統合失調症の治療反応とグルタミン酸およびGABAレベルとの関連

ドパミン作動性抗精神病薬に対する治療反応不良は、精神疾患の治療における大きな課題であり、初発時に治療反応不良患者を特定するマーカーが求められている。これまでの研究で、初発時の治療反応不良患者では治療反応患者と比較し、グルタミン酸(Glu)およびγ-アミノ酪酸(GABA)レベルが増加していることがわかっている。しかし、健康対照群の参照レベルを用いて、治療反応不良患者を特定できるかはよくわかっておらず、デンマーク・コペンハーゲン大学のKirsten B. Bojesen氏らが検討を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019916日号の報告。

 抗精神病薬未使用の初回エピソード精神疾患患者群39例、マッチさせた健康対照群36例を対象に、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および3T磁気共鳴分光法を用いて、繰り返し評価を行った。Glu/総クレアチニン(Cr)レベルは、前帯状皮質(ACC)および左視床で測定し、GABA/CrレベルはACCで測定した。6週間後、アリピプラゾール単独療法患者群32例および健康対照群35例を再検査し、26週間後に、自然主義的な抗精神病薬治療患者群30例および健康対照群32例を再検査した。治療反応不良の定義には、Andreasenの基準を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・治療前では、患者群全体において視床におけるGlu/Crレベルが高かったが、治療後には正常化した。
ACCにおけるGlu/CrおよびGABA/Crレベルは、すべての評価時で低く、治療による影響は認められなかった。
・健康対照群と比較すると、6週目(19例)および26週目(16例)の治療反応不良患者は、ベースライン時の視床におけるGlu/Crレベルが高かった。
・さらに、26週目の治療反応不良患者は、ベースライン時のACCにおけるGABA/Crレベルが低かった。
・治療反応患者と健康対照群では、ベースライン時のレベルに違いは認められなかった。

 著者らは「抗精神病薬未使用の精神疾患患者におけるGlu作動性およびGABA作動性の異常は、抗精神病薬に対する治療反応不良を引き起こすと考えられる。このことは、初回エピソード精神疾患患者の臨床的予後を予測するために役立つ可能性がある」としている。

変形性膝関節症、spriferminが膝関節軟骨の厚みを増加/JAMA

症候性変形性膝関節症患者では、6もしくは12ヵ月ごとのsprifermin100μgの関節内注射により、2年後の大腿脛骨関節軟骨の厚みがプラセボに比べ統計学的に有意に増加することが、米国・メリーランド大学のMarc C. Hochberg氏らが行ったFORWARD試験で示された。研究の成果は、JAMA2019108日号に掲載された。spriferminは、組み換え型ヒト線維芽細胞成長因子18であり、関節内に注射する変形性関節症の疾患修飾薬として研究が進められている。変形性膝関節症ラットモデルでは、硝子軟骨を産生する関節軟骨細胞の増殖を誘導し、in vitroおよびex vivoで硝子細胞外基質の合成を促進することが示され、膝関節軟骨の厚さを増加させると報告されている。

用量を決定する5年間のプラセボ対照無作為化第II相試験

 本研究は、症候性変形性膝関節症患者におけるspriferminの用量を決定する5年間の二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験であり、10施設の参加のもと、20137月~20145月の期間に患者登録が行われた(MerckおよびEMD Serono Research Instituteの助成による)。

 対象は、年齢4085歳、X線画像で確定された症候性の変形性膝関節症(内側、外側またはこれら両方のコンパートメント)で、Kellgren-Lawrence分類のGrade2/3、内側の最小関節腔幅2.5mm以上、膝関節痛が6ヵ月以上持続し、スクリーニング前の1ヵ月間の半分以上の日数で鎮痛薬を要する症状が認められた患者であった。

 被験者は次の5つの群に無作為に割り付けられた。(1sprifermin100μg6ヵ月ごとに投与(110例)、(2)同量を12ヵ月ごとに投与(110例)、(330μg6ヵ月ごとに投与(111例)、(4)同量を12ヵ月ごとに投与(110例)、(5)プラセボを6ヵ月ごとに投与(108例)。各治療サイクルでは、毎週1回、3週間の関節内注射が行われた。試験期間は5年であり、2年と3年時にアウトカムの評価が行われた。

 主要エンドポイントは、ベースラインから2年後の定量的MRI測定による大腿脛骨関節軟骨の厚みの変化とした。副次エンドポイントは、Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis IndexWOMAC:患者の主観的な健康関連QOLの評価法、010点、点数が高いほど不良)の総スコアのベースラインから2年後までの変化などであった。

WOMAC総スコアに有意な変化はない、臨床的重要性は不明

 549例(年齢中央値65.0歳、379例[69.0%]が女性)が登録され、474例(86.3%)が2年間のフォローアップを完遂した。sprifermin群の18.4%(81/441例)およびプラセボ群の25.9%(28/108例)が2年以内に治療を中止し、それぞれ12.2%および19.4%が試験を中止した。Kellgren-Lawrence重症度分類のGrade269%であった。

 ベースラインから2年後の大腿脛骨関節軟骨の厚みの変化は、プラセボ群(-0.02mm)と比較して、sprifermin100μg6ヵ月ごと投与群は0.05mm95%信頼区間[CI]0.030.07)、100μg12ヵ月ごと投与群は0.04mm0.020.06)増加し、いずれも有意差が認められたが、30μg6ヵ月ごと投与群は0.02mm(-0.010.04)、30μg12ヵ月ごと投与群は0.01mm(-0.010.03)の増加であり、有意差はみられなかった。

 ベースラインから2年後のWOMAC総スコアの変化は、プラセボ群に比べて、sprifermin4つの投与群のいずれにおいても、統計学的に有意ではなかった。同様に、WOMAC3つの下位尺度(疼痛、身体機能、こわばり)についても、有意な変化は認めなかった。また、鎮痛薬の使用にも、プラセボ群と4つのsprifermin群の間に有意な差はみられなかった。

 頻度の高い治療関連有害事象は、筋骨格系/結合組織疾患(関節痛、背部痛)、感染(上気道感染、鼻咽頭炎)、血管疾患(高血圧)、神経系疾患(頭痛)であり、最も頻度が高かったのは関節痛(プラセボ群:43.0%、100μg6ヵ月ごと投与群:41.3%、100μg12ヵ月ごと投与群:45.0%、30μg6ヵ月ごと投与群:36.0%、30μg12ヵ月ごと投与群:44.0%)だった。

 著者は「100μg6および12ヵ月投与群は、プラセボ群よりも統計学的に有意に大腿脛骨関節軟骨の厚みを改善したが、その臨床的な重要性や奏効の持続性については不明である」としている。

魚類や多価不飽和脂肪酸摂取と産後うつ病リスク~JECS縦断研究

妊婦は、胎児の成長に必要なn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)のレベルを高める必要がある。母親の魚類やn-3 PUFAの摂取が、産後うつ病リスクを低下させることを示唆するエビデンスが報告されているが、その結果に一貫性はない。富山大学の浜崎 景氏らは、日本人女性における妊娠中の魚類やn-3 PUFAの摂取と産後うつ病リスクとの関連について調査を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019919日号の報告。

 日本人集団において、出産後6ヵ月までの母親の産後うつ病リスクおよび1年間の重篤な精神疾患リスクの低下に、妊娠中の魚類やn-3 PUFAの食事での摂取が関連しているかについて調査を行った。JECS(子どもの健康と環境に関する全国調査)の103,062件のデータより除外と重複処理を行った後、出産後6ヵ月は84,181人、1年間は81,924人について評価を行った。リスク低下の評価には、多変量ロジスティック回帰および傾向テストを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

6ヵ月間では、産後うつ病リスクの低下が認められ(魚類およびn-3 PUFA摂取の五分位:第2~第5五分位)、傾向テストでも有意な線形関連が認められた。
1年後では、重篤な精神疾患リスクの低下が認められ(魚類の五分位:第2~第5五分位、n-3 PUFAの五分位:第3~第5五分位)、傾向テストでも有意な線形関連が認められた。

 著者らは「魚類やn-3 PUFA摂取量の多い女性では、出産後6ヵ月間の産後うつ病リスクおよび1年間の重篤な精神疾患リスクの低下が認められた」としている。

日本で広域抗菌薬が適正使用されていない領域は?

抗菌薬の使用量は薬剤耐性と相関し、複数の細菌に作用する広域抗菌薬ほど薬剤耐性菌の発生に寄与する。日本の抗菌薬使用量は他国と比べ多くはないが、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライドといった経口の広域抗菌薬の使用量が多い。AMR臨床リファレンスセンターは924日、11月の「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」を前にメディアセミナーを開催。日馬 由貴氏(AMR臨床リファレンスセンター 薬剤疫学室室長)、具 芳明氏(同 情報・教育支援室室長)らにより、最新の使用量データや市民の意識調査結果が報告された。

2020年までに“経口の広域抗菌薬半減”が目標

 国主導の「AMR対策アクションプラン」は、2013年比で2020年までに(1)全体で抗菌薬を33%減少、(2)経口の広域抗菌薬を半減、(3)静注薬を20%減少、を目標として掲げている1)。実際の使用量データをみると、人口千人当たりの1日抗菌薬使用量は、2013年と比較して2018年で10.6%減少している。このうち、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライドはそれぞれ1718%ほど減少がみられる。

 一方で、内服用抗菌薬と静注用抗菌薬に分けてみると、この減少は内服用抗菌薬によるもので、静注用抗菌薬の使用量は全く減っていない。日馬氏は、「全体として目標達成にはさらなる努力が必要だが、とくに静注用抗菌薬の使用削減については今後の課題」とし、その多くが高齢者で使用されていることを含め、効果的な介入方法を探っていきたいと話した。

本来不要なはずの処方にかかる費用の推計値は年10億円超

 非細菌性急性上気道炎、いわゆるかぜには本来抗菌薬は不要なはずだが、徐々に減少しているものの、2017年のデータでまだ約3割の患者に処方されている。セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライドがその大部分を占め、費用に換算すると年10億円を超えると推定される2)。非細菌性急性上気道炎への抗菌薬処方率を患者の年齢別にみると、1929歳で43.26%と最も高く、次いで3039歳が42.47%であった。日馬氏はまだ推測の域を出ないとしたうえで、「就労世代でとくに使われがちということは、仕事を休めないなどの事情から患者側からの求めがあるのかもしれない」と話した。

 もう1領域、課題として挙げられたのが急性膀胱炎に対する抗菌薬使用だ。2016年のデータで、急性膀胱炎に対する抗菌薬処方はフルオロキノロンが52.4%と最も多く、第3世代セファロスポリンが38.9%と、広域抗菌薬がほとんどを占める2)。実際、日本のガイドラインではフルオロキノロンが第1選択になっている。しかし、欧米ではST合剤などが第1選択で、フルオロキノロンは耐性への懸念から第1選択薬としては推奨されていない。同氏は、「使用期間は長くないものの患者数が多いため、広域抗菌薬全体の使用量に対する寄与が大きい」とし、「必ずしも欧米との単純比較ができるものではないが、日本でも広域抗菌薬から狭域抗菌薬にスイッチしていく何らかの方策が必要ではないか」と話した。

薬剤耐性=体質の変化? 患者との認識ギャップを埋めるために

 AMR臨床リファレンスセンターでは、毎年市民を対象とした抗菌薬に関する意識調査を行っている。2019年はEU諸国でのデータとの比較などが行われ、具氏が最新の調査結果を解説した。「抗菌薬・抗生物質はかぜに効果がある」という項目に対して「あてはまらない」と正しく回答した人は35.1%、「あてはまる」と誤った認識を持っている人が45.6%に上った。EU28ヵ国で同様の質問をした結果は正しい回答が66.0%となっており、日本では誤った認識を持つ人が多いことが明らかとなった。

 「今後かぜで医療機関を受診した場合にどんな薬を処方してほしいですか?」という問いに対しては、31.7%の人が「抗菌薬・抗生物質」と回答。「だるくて鼻水、咳、のどの痛みがあり、熱は37℃、あなたは学校や職場を休みますか?」という問いには、24.4%が「休まない」、38.5%が「休みたいが休めない」と答えており、働き方改革が導入されたとはいえ、休みたくても休めない実情が明らかになっている。

 また、薬剤耐性という言葉の認知度について聞いた質問では、50.4%が「薬剤耐性、薬剤耐性菌という言葉を聞いたことがない」と回答している。「薬剤耐性とは病気になる人の体質が変化して抗菌薬・抗生物質が効きにくくなることである」という誤った回答をした人も44.3%存在した。具氏は、AMR臨床リファレンスセンターのホームぺージ上で患者説明用リーフレットの公開がはじまったことを紹介。「抗菌薬は必要ないと判断した急性気道感染症の患者に、医師が診察室で説明に用いることを想定したリーフレットなどを公開しているので活用してほしい」と話して講演を締めくくった。

症状がゆっくり進む心筋梗塞はより危ない

心筋梗塞や不安定狭心症などの急性冠症候群(ACS)の発症時に、症状の悪化が徐々に進行すると治療開始が遅れることが多いという報告が、「European Journal of Cardiovascular Nursing911日オンライン版に掲載された。

筆頭著者である米イリノイ大学のSahereh Mirzaei氏によると、ACSが発作的に発症する場合は急激かつ激しい痛みを感じるのに対して、そうでない場合はまず軽微な不快感が生じ徐々にそれが悪化するが、どちらも迅速な対応が必要な緊急事態であるという。

特に後者のケースでは、救急要請に時間を要する結果、死亡リスクが高くなる可能性もあると警告している。

 Mirzaei氏らの研究グループは、米国内多施設の救急部門でACSの治療を受けた474人のデータを解析した。対象者の平均年齢は61.68±11.94歳で男性が72.65%を占め、病型はST上昇型心筋梗塞(STEMI;冠動脈が完全に閉塞するタイプの心筋梗塞)が24.89%、非ST上昇型心筋梗塞(冠動脈の閉塞が不完全なタイプの心筋梗塞)が52.95%、不安定狭心症(心筋梗塞の高リスク状態)が22.15%であった。

 対象者のうち発症が急激だった患者は55.77%で、緩徐だった患者は44.23%だった。治療の緊急度がより高いSTEMIに限って見ても、急激な発症は56.52%であり、43.48%は緩徐な発症だった。

 症状の発現から病院到着までの所要時間の中央値は4時間であり、急激に発症した群は2.57時間、発症が緩徐だった群は8時間で、群間に有意差があった(P0.01)。

病院への移動手段として救急車を利用することは、治療開始までの所要時間の短縮と関連していた。しかし、対象患者のうち救急要請をしたのは44.6%と半数足らずで、STEMIに限っても56.3%にとどまった。その他、保険に未加入の患者は救急要請が遅いことも分かった。

 ACSは発症後2時間以内に治療を開始することが推奨されており、治療開始が遅れるほど死亡リスクが高まり転帰不良となる。Mirzaei氏は、「今回の検討でも半数近くの患者が緩徐な発症であったことから分かるように、そのような発症パターンは珍しいことではない。

しかし胸痛や胸部の不快感は冠動脈閉塞の警告であり、直ちに救急要請の連絡をすべき」と述べている。

 本研究では、急激に発症した男性STEMI患者のうち54%は発作が起きる前に、走る、階段を上がる、雪かきをするなどの運動をしていたことが分かり、それが発作の誘因である可能性が考えられた。

これに関連してMirzaei氏は、「虚血性心疾患を有する場合、または高血圧や糖尿病、高コレステロール血症、心疾患の家族歴などのリスク因子が複数ある場合には、運動後の胸痛や不快感が心筋梗塞の症状の可能性があることを意識しておくべき」とし、喉、首、背中、胃、肩の痛みなどの放散痛や、吐き気、冷や汗、だるさ、恐怖感といった併発症状など、心筋梗塞の症状の特徴と多様性を解説。

このような場合はすぐに救急要請すべきであり、「治療開始が早いほど予後は良い」とまとめている。

[2019912/HealthDayNews

以下は「ゆでガエル」逸話の一般的な定義です。

熱いお湯にカエルを入れると驚いて飛び跳ねる。 ところが常温の水にいれ、徐々に熱していくとその水温に慣れていく。 そして熱湯になったときには、もはや跳躍する力を失い飛び上がることができずにゆで上がってしまうというのです。」

このような危険性を示しているのではないでしょうか。

オピオイド蔓延により感染性心内膜炎が倍増

米国でオピオイド蔓延により生じた重大な問題は、依存症と過剰摂取による死亡だけではない。感染性心内膜炎と呼ばれる心臓の感染症も警戒を要する上昇率をみせていることが、米クリーブランド・クリニック循環器内科のSerge Harb氏らの研究により示された。

同氏らが、感染性心内膜炎患者約100万人のデータを分析したところ、20022016年の間に薬物乱用に関連した感染性心内膜炎の発症率は2倍になっていたという。詳細は「Journal of the American Heart Association918日オンライン版に掲載された。

 感染性心内膜炎は心臓の内側の組織(心内膜)に細菌が付着することで生じる感染症で、脳卒中や心臓弁膜症、心不全、弁周囲膿瘍につながる恐れがある。

Harb氏らによると、米国において感染性心内膜炎は、2002年に1万人当たり18人の発症だったのが、2016年には1万人当たり29人の発症に増加している。主なリスク因子は薬物乱用であるが、薬物乱用の有無にかかわらず、死亡率は1030%と高い。

 Harb氏らは、National Inpatient SampleNIS)の20022016年のデータから抽出した感染性心内膜炎患者約100万人を対象に、後ろ向きコホート研究を実施。米国での薬物乱用に関連した感染性心内膜炎発症の推移や地理的分布、患者の特徴や転帰を調べた。

 その結果、薬物乱用に関連した同疾患の割合は、2002年の8%から2016年には16%と2倍になっていたことが分かった。最も増加率が高かったのは中西部で、毎年5%近く上昇していた。

 発症例が最も多かった年齢の中央値は、地域により37歳から41歳までの幅があったが、その大部分は白人男性で、多くがHIVC型肝炎ウイルスに感染していたり、アルコール依存症だったりしたという。

また、これらの患者のうち、42%は所得四分位階級の最も低い階級に属し、45%は低所得層向けの医療保険メディケイドに加入していた。さらに、薬物乱用に関連した感染性心内膜炎患者は、薬物乱用のない患者に比べ、入院期間が長く、心臓手術を受ける確率も高かった。ただし、大半は若いため、死亡例は少なかったという。

 こうした結果を受け、Harb氏は、「オピオイド蔓延に対処するためには、全国規模で公衆衛生対策を展開するとともに、地域でもリスクの高い患者に特化した対策を行っていくことが必要だ」と指摘。

また、薬物に関連した感染性心内膜炎に対する適切な治療は治療計画の一部に過ぎず、「患者を治療し再発を防ぐには、患者が依存症を克服するのを手助けし、社会的支援を提供し、有効なリハビリテーションプログラムに参加させることが重要だ」と述べ、心臓専門医、感染症専門医、心臓外科医、看護師、依存症治療の専門家、ケースマネージャー、ソーシャルワーカーなどから成るチームで対応していく必要性を説いている。

 一方、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の心臓学教授のGregg Fonarow氏は、「米国では感染性心内膜炎に関連した薬物乱用も増加している。

この事実は、米国におけるオピオイド蔓延の破壊的な影響を浮き彫りにするとともに、この深刻な公衆衛生問題に対し徹底した努力が必要である理由をも明らかにしている」と述べている。

[2019918/HealthDayNews]



感染性心内膜症を引き起こすメカニズムを広義的に推察すると、その症状等から推測されるように、これはつまり身体免疫力の異常と考えられるのではないでしょうか。

本来心臓の内膜に細菌が入り込む前に正常な免疫システムは働いているのであれば、身体に入り込んだ細菌は臓器のような深部まで到達する前段階で駆逐される事が正常な免疫システムだと思いますが

「オピオイド系」薬品の依存状態は、その身体免疫システムに何らかの悪影響を及ぼす可能性があるという事のようです。

新生児の腸内細菌叢に分娩方法が影響か

新生児の腸内細菌叢に分娩方法が影響することが新たな研究で示唆された。

研究を実施した英ウェルカム・トラスト・サンガー研究所のTrevor Lawley氏らによると、帝王切開で生まれた子どもの腸内細菌は、その子どもが生まれた病院内で見られる細菌を反映したものであったのに対し、経腟分娩で生まれた子どもの腸内細菌の組成は母親の腸内環境に類似していたという。詳細は「Nature918日号に掲載された。

 Lawley氏らは今回、英国の病院で経腟分娩または帝王切開で生まれたおよそ600人の健康な新生児および175人の母親から便を採取し、そこから得た1,679サンプルの腸内細菌について、DNAシークエンシングとゲノム解析を用いて調べた。新生児の糞便試料は、生後4721日目に採取したほか、数例では1歳まで採取した。

 その結果、経腟分娩で生まれた子どもの腸内細菌叢は、帝王切開で生まれた子どもの腸内細菌叢に比べ、母親の腸内細菌叢に由来する常在細菌が豊富であることが分かった。

Lawley氏は「新生児の腸内細菌叢の遺伝情報を解析した研究としては最大規模である今回の研究において、経腟分娩中に母親から子どもに細菌が受け継がれるなど、分娩方法が新生児の腸内細菌に大きな影響を与えることが分かった」と結果についてまとめている。

 ただし、Lawley氏らは「分娩方法が違っていても、1歳までには全ての子どもが類似した腸内細菌叢を持つようになる」と強調。また、出生時に見られた腸内細菌叢の違いが、長期的には健康にどのような影響を与えるかは不明だという。

 研究グループの一人で英バーミンガム大学のPeter Brocklehurst氏は「生後数週間は乳児の免疫系の発達に重要な時期だが、詳しいことはほとんど分かっていない」とした上で、「出生時の腸内細菌叢の違いがその後の健康問題をもたらすのかどうかを明らかにするため、この研究を長期的に追跡していく必要がある。

それによって、出生から間もない時期における腸内細菌叢の役割が解明され、健康的な腸内細菌叢の形成を促す治療法を開発できる可能性がある」と話している。

 また、今回の研究の上席著者である英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのNigel Field氏は「乳児は成長する過程で食べたり飲んだりしたものや、周囲のさまざまな物から細菌を取り込むため、腸内細菌叢も徐々に似通ったものになってくる。

離乳後には帝王切開で生まれた子どもと経腟分娩で生まれた子どもの腸内細菌叢の違いはほとんど見られなくなる」と説明している。

 一方、英国王立産婦人科医協会(RCOG)バイスプレジデントのAlison Wright 氏は、「帝王切開はほとんどの場合、命を救うための手術として実施されており、それが母子にとって最善の方法であると考えられる。

新生児における腸内細菌叢の役割や腸内細菌叢に影響を与える要因には不確かなことが多く、今回の研究結果を受け、必要な帝王切開までをも回避するべきではない」と話している。

[2019918/HealthDayNews]



経膣分娩においての新生児と母体の接触が、母体の腸内細菌を新生児に受け渡す大切な意味を持つという事実には驚かされます。

このことを考えると、帝王切開術における出産というものを省みることも重要な事なのかもしれません。(しかし、経膣分娩では新生児の生命の危機がある場合などの帝王切開術などはやもうえないことなのかもしれませんが…)

日本における認知症の重症度と社会的介護コスト

アルツハイマー病患者への直接的な社会的支援のコストは高まっており、高齢化に伴い、今後さらに増加し続けると予想される。藤田医科大学の武地 一氏らは、日本における長期介護保険でのアルツハイマー病に対する直接的な社会的支援のコストを推定するため、検討を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版201992日号の報告。

 本研究は、メモリークリニックを受診したアルツハイマー病患者または軽度認知障害患者169例に対し、長期にわたるフォローアップを行った横断的研究である。認知症の重症度、介護サービスの利用、コストについて分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・軽度、中等度、重度の認知症患者の間で、直接的な社会的支援の利用およびコストの有意な増加が認められた(p0.001)。
・とくに、デイサービスとショートステイサービスの利用は、認知症の重症度とともに増加が認められた(p0.001)。
・対象患者を長期介護保険の介護レベルで層別化した場合でも、同様の結果であった。
169例中49例は長期介護保険の申請をしていなかったが、要支援1と要介護1では、認知症の重症度に違いは認められなかった。
・申請しなかった群と申請および認定された群におけるロジスティック回帰分析では、認知症の重症度だけではなく、年齢(OR1.11295CI1.0371.193p0.003)、居住形態(OR0.25795CI0.0760.862p0.028)でも有意な差が認められた。

 著者らは「アルツハイマー病の患者数が増加するにしたがって、直接的な社会的コストも増加する。本研究は、アルツハイマー病の診断後に提供される直接的な社会的支援のタイプを標準化することや、費用対効果の高い介護の開発に役立つであろう」としている。

認知症における医療機関へのコストは大変なものですので、認知症には予防が一番というところでしょう。

認知症はアミロイドβが脳内に蓄積する事で悪化するとのこと。

睡眠を十分にとることによって脳内の髄液がそのアミロイドβを脳内から体外に洗い流してくれるようですし、また適度な血中インシュリン状態を保つことによってでもアミロイドβ分解酵素の働きによって血中アミロイドβも減少します。

十分な睡眠とバランスの取れた食事などは認知症の予防効果を高めてくれるようですのでお勧めです。

女性のオーガズムは「進化の名残」?

女性のオーガズムをめぐる謎の一端を解明したと、米イェール大学環境・進化学教授のGunter Wagner氏と米シンシナティ大学小児科学教授のMihaela Pavlicev氏らが「Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)」930日オンライン版に発表した。同氏らは、女性のオーガズムは進化の過程で、交尾において排卵を誘発する役割から生殖的な機能が失われていったとする仮説を、ウサギを用いた実験で検証できたとしている。

 Wagner氏らが指摘するように、男性にとって性交中のオーガズムには、射精を起こすという明確な生殖機能としての役割がある。しかし、女性ではオーガズムに達したか否かにかかわらず排卵がみられる。そのため、オーガズムの生殖機能における役割だけでなく、その存在そのものが長きにわたり、生理学的にも謎に包まれていたという。こうした中、同氏らは今回、ウサギを用いた実験で、この謎を解き明かすことができたと主張している。

 女性のオーガズムに重要な身体の部位である「陰核(クリトリス)」は、生殖を目的とした性交が行われる部位からは離れた場所に位置する。このことは、女性のオーガズムが謎に包まれている要因の一つであった。一方、Wagner氏らによると、ネコやウサギ、フェレットといった哺乳類動物では、雄と雌の生殖器が交わる経路上に陰核が存在し、交尾の際には陰核がより重要な役割を果たしている。また、雌のウサギでは陰核が刺激されてオーガズムに達すると排卵が促されることが知られているという。

 そこで、Wagner氏とPavlicev氏は、ヒトの進化の過程で女性の陰核の役割から生殖的な機能が失われ、快楽をもたらすホルモンを放出する機能のみが残ったという仮説を立て、それを検証するために雌のウサギを用いた実験を行った。

 この実験では、雌のウサギに抗うつ薬のfluoxetine(フルオキセチン、日本国内未承認)を2週間にわたり注射した。同薬にはオーガズムに達しにくくさせる作用があると考えられており、Wagner氏らは同薬を注射したウサギでは排卵が起こらなくなると予測した。

 Wagner氏らの予測は的中し、fluoxetineを注射したウサギでは、注射しなかったウサギと比べて交尾後の排卵の回数が30%減少したことが分かった。この結果を踏まえ、「ヒトにおいても遠い昔、女性のオーガズムは子孫を残す上で必要な役割を果たしていた可能性がある」と同氏らは述べている。

 なお、Wagner氏はイェール大学のニュースリリースの中で、「女性のセクシュアリティについて理解を深めることは重要だ」と指摘。また、フロイトなどの主張を発端に世間に広がった「オーガズムに達することのない女性は精神的に未熟」とする意見や、「パートナーに問題があるから女性はオーガズムに達することができない」とする意見の正当性が今回の研究によって否定されたとの見解を示している。

[2019930/HealthDayNews]



急性期抗うつ薬治療中に悪化しやすい患者像

適切な抗うつ薬治療を行っているにもかかわらず、症状が悪化するうつ病患者の割合を調査した研究は、これまでほとんどなかった。名古屋市立大学の明智 龍男氏らは、うつ病患者を含む多施設無作為化比較試験での抗うつ薬治療中における、うつ病悪化の割合とその予測因子について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版201999日号の報告。

 うつ病悪化の定義には、抗うつ薬治療中の急性期うつ病患者を評価するために用いた09週目までの総PHQ-9スコアを使用した。うつ病の悪化に対する潜在的な予測因子として、ベースライン時の人口統計学的および臨床的データ、03週目までのPHQ-9スコアの変化、3週時点での副作用を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

1,647例中99例(6.0%)で、うつ病の悪化が認められた。信頼性の高い変化指標基準を適用した場合、この割合は小さくなった。
・ロジスティック回帰分析により、以下の因子がうつ病の悪化と有意に関連していることが明らかとなった。
 ●初回うつ病エピソードの発症年齢が若い
 ●現在、高齢である
 ●03週目までのPHQ-9スコアの大幅な増加
・本研究の限界として、プライマリエンドポイントまでの期間が十分に長くなかった点、プラセボ群が含まれておらず、潜在的に関連する予測因子を包括的に調査できていない可能性がある点などが挙げられる。

 著者らは「少数の患者で、急性期の抗うつ薬治療中に、うつ症状を悪化させることがある。初回エピソードの発症年齢、現在の年齢、抗うつ薬治療での早期ネガティブレスポンスは、その後の症状悪化の有用な予測因子である可能性が示唆された」としている。

うつ病患者治療における臨床現場はその研究や治療法を考慮するために多忙を極めているとは思いますが、この「適切なうつ病治療」の定義は本当に効果的な方法だといえるのだろうか。