COPD診療、最新知見/日本呼吸器学会

慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療に対する吸入ステロイド薬(ICS)の上乗せについて、新しい臨床試験の結果が続々と報告されているが、それらをどう捉えればよいのだろうか。

2019412日から3日間、都内にて開催された第59回 日本呼吸器学会学術講演会において、シンポジウム3COPDACOガイドラインを超えて」での講演から最新の知見を紹介する。

COPD治療におけるICSの位置付けは?

 COPDの安定期における治療は、原則として長時間作用性抗コリン薬(LAMA)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)の気管支拡張薬である。

これまで、通常のCOPD治療にICSを追加する有益性は高くないとされていたため、本学会が発刊している『COPD診断と治療のためのガイドライン2018(第5版)』と『喘息とCOPDのオーバーラップ診断と治療の手引き2018』では、喘息とCOPDの合併例(asthma COPD overlapACO)に限定して、ICSの早期使用が推奨されている。

 しかしその後、LAMALABAICSのトリプルセラピーがLAMA/LABA配合剤に対して、中等度~重度のCOPD増悪を有意に抑制したことが「IMPACT試験」で報告されたため、COPD治療におけるICSの位置付けに関しては引き続き検討されていくだろう。

COPDACOの診断に用いられるバイオマーカー

 シンポジウムでは、玉田 勉氏(東北大学 呼吸器内科学分野 講師)が「末梢血好酸球増加はICS治療ターゲットになるか?」という問いかけをテーマに、COPD患者のバイオマーカーをどのように扱うかについて語った。

 COPD治療において、好酸球性気道炎症が存在する症例の中には、LAMALABAなどの気管支拡張薬にICSを上乗せすることで、さらなる気管支拡張効果を得られる病態が存在することがわかっている。

このようなICS感受性の高いCOPDに関して、判断の目安となるのは増悪回数、末梢血好酸球の増加、喘息の合併などであるという。

 また、上述の最新ガイドラインでは、COPDにおける好酸球性気道炎症の存在を、喘息の特徴でもある末梢血好酸球>5%あるいは>300/μL、呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)>35ppbなど複数の項目で評価することを推奨している。

その結果ACOと判断できれば、早期にICSを投与することが望ましいが、ACOに該当しなければ、高用量のICS投与は肺炎リスクを上昇させる恐れがあるため、重症であっても投与しないとされている。

しかし、ACOの病態は経過中に出現することもあるので、繰り返し評価することが重要である。

 同氏は「われわれの研究と先行研究を合わせた結果、COPD患者の2割くらいにICS有効例が存在するのではないか」と見解を語った。

海外データから読み取れる情報

 海外で報告されているGOLD2019レポートでは、増悪リスクおよび症状レベルがともに高い“グループD”において、末梢血好酸球が300/μL以上あるいは100/μL以上で増悪を繰り返す患者ではICS/LABA有効例が多く、逆に末梢血好酸球100/μL未満ではICSの有効性は期待できないとされている。

しかし、この根拠となった複数の臨床試験の対象となった症例には、さまざまな割合で喘息合併例が混在しているため、ICSの上乗せ効果を正確に判断することは難しい。

 データを読む際、ICSの使用による1秒量(FEV1)の増加が大きいほど、喘息病態を合併したCOPDの症例が多く混ざっていると考えられ、その結果、末梢血好酸球300/μL以上の症例をピックアップすると、ICSが増悪抑制に有効であろうことが見えてくるという。

 よって、各論文の筆者による結論だけでなく、喘息合併例をどうやって分けているか、ICSの使用でどれだけ呼吸機能が改善しているかなども考慮して解釈することが必要だ。

単独のバイオマーカーでICS使用の判断はできない

 発表テーマである「末梢血好酸球増加はICS治療ターゲットになるか?」という問いに対して考えると、気道の好酸球性気道炎症をよく反映するのは喀痰好酸球数だが、末梢血好酸球数とは強く相関しないことが明らかになっている。

 「COPDACO患者のバイオマーカーは、これまでもさまざまな横断研究が報告されているが、日本人データを含めたバイオマーカーの使い方やカットオフ値の設定が求められる。よって、末梢血好酸球数だけでICSを使うかどうか決めるには時期尚早なのではないか」と現段階での見解を示し、「ICSの有効例に関しては、どこまで追求しても、最終的には過剰投与であったり、潜在的に有効でも投与されなかったりといった事態が起こりうる可能性がある」と指摘した。

 COPDACOの診断に当たっては、ガイドラインの知見を踏まえ、なるべく客観的な指標に基づいてICSの使用を検討するなど、診断の精度を高めることが求められる。また、ICSを開始する場合、肺炎リスクが頭打ちとなる半年より前に、呼吸機能の改善度などから効果判定を行い、ICS投与を継続するか判断することが望ましいとされている。

車のエンジン内で行われている内燃機関はまさに人間の呼吸からエネルギーを産生して不要ガスを排泄するというサイクルにに通うところがあると思います。

COPDという疾患は、体内のエネルギー産生に不可欠な酸素を取り込むことが困難な疾患ともいえ、それはまさに車の内燃機関の不完全燃焼状態であり、そのような車はいづれ故障してしまう事になってしまいます。

(現代医療機関のCOPD疾患の治療方針)

  1. 吸引ステロイド
  2. 安定期において長期作用性コリン薬
  3. 長期作用性β2刺激薬

上記のような3本柱での処置となっているようです。

(吸引ステロイド)

吸引ステロイドは交感神経系を興奮させ一時的な気管支拡張効果などによる酸素摂取を増加させることについては期待できそうですが、過剰摂取において免疫系への悪影響や身体エネルギー生成の中核となるミトコンドリア活動を制御させる事により、身体の低体温状態を誘発させる可能性がある。

(コリン薬とβ2刺激薬)

副交感神経を作動させるホルモンとしてコリン(アセチルコリン)は働きますが、コリン薬はその副交感神経の活動を遮断することによって、交感神経活動を増強させ、気管支拡張効果をねらうという位置づけになりますが、交感神経の活動の持続的亢進状態から起こる免疫力低下などによる感染症の罹患率を増加させる事などへの懸念がぬぐえまないところです。

β2刺激薬も上記と同様に副交感神経の活動をストップさせることによる気管支拡張効果の狙っているようです。

この二つは喘息症状への対処として多く用いられているようです。

患者がCOPD疾患まで行きついてしまうとその処置はどうしても、緊急的に酸素供給量を保持しなければ生命活動維持の危険性があるという点で、投薬療法においては多少の副作用があってもこのような処置を優先的に選ばざろう得ないのだと思います。

COPDにならない事に注意するという事がこの治療の難しい疾患に対する最善の治療法ともいえるのでしょう。

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