高齢者の転倒予防に「太極拳」が有効?

2018910HealthDayNewsより

高齢者の転倒予防には、筋力トレーニングやエアロビクスよりも太極拳の方が優れている可能性があることが、約600人の高齢者を対象に行ったランダム化比較試験などで明らかになった.


 米国では、年に高齢者の約28%が転倒を経験、5件のうち2件は救急受診や入院を必要とし、最悪の場合には死亡に至るとされる。

また65歳以上で転倒すると自立した生活が送れなくなったり、早期死亡や医療費の増大とダイレクトに関連する。

 太極拳は古代から伝わる中国武術の一種で、一定のリズムでバランスを取りながら一連のポーズを流れるように行うエクササイズともいわれている。論文著者の一人で米ウィラメット大学運動・健康科学科教授のPeter Harmer氏によると、太極拳による転倒リスクの低減効果については長年検討されてきたという。

 しかし、伝統的な太極拳には100種類以上の動きがあり、一般人が覚えるのは難しいのが現状

そこで、研究チームは転倒予防に関連した8種類の基本的な動きに絞った簡略版を開発。米オレゴン州に在住し、転倒の既往があるなど転倒リスクが高い70歳以上の高齢者670人(平均年齢77.7歳、女性65%)を対象に、太極拳プログラムを行う群または筋力トレーニングとエアロビクスを組み合わせた従来の運動プログラムを行う群、ストレッチのみを行う対照群の3つの群にランダムに割り付けて比較検討したそれぞれ60分の運動クラスを週に2回、24週間続けてもらった

 その結果、6カ月後の転倒の発生率は、ストレッチのみを行う対照群に比べて、太極拳を行った群では58%低かったのに対し、従来の運動プログラムを行った群では40%低いことが分かった。

また、太極拳を行った群では、従来の運動プログラムを行った群に比べて転倒の発生率は31%低いとのよう

従来の運動プログラムは前後方向の動きが中心なのに対し、太極拳ではあらゆる方向への動きが求められる。

論文の共著者で米オレゴン健康科学大学看護学部教授のKerri Winters-Stone氏は「転倒の起こり方はさまざまで予測できない。太極拳では体を重心の外側へ移動させ、また引き戻す動きを行う。そのため、太極拳を経験している人は転びそうになると、その動きに逆らって素早くバランスを取り戻せるのではないか」と説明している。

今回の結果からは、高齢者の転倒予防には太極拳が優れていることが示された。

しかし理学療法やリハビリテーションを専門とする米メイヨー・クリニックのNathan LeBrasseur氏は「転倒を予防するには従来の運動でも十分に有効であるため、筋肉トレーニングやエアロビクスを行っている人はぜひ続けてほしい」と話している。

Harmer
氏によると、転倒した経験のある人は、再び転ぶことを恐れて体を動かさなくなることも転倒のリスク因子であることが分かっているという。

「今回行った太極拳プログラムは、こうした負のサイクルを断ち切るのに適している」と同氏は話

LeBrasseur氏もこの考えに同意し、「高齢者は自分の健康のためには種類は問わず、もっと運動をすべきだ」と述べている。

太極拳のような運動は筋肉学的立場でいえばいわばそのフォームを表現するための「等速性」の筋収縮と筋弛緩になるのでしょう。

緩慢に動くことで自分の体を動かしている、筋収縮と筋弛緩を意識上に顕在させるというメリットもあるのでしょう。

呼吸にあわせて行うエクササイズでもあることから有酸素運動も期待されるし

その持続的動きを支えるために、ミトコンドリア活動によるエネルギー生成の「クエン酸回路」や「電子伝達系」をも働かせることになるので、より熱生産性が向上し、体脂肪燃焼も促進するという事にもつながります。

健康維持により貢献できるエクササイズの一つであると思いますので興味のある方は始められてはいかがでしょうか?

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長期PPI使用と認知症リスク

Clinical Pharmacology and Therapeutics誌オンライン版2019312日号の報告。

プロトンポンプ阻害薬(PPI)と認知症リスクの潜在的な関連性については、相反するデータが報告されている。

 台湾・国立台湾大学のShih-Tsung Huang氏らは、高齢者におけるPPI使用とその後の認知症リスクの関連について検討を行った。

 混合軌跡モデリング(group-based trajectory modeling)を用いて、3年以上の長期PPI使用に関して異なるグループを特定し、5年のフォローアップ期間におけるPPI使用と認知症との関連を調査した。

主な結果は以下のとおり。

1 PPIを使用した高齢者1533例を、短期使用群(7,406例、70.3%)、断続使用群(1,528例、14.5%)、長期使用群(1,599例、15.2%)の3群に分類した。

2 短期使用群と比較し、長期使用群(HR0.9995CI0.931.17)および断続使用群(HR0.9195CI0.761.09)では、認知症発症リスク増加との関連は認められなかった。

3 PPIの使用パターンにかかわらず、平均4年のフォローアップ期間中における有意な認知症リスク増加は認められなかった.

是非が問われているこの認知症と胃酸分泌阻害薬との関係性とは、この病理における生化学反応という視点では何が起こっているのでしょうか?

認知症といえば、中枢神経にアミロイドβが蓄積することで起こる疾患ではないかという見解が今日有力のようですが

そのアミロイドβ蓄積説以外の痴呆症になりうる原因が胃酸分泌の変化に伴って何かしら起こるという事なのでしょうか?

興味深い研究です。

PPP阻害剤は胃酸の濃度を薄めて、口腔から侵入する細菌の増殖を促すという悪影響がありますが

それでは体内に侵入した細菌等が脳内神経に何らかの悪影響を与えることで認知症を引き起こすのでしょうか?

PPPによる胃酸の希釈によって、未消化のたんぱく質を小腸内部で免疫系が起こす慢性炎症などが原因なのでしょうか?

そのあたりの研究が深まることを切に望みます。

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過剰なインスリンが肥満のもとといわれるメカニズムもおさらい

インスリンは血中糖質が増加したときに、すい臓から分泌されて体の各細胞が活動するためのエネルギーとしての運び屋としての働きがあります。

現社会においては、ガソリンスタンドに石油を運ぶための輸送トレーラー車

のような役割という位置づけともいえるでしょう。

インスリンは、血中糖質がある一定量存在しているのであれば分泌されませんが、ある一定量減少すると、中枢神経がをれを察知してすい臓に「インスリンをを放出せよ!」という命令のもとで血中に放出されるという一連の働きをします。

血糖値の上昇においてのインスリンは、血管内の糖質を筋肉や各組織(肝臓、腎臓、筋肉など)に運び込み、その運び込まれた糖質は各細胞の活動のためのエネルギーとして使われる事になります。

問題は、過剰に分泌されたインスリンは肥満にどのような影響を与えるかというところになります。

(インスリンと脂肪細胞の関係)

インスリンは糖質を各細胞に運び込む

インスリンは体に蓄積した脂肪細胞の分解を抑制する

インスリンは脂肪細胞の合成を促進する

血中に中にあるエネルギー源は、糖質だけではなくその他に脂肪酸というものがあります。

この脂肪酸は皮下脂肪として体のあちらこちらに蓄積しているものなのですが、どうもインスリンの気持ちとしては、血中にある各細胞の中の糖質を優先的に各細胞に運びたいというひいき目としての働きがあるとのことのようですが、これが肥満を促進してしまうという事になっているようです。

身体機能に何の問題もなく、適度な時間での継続するエクササイズの環境下であれば糖質のみでなく、脂質(脂肪酸)も各細胞のエネルギーとして用いられるために、脂肪細胞の過剰な蓄積につながりにくくなるのでしょうが、

現代社会は昔と違って、モータリゼーションの発達などの人類に貢献している多くのテクノロジーに依存していることが多い環境下なので、血中の糖質や脂肪酸が使われにくいというのも事実です。

肥満が継続的に続くことによって、運動器障害や各臓器の疾患などのリスクが増えてしまう事も懸念されるので、このような肥満のメカニズムをまずは把握しておく事は大切な事であると思います。

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睡眠研究の始まりは以外に大胆

20世紀の初頭、フランスや日本で本格的に睡眠の研究が始まりまったようです

当時の研究者は睡眠状態になる物質が血液中に存在するのではないかという仮説のもと、強制的に断眠させた犬の血液の成分を丹念に調べ上げて、「睡眠物質」という未知のホルモンを発見しようという実験が盛んに行われたようです。

実験では断眠させた犬の血液を覚醒した犬に投入したそうですが、結果は覚醒した犬は速やかに眠ってしまったそうです。

このことより睡眠は体内に「睡眠性毒素」が蓄積した結果であろうとの結論を出したのですが、当時の技術では「眠り」と「眠ったような状態」との区別がつかずに、近代の脳波計測装置の出現までその研究は下火になってしまったそうです。

実験では断眠させた犬の血液を覚醒した犬に投入したそうですが、結果は覚醒した犬は速やかに眠ってしまったそうです。このことより睡眠は体内に「睡眠性毒素」が蓄積した結果であろうとの結論を出したのですが、当時の技術では「眠り」と「眠ったような状態」との区別がつかずに、近代の脳波計測装置の出現までその研究は下火になってしまったそうです。

それでは何故、断眠した血液を投入することで、健常な犬が眠ってしまったという実験結果が出たのでしょう? 

しかし初期の研究とは大胆なもので、眠る生命体から抽出した血液を通常の生命体に投入してその結果を調べてみるというダイナミックな行動力には、開拓者の力強さを感じざろう得ません。 

フロンティア精神万歳!!

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体温上昇は感染症撃退の合図

体温上昇は感染症になった時の免疫細胞を活性化するという研究が進ん現代社会では常識となっています。


感染症によって体温37度に上昇すると病原菌を殺す物質を免疫細胞が放出する詳しいメカニズムを多くの日本の医学系研究グループが世界で初めて明らかにしてからその恩恵は世界的に広がっているといえます

体温が上昇する事により、白血球の膜の表面に穴が開いて細菌やウィルスを狙い撃ちにする「水素イオン」の弾丸が、その病原体を撃ちにするメカニズムをもった抗体細胞の活躍といったら


それはまるで「ゴルゴ13」の鮮やかな暗殺方法のように速やかに行われるのに似ているといえます

人の体にある免疫システムを深々と省みると、その巧妙な働きにはあらためて驚かされる事ばかりです。

楽観主義は痛みを軽減する? 米研究

20192/HealthDayNews]より

慢性疼痛に対処するには、楽観的に物事を捉えることが重要かもしれない。

米ミシガン大学アナーバー校のAfton Hassett氏らの研究から約21,000人の退役軍人のうち、海外に派兵される前から気持ちが前向きだった人では、派兵された後に新たな背部痛や関節痛、頻繁な頭痛などの痛みを経験する頻度が低かったことが明らかになった。


 米陸軍のデータを用いたこの研究では、20102月~20148月にアフガニスタンまたはイラクに派遣された米軍兵士2734人(平均年齢29.06歳、男性87.8%)を対象に派遣前後の心理的な健康度を評価した。

 その結果、米軍兵士の37.3%が、派兵されて以降に1カ所以上の身体の部位で新たな疼痛を経験したと報告した。

新たな疼痛が起こった部位の内訳は、背部痛が25.3%、関節痛が23.1%、頻繁な頭痛が12.1%だった。このほか、今回の研究からは、ある程度の楽観主義でも、海外派遣後の痛みの発生が抑えられることが明らかになった。

このことは、完全な楽観主義者ではなくても、ある程度、楽観的な思考の持ち主であればメリットはあることを示している。

 解析の結果、楽観性の評価スコアが1点上昇するごとに、派兵されて以降、新たな疼痛を経験する確率が11%低下することが分かった。

また、楽観性が高い兵士と比べて、楽観性が低い兵士では、新たに関節痛または背部痛、頻繁な頭痛のいずれかを経験したと報告する確率が35%高かった。

さらにある程度、楽観的な思考を持っていた兵士と比べて、楽観性が低い兵士では新たな疼痛リスクが高いことも分かった。

 Hassett氏は「驚いたのは、楽観的な思考と痛みの軽減との関連は、戦闘によるストレスや外傷などの経験を考慮しても認められたことだ」とした上で、「兵士だけでなく、一般の人も前向きな姿勢を保つことで、同じような作用が期待できると述べている。

米陸軍兵士の経験は一般の人からはかけ離れているが、楽観主義でいることが疼痛に対して保護的に働くことを示した論文は数多い」とも説明する。

また「楽観主義者では痛みの感受性が低く、痛みがあってもそれにうまく適応できる人が多い」と付け加えている。

 しかし、今回の研究では精神疾患の有無が考慮されていなかったほか、疼痛に関するデータも限られていた。またこれは楽観主義自体が慢性疼痛リスクを低減することを証明するものではない。

 米国疼痛医学会会長のJianguo Cheng氏は「楽観的に物事を捉えることは、慢性疼痛に対処する上で有効な手段になりうるだろう。このことは、精神状態が、身体的な健康にも影響することを改めて明確に示したものだ」と説明している。

また「楽観的に考えるトレーニングを通して、ストレスやトラウマになるような出来事に備えることもできる。さらに、既に慢性疼痛に苦しんでいる人であっても、ポジティブな思考法を身に付ける認知行動療法によって疼痛を緩和できる可能性がある」としている。

 ただし、Cheng氏は「疼痛治療には、薬物療法に加えてトークセラピーや理学療法、場合によっては手術など、さまざまな方法を組み合わせた個別化治療が必要だ」と指摘している。その上で、「疼痛の管理は多元的に行うべきであり、通常は一つの治療法だけでは効果は期待できない」と話している。

疼痛を引き起こすメカニズムとは、生体研究においてはセロトニンやブラジキニンなどの疼痛物質による科学的刺激が、その疼痛神経終末の感知によって、外側脊髄視床路を通過し、大脳中心後回がその痛みと感知するというシステムですが

上記の構造的なメカニズムに、人の悲観とか楽観のような精神活動が介入するようです。

日本の格言にある「病は気から」という事を科学的に言い表している研究データともいえるのかもしれませんね。

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ゴーヤと心筋梗塞と脳卒中の関係性

Journal of Epidemiology112日オンライン版より

ゴーヤに代表される沖縄野菜はビタミンやミネラル、葉酸など栄養価が高いことで知られている。

しかし沖縄野菜を多く摂取しても、心筋梗塞と脳卒中の予防効果は期待できない可能性があることが、国立がん研究センターなどの多目的コホート(JPHC)研究で示された

これまで沖縄野菜の摂取量と心筋梗塞や脳卒中の発症との関連を検討した大規模な追跡調査は、ほとんど行われていなかった。

研究グループは今回、JPHC研究に参加した40歳以上の男女約16,000人を長期にわたり前向きに追跡したデータを用いて、これらの関連を検討する研究を実施した。

研究では、ベースライン時とした1995年に沖縄県中部に、1998年に沖縄県宮古の2地域に在住し、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患とがんの既往がない4574歳の男女16,498人を対象に、2012年まで追跡した。

ベースライン時の138項目の食物摂取頻度調査票への回答から、参加者の7種類の沖縄野菜(チンゲン菜、からし菜、ゴーヤ、フダンソウ、ヘチマ、ヨモギ、パパイヤ)の摂取量を評価。

参加者を沖縄野菜の摂取量で3つの群に分けた上で、心筋梗塞と脳卒中の発症率を比較検討した。

13年の追跡期間中に、

  1. 839人が脳卒中を発症
  2. 197人が心筋梗塞などの虚血性心疾患を発症。

年齢や性、飲酒や喫煙などの生活習慣などで調整した解析でも、沖縄野菜の摂取量と心筋梗塞および脳卒中の発症率との間に有意な関連はみられないことが分かった(最も少ない群と比べて最も多い群のハザード比は1.0995%信頼区間0.931.29P0.289)。

また、沖縄野菜の種類別に解析しても、同様にこれらの間に有意な関連はみられなかった。

以上の結果を踏まえ、研究グループは「沖縄野菜の摂取量は心筋梗塞や脳卒中の発症リスクと関連しないことが分かった」と結論づけている。

一方、研究グループは「今回の研究では、摂取量が最も少なかった群でも比較的多く摂取しており、このことが原因でグループ間の差がみえにくくなった可能性がある」と指摘。

また、沖縄野菜の摂取量の評価も妥当性が十分ではなかったことも、原因として考えられるとしている。

 

(海月な医療ニュース考察)

心筋梗塞と脳卒中とゴーヤ摂取によるリスクヘッジはないとの研究ですが、はたしてそうなのだろうかという疑問が残る研究です。

心筋梗塞は血栓による心筋の血管群への閉塞による障害です。脳卒中は脳血管壁の希弱化による血管壁の剥離による脳内への出血です。

推測の域を超えない意見ですがもしかして、ゴーヤは料理方法次第でその中の栄養価含有量が変わるのではないかと思います。

ごーやに含まれる代表的な栄養としては、ビタミンC、葉酸、カリウム、不溶性食物繊維などがありますが

  1. ビタミンCと葉酸は熱に弱い
  2. カリウムは水に溶けだしやすい
  3. 食物繊維は横ばい

という性質をもっています。

ゴーヤの炒め物を作る時の段取りの中で、

  1. 苦みをとるために「水に浸す」
  2. 口当たりをよくするために「油で炒める」

という方法をとることはよくあることですがこれらは

  1. 油で炒めることでビタミンCと葉酸を減らし
  2. 水に浸すことでカリウムも減少させる

といったゴーヤを摂取するという事になるのではないかと思います。

これではビタミンCや葉酸やカリウムが含まれない、油ものの食物繊維のみのゴーヤ料理を摂取するという事になると思うし

当然このような料理であれば、高脂血症や血管壁の再生には役に立たない食べものをとることで、心筋梗塞や脳血管障害の予防にはならないと思います。

つまり、この研究で用いられているゴーヤはどのようにして調理されたのかというところを明らかにしてほしいと思いました。

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食べ物よ、今夜も有難う♪ 

(夜霧よ今夜も有難う?)

食物自体が、我々の細胞一つ一つを構成しているものであるということを明らかにされた「生物と無生物の間」の著者としても有名な京都大学の研究員である福岡真一先生の研究はとても興味深いものです。

これまでの生命原理では「食べ物」とは車のガソリンのようなもので、体内のエネルギーのもととして認識されていましたが、「生命現象は動的平衡の流れである」という福岡先生の説はこのパラダイムの思考を根本から変えてしまうダイナミックかつ現実性のある説。

我々の大便の内容物は、アポトーシスで脱落した半年前の肝臓細胞であったり、一ヶ月前に体内で死滅したインフルエンザウィルスであったり、3日前の脳細胞であったりする訳で、それは決して昨日の食べたもの自体が排泄物として現れたわけではないようです(未消化物は除く)

シビアに考えると、食べ物とは自分以外の生命体を殺めることによって得られる細胞自身を、我々の細胞の一部に変換することによって維持するものだとも考えられます。

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認知症の簡易検査は誤判定が多い、米研究

20181128/HealthDayNewsより

認知症の簡易検査はプライマリケアの現場で広く活用されているが、その診断精度は低いとする研究より

該当する検査は、ミニメンタルステート検査(MMSE)、記銘力障害スクリーニング(MIS)、1分間になるべく多くの動物の名前を思い出す簡単な記憶力テストの3つ。

対象者の3分の1以上が、これらのうち少なくとも一つの検査で認知症と誤判定されていることが分かった。

 この研究は、英エクセター大学のJanice Ranson氏らが実施したもの。米国の70110歳(平均82歳)の高齢者824人を対象に、まず、34時間の総合的な認知症評価を実施。神経学的検査や血圧測定、DNAサンプルの採取、うつ病スクリーニング、服薬歴、生活習慣、家族歴について尋ね詳細に評価した結果、約3人に1人が認知症と判定された。

 次に全ての参加者を対象に、MMSEMIS、動物の名前を思い出す記憶力テストの3つの簡易検査を実施し、綿密な検査の結果と比較した。その結果、参加者の36%(301人)は、少なくとも一つの簡易検査で認知症と誤判定されていた。

しかし、それぞれの簡易検査の誤判定率は1421%とばらつきがみられ、3つの検査全てが誤判定だった患者は全体の2%に過ぎなかった。

 Ranson氏は「プライマリケアの診療現場で認知症を正確に診断するのは難しい」と述べる一方で、「簡易検査は、より詳細な検査の必要性を判断するための重要なスクリーニングツールだ」と強調している。

 また、簡易検査で認知症の誤判定が多かった原因として、Ranson氏は、患者の年齢や民族性、学歴などのバイアスが影響した可能性を挙げている。

さらに、各検査でバイアスが異なることも要因として挙げられるとしている。例えば、ある検査では高学歴の患者の認知症を過小に診断し、別の検査では年齢や人種、施設の入居状況などによる誤判定がみられた。そのため、同氏は「各検査の弱点を知ることで、特定の患者集団に最適な検査法を選べるようになる。

一方で、さらに診断精度が高く、バイアスが少ない検査法の開発も待たれる」と述べている。

 この結果を受け、専門家の一人で米アルツハイマー病協会のKeith Fargo氏は「アルツハイマー病などの認知症の診断は複雑で、簡単にできるものではない。

簡易な認知検査は診断への第一段階としては有用だが、それだけで完結するものではない」と説明している。また、「認知症の診断はタイムリーかつ正確に行うことが重要である。この研究から、認知症の簡易検査を行う際に考慮すべき重要なバイアスが明確にされた」と述べている。

上記の報告の要約より、認知症の診断は複雑で厳密に考えると以下の原因より容易にできないという事のようです

  1. 患者の年齢のバイアスがある

  2. 患者の民族性からのバイアスがある

  3. 患者の学歴などの影響は大きい

このように医療サイドの認知症認定の診断基準は現在確立していないというのが現状のようです。

認知症の脳内メカニズムとして、現在一般的に述べられている説は「脳内神経へのアミロイドβ蓄積による神経伝達不全」が最も主流ですが、発症因子については多くの学説があるのも事実のようです。脳機能の研究はその複雑な機能のために、認知症の原因とメカニズムの研究が遅れている事も、認知症の診断の困難さの一因となっているようです。

その中の一説で、「過剰な糖質摂取による過剰インシュリンのための血中アミロイドβ代謝酵素の減少による、脳内アミロイドβ蓄積説」などは、脚光を浴びるかもしれない有効な説にあたるのかもしれませんね。

蓄積したアミロイドβを取り除く方法は、当然ながらカイロプラクティックケアには存在しません。

現在のところ、認知症の原因の一つであるアミロイドβを体外に排泄するのを促してくれる食品を意識的に摂取するとか、インスリンが過剰に分泌するきっかけとなる糖質過剰な食物摂取制限などが有力な予防法だと思います。

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『痛み』の早期診断と治療というセミナーを考える

20188月「健康経営時代に欠かせない『痛み』の早期診断と治療」

(ファイザー株式会社とエーザイ株式会社共催セミナーより)

働き方改革のもと、仕事へのかかわり方や働き方が変化しつつある。その中でも見過ごされやすい問題として、健康問題を抱えて就業ができない、効率を上げることができないという就労問題がある。今回健康に起因する就労問題の中でも「痛み」に焦点をあててみる

従業員が健康ならば企業価値は上がる

はじめに「痛みによる労働生産性への影響とその経済損失?」をテーマに、五十嵐 中氏(東京大学大学院 薬学系研究科・医薬政策学 特任准教授)が、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践する方策と労働生産性を阻む「痛み」とその損失について講演を行った。

少子高齢化で労働人口が減少する中で、労働者1人当りの労働生産性はこれまで以上に重要とされ、「健康経営」という概念が登場した。「健康経営」とは、従業員の健康保持・増進の取り組みが、将来的に収益性などを高めるという考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することである。

この実践により従業員の活力向上、生産性向上と組織の活性化をもたらし、結果として業績向上や組織としての価値向上につながることが期待されている。

この健康経営で問題となるのが、従業員の健康問題。健康問題に関するコストとして、直接かかる医療費とは別にアブセンティーズム(病欠)とプレゼンティーズム(健康問題で効率・生産性が低下している状況)の2つがある。そして、企業における従業員の健康コストの内訳では、アブセンティーズムが11%、プレゼンティーズムが64%で、プレゼンティーズムの比率が高く、就労問題の中でも2大要因として精神関連症状と筋骨格系障害がある1)

また、医療費と生産性でみた場合の疾病コストでは「肩こり・腰痛」がトップで、こうした慢性疼痛による損失は1週間平均で4.6時間に及ぶという試算がある。そして、時間ベースの経済損失は、19,530億円にのぼるという報告2)もあり、「企業は健康経営として身体の痛み対策に取り組むべきときだ」と同氏は述べる。

 おわりに「健康経営では人件費だけでなく、保健指導やそのシステムの充実、診療施設やフィットネスルームの設置など投資をすることで、経営には生産性の向上、医療コストの削減、モチベ―ションの向上など企業価値を高める効果が予想される。企業はこうした視点も踏まえ、従業員の健康対策を図ってもらいたい」と語り、レクチャーを終えた。

神経障害性疼痛のQOLレベルは、がんの終末期と同等

つぎに紺野 愼一氏(福島県立医科大学 医学部整形外科学講座 主任教授)を講師に迎え、「痛みの種類に応じた適切な治療と最新スクリーニングツール」をテーマに、主に神経障害性疼痛の診療とスクリーニングツールについて説明。

慢性疼痛の保有率は、成人の22.5%(患者数2,315万人)とされ、男女ともに「腰痛」「肩こり」が上位を占める。この慢性疼痛の中でも診療が難しいとされる神経障害性疼痛について触れ、臨床的特徴として刺激がなくとも起こる痛み、非侵害刺激での痛み誘発、侵害刺激による疼痛閾値の低下、しびれがあるという。

また、疼痛領域は損傷部位などと同一ではなく、神経、神経根、脊髄、脳の支配領域で発生し、通常NSAIDsに反応しにくく、COX阻害薬以外の鎮痛薬が必要となる。神経障害性疼痛が患者のQOLに与える影響について、健康関連QOLを評価するために開発された包括的な評価尺度(EQ-5D-3L0は死亡、1.0は健康な人)で調査した結果によれば、終末期がん患者のQOL0.40.5)と比較し、神経障害性疼痛のQOLはそれと同程度の値を示し、さらに重症の神経障害性疼痛のQOLは心筋梗塞で絶対安静状態の患者のQOL0.2)と同程度の結果だったという3)

神経障害性疼痛の診断では、VASなどの痛み評価の多種多様なツールが使用される。なかでも“Spine painDETECT”は、脊椎疾患に伴う神経障害性疼痛のスクリーニング質問票として開発されたツールであり、8つの質問事項の素点から算出される(開発試験での感度78.8%、特異度75.6%)。

さらに簡易版のSpine painDETECTでは、2つの質問事項の素点から算出される(開発試験での感度82.4%、特異度66.7%)。

紺野氏は、「神経障害性疼痛は、早期に診断できれば患者の痛みを治療・軽減できる疾患なので、病院やクリニックを問わず、プライマリケアの場などで、このスクリーニングツールを積極的に活用してもらい、診断に役立ててほしい」と期待を語り講演を終えた。

疼痛の症状が治療を行うきっかけになる患者さんは少なくはない現状。

その疼痛に対しての永続される効果的対処方法とは、疼痛を感じなくさせる鎮痛剤のみで行なわれる処置だけでは、健康問題にかかわる経済問題に飛び火してしまうデメリットは簡単に考えてはいけないことを示唆している記事になると思います。

(疼痛における治療)

疼痛を引き起こしている場所が、「関節」ならば関節の治療を、「筋肉」であるなら筋肉の適切なケアを行う。