Alperet氏もこの注意点については同じ考えで、「現在コーヒーを飲んでいない人がこれから14杯飲もうとする場合は、他の飲食物や薬剤によるカフェイン摂取量を考慮しなければならない」としている。

 論文をレビューした米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのLona Sandon 氏によると、「コーヒー、より具体的にいえばカフェインが食欲や体脂肪に何かしらの影響を及ぼす可能性は長年にわたり注目されている。しかし、体脂肪をどのように減らすのか、その正確なメカニズムについては今も議論が続けられている」という。

 Sandon氏は、仮にコーヒーが体脂肪を減少させることが証明されたとしても、半年間飲み続けてわずかしか減少しないことから、過度な期待はすべきではないと指摘した上で、「体組成を変えるには、ゆるやかなエネルギー摂取制限に適度の運動プログラムを併用する方が効果的。コーヒーを1日数杯飲んだからといって、過剰に溜まった体脂肪がすぐになくなるわけではない」と語っている。

[2020113/HealthDayNews]

プロバイオティクスのネット情報は信頼できる?

 健康や医療に関する情報の収集に、いまやインターネットは欠かせない手段となっている。だが、ネット上の健康情報はどの程度まで信頼できるものなのだろうか。ブリュッセル自由大学(ベルギー)免疫学教授のMichel Goldman氏らが行った研究から、プロバイオティクスに関するオンライン情報の多くは科学的根拠に基づくものではなく、それらは慎重に解釈する必要があることが示された。研究結果の詳細は「Frontiers in Medicine115日オンライン版に掲載された。

 Goldman氏らは今回、「プロバイオティクス」のキーワードでGoogle検索して表示されたウェブサイトのうち、検索順位が150位までのページの情報を精査。情報を裏付ける科学的根拠の有無やそのエビデンスレベルを評価した。

 その結果、ウェブサイトのほとんどは、プロバイオティクス製品の販売を目的とした商用サイトか、ニュースサイトや健康情報のリンクを集めたポータルサイトであった。また、その多くはプロバイオティクスの有益性について言及していたが、情報の信頼性は低く、必ずしも科学的根拠で裏付けされたものではないことが分かった。プロバイオティクス製品による副作用の可能性について述べているウェブサイトは、全体の4分の1に過ぎなかったという。

 以上から、Goldman氏は「われわれの研究結果から、プロバイオティクスの有益性に関するオンライン情報の多くは、科学的根拠に基づいたものではないことが示された」と結論づけている。

 プロバイオティクスとは、ヨーグルトなどの発酵食品や栄養補助食品に含まれる「善玉菌」のこと。プロバイオティクスには消化を助け、病原菌と闘い、ビタミンの合成を助ける働きがあると言われている。また、Goldman氏によれば、食物アレルギーの脱感作療法の補助のほか、湿疹、女性の尿路感染症や性器感染症の一部にも効果があるという。しかし、同氏らは今回の研究で、「“プロバイオティクスはがんに効く”など、科学的根拠のない大げさな主張をするサイトも見られた」と注意を促している。

 一方でGoldman氏らは今回、Google検索では、一般的な商用のウェブサイトよりも、情報源の信頼性が比較的高いウェブサイトのほうが上位に表示される傾向がみられたとしている。

 しかし、「そうであっても、消費者はオンラインの健康情報の信頼性には気をつける必要がある」とGoldman氏は強調する。その上で、「医師が扱う処方薬と比べて規制が緩いプロバイオティクス製品や市販薬については、査読のある医学雑誌に掲載された論文などのエビデンスに基づくものか否かを調べる必要がある。また、主治医に、プロバイオティクスを摂取したほうがよいかどうかを尋ねるのもよい」と同氏は付け加えている。

 専門家の一人で、米ノースウエスタン大学オッシャー統合医療センターのエグゼクティブディレクターを務めるMelinda Ring氏は、「特に自然食品や栄養補助食品の分野では、商業ベースの信頼性の低い情報が圧倒的に多い」ことを問題視している。

 Ring氏は、腸内細菌叢のバランスを整えるためには、まず食生活を改善し、野菜や果物、精製されていない穀類を積極的に食べることを勧めている。もしプロバイオティクス製品を摂取するのであれば、「評価の高いブランドの製品を選び、腸内細菌叢の多様性を保つため2種類以上のプロバイオティクスを摂取するのがよい」と同氏は助言している。

[2020115/HealthDayNews]